入れ歯コラムCOLUMN

総入れ歯ってどうやってくっついているの?

総入れ歯はどうやってくっついているのか、吸着の仕組みを解説

総入れ歯が吸着する仕組み

総入れ歯にすると、「着けている最中、重力で上から落ちたりしないのかな…」と気になる方がいらっしゃるかもしれません。
総入れ歯がどうやってくっついているのか疑問に思われる方のために、吸着する3つの仕組みをご紹介します。

1:吸着力を利用する
入れ歯は接着剤でくっついているわけではなく、上顎(口蓋)と入れ歯の間にある唾液によって強い吸着力を発揮しています。上顎(口蓋)にぴったりとくっつくためには、緻密な入れ歯の設計が必要。歯科技工士の腕が問われます。

2:嚙み合わせにも配慮する
咀嚼する際に上の歯と下の歯のバランスが悪いと、入れ歯は外れやすくなります。1ヶ所でも嚙み合わせが悪いと、空気が入って吸着力を失ってしまうのです。総入れ歯は、歯と歯茎の形、噛み合わせも考慮した設計が必要です。

3:歯肉の奥まで封鎖する
総入れ歯はしっかりと歯茎の奥まで覆う必要がありますが、十分なサイズではない場合、口を膨らませた際などに空気が入って外れやすくなります。とはいえ、奥まで長すぎる大きさでは、口を尖らせたときに入れ歯を押し上げてしまって結果的に外れやすくなります。小さすぎず大きすぎない、最適なサイズに調整にしなければなりません。

総入れ歯の上の歯は、1.で述べた吸着力により外れにくくなっていますが、下の歯はもともとの顎の状態にも左右されるため、咀嚼時に浮きやすく、比較的外れやすい傾向にあります。
下の歯の入れ歯を外れにくくするには、顎の状態がよいこと、技術力のある歯科技工士が緻密に設計した入れ歯を装着することなどが必要となるのです。

総入れ歯は、スムーズな咀嚼や発音に欠かせないもの。ですが、外れやすいとストレスになるうえ、咀嚼や発音も思うようにいかない可能性があります。しっかりくっつく総入れ歯は、生活の質を左右するものだといえるでしょう。

総入れ歯と部分入れ歯の装着方法の違いとは

部分入れ歯は、左右のバーと留め金で自分の歯に引っかけて固定する入れ歯。すべての歯が抜けた状態に被せるのが総入れ歯、一本でも残っていれば装着できるのが部分入れ歯です。

部分入れ歯は、義歯床(歯茎の部分)と人工歯にクラスプやレストといった連結する装置(支台装置)が付いているという構造となっており、総入れ歯のように唾液によって吸着する構造とは異なります。

ただし、総入れ歯も部分入れ歯もサイズや形状がフィットしていなければ、同じように外れやすいというリスクがあります。安定した装着感を得たいなら、精密な入れ歯を作ってくれる歯科医師や歯科技工士がいるクリニックを選びましょう。

入れ歯安定剤でくっつければ大丈夫?

入れ歯安定剤のメリット

入れ歯安定剤を使用するメリットは、安定性の向上や痛みの軽減、発音のしやすさなどが挙げられます。安定剤によりグラつきが減って、食事中も噛みやすいと感じられるでしょう。
安定剤は、噛みしめた際の痛みや違和感を減らすクッションの役割も果たします。空気漏れで会話しにくいと感じていた方も、安定剤で隙間を埋められれば発音しやすくなるでしょう。

入れ歯安定剤のデメリット

入れ歯安定剤には、入れ歯を洗いにくい・細菌の繁殖・噛み合わせに考慮しなければならないといったデメリットもあります。

安定剤は入れ歯を吸着させるのではなく、粘着力によってくっつけるもの。その分、粘着性が高いため、取り外す際も入れ歯が外れにくくなります。外れにくい場合は60℃以下のお湯を口に含み、緩んできたら外すという方法を試してみてください。

また、水分を吸収しやすい入れ歯安定剤は口内の乾燥につながり、細菌を繁殖しやすい環境になってしまうことも。口の乾燥対策として、こまめに水分補給をしましょう。

入れ歯を作製する際には安定剤を使用することを考慮していないため、安定剤を使用することで噛み合わせが悪くなったと感じる方もいらっしゃいます。我慢して使い続けるのはトラブルの元ですので、違和感があれば早めに歯科医師に相談しましょう。

入れ歯安定剤の4つのタイプ

入れ歯安定剤には4つのタイプがあります。それぞれの特徴をまとめました。

クリーム(レジン床、金属床に対応)

クリーム状の入れ歯安定剤で、粘着作用によって入れ歯の安定を図ります。誤って粘膜に付着すると取り除きにくいので、塗布する際は注意しましょう。

粉末(レジン床、金属床に対応)

粉末タイプは、入れ歯の裏側(床部分)にふりかけてから装着します。少量でも密着しやすく、違和感も少ないのが利点。ただし、粉末なので思うように広げにくいという場合もあるでしょう。

クッション(レジン床のみに対応)

クッションの効いた入れ歯安定剤で、すき間を埋めることで吸着力を発揮します。べたつきが少なく、2~3日連続で入れ歯を装着し続けられます。ただし、長期間の使用は粘膜に炎症を起こす可能性があるため、装着時間が長くなりすぎないよう注意してください。

シート(レジン床、金属床に対応)

シート状の安定剤は、貼りたい箇所に合わせてカットして使用します。均等に吸着するのが特徴ですが、カットするには手間が掛かり、上手くカットできるようになるにはコツが必要です。

総入れ歯は歯科での調整が重要

入れ歯安定剤は一時的な補助の役割であり、総入れ歯は歯科医院での定期的な調整が不可欠です。
噛み合わせの悪いまま過ごしていると、口内だけでなく身体全体へのトラブルにもつながります。「総入れ歯がよく外れる」「痛みを感じる」「食事中に噛みにくい」といった悩みをお持ちの場合は、無理に使い続けず早めに歯科医院へ相談しましょう。

快適な総入れ歯になるかは歯科技工士の腕次第!

総入れ歯のサイズや形状は「しっかりくっつくか」という安定性を左右し、ひいては噛み心地や使い心地を左右します。少しのすき間やズレであっても、使い続ければ装着に違和感を覚えるようになり、外れやすくもなってしまいます。
そうならないためには、念入りな診療・検査・調整が必要。一般的な総入れ歯の製作手順を確認してみましょう。

  1. 歯茎の型をとり、義歯の位置関係を再現する
  2. 仮の義歯床を作り、装着してみて噛み合わせを確認する
  3. 咬合器に模型と義歯床を設置し、顎の動きや噛み合わせをチェックする
  4. 総入れ歯の製作に取り掛かる(歯並び・色味を調整)
  5. 口の中に仮セットして診査する
  6. 入れ歯を装着する
  7. 調整・メンテナンスを適宜実施する

各ステップでは、ミスが生じないように歯と歯茎の位置や噛み合わせを入念に確認します。また、口の中の動きに合った入れ歯を設計するために、模型や義歯床を用いた確認も行われます。

このような手順で完成する総入れ歯ですが、ひとつ一つの工程をどれだけ精緻に行えるかで仕上がりは大きく変わります。歯科医師による正確な診断はもちろん、歯科技工士の高い技術力も必要なのです。

フルオーダーメイドの精密な総入れ歯とは

神戸にある精密入れ歯専門の歯科クリニック「木下歯科医院」では、フルオーダーメイドの精密入れ歯「ESTEETH(エスティース)」を手掛けています。

歯科技工士立ち会いのもと、患者様の噛み方や噛み合わせ、筋肉の状態や笑い方に合わせて、時間をかけてオーダーメイドで調整。
歯科医師と歯科技工士の二人三脚で、虫歯や入れ歯の深刻なお悩みをお持ちの患者様の多くのご希望を叶えてきました。

まずは無料相談で、貴方のお悩みをじっくりと時間をかけてお聞きします。院内は貸切で、他の患者さんと顔を合わせることなくリラックスしてお話し頂けます。くっつかない・外れやすい入れ歯でお困りの方は、ぜひご相談ください。

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医療法人社団 木下歯科医院 
院長 木下 貴雄

  • 国立徳島大学歯学部歯学科 卒業
  • IPSG咬合認定医
  • BPSメンバー(日本第一号となる精密入れ歯国際ライセンス認定歯科医師)