入れ歯コラムCOLUMN

入れ歯の種類と値段!それぞれの特徴も詳しく解説!

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
前後に置かれた入れ歯
入れ歯にはさまざまな種類があるため、どの素材を選ぶべきか迷う方がいます。
今回は、入れ歯の種類やそれぞれの費用について解説します。種類ごとのメリットやデメリット、向いている人の特徴をお伝えしますので、入れ歯を作る予定がある方は、ぜひ参考にしてください。

入れ歯の種類と値段

歯科医院でシリコンを使って歯型を取る年配の女性
保険適用の入れ歯は見たことがある方が多いと思いますが、自費の入れ歯は触れる機会が少ないため、どのような種類があるか分からない方も多いでしょう。自費の入れ歯といっても素材によって特徴や費用が大きく異なります。
今回は、7種類の入れ歯について詳しく解説します。

レジン床入れ歯

レジン床入れ歯とは、一般的に保険で作る入れ歯のことです。ピンク色の床部分と人工歯がレジン(プラスチック)とよばれる素材でできています。
ご自身の歯が残っている場合に使用する入れ歯を部分入れ歯、歯が1本もない場合に使用する入れ歯を総入れ歯といいます。部分入れ歯は、レジン床に金属のバネ(クラスプ)がついていて、クラスプを残っている歯に引っかけて、入れ歯を固定します。

レジン床入れ歯のメリット

レジン床入れ歯は、残存歯の部位や歯の数に関係なく、保険適用で作ることが可能です。レジン床入れ歯のメリットは、以下のとおりです。

・保険が適用されるため、費用を抑えられる
・短期間で作製できる
・歯の本数に関係なく作製できる
・ほとんどの歯科医院で取り扱っている
・入れ歯が破損した場合、修理で対応できる範囲が広い
・即日修理ができる場合が多い


保険の入れ歯は、使用する素材やクラスプの位置が決まっているため、どの歯科医院でもある程度同じ形の入れ歯を作ることができます。また、入れ歯が合わなくなった場合でも、レジンを追加することやクラスプを調整することで、幅広い範囲の修理に対応できます。

レジン床入れ歯のデメリット

続いて、レジン床入れ歯のデメリットについてご紹介します。

・レジン床が厚いため、違和感が大きい
・クラスプを引っかけるため、残っている歯への負担が大きい
・歯茎や粘膜への適合性が劣る
・変色や着色が起こりやすい
・金属のバネが目立つため、審美性に劣る
・レジンの種類が限定される
・6か月ルールがある


保険で使用できるレジンは安価で割れやすいため、入れ歯の耐久性を高めるために一定の厚みが必要です。その結果、保険の入れ歯は異物感が大きくなり、日常生活でストレスに感じる方もいます。入れ歯が合わずに外れやすい場合は、入れ歯安定剤を使用することで安定性が向上することもあります。
また、同じ箇所に入れ歯を作る場合、6か月過ぎていないと保険が適用されないというルールがあるため、紛失や破損には注意が必要です。

レジン床入れ歯が向いている方

・入れ歯の費用を抑えたい方
・初めて入れ歯を作るため、自分に合う入れ歯の種類が分からない方
・インプラントや入れ歯を考えている方

初めて入れ歯を使用する方は、まずは保険適用の入れ歯を作るのがよいでしょう。保険適用の入れ歯でお口に合った入れ歯の形を確認し、不便な部分を認識したうえで自費の入れ歯を選択すると、最適な入れ歯を作製できます。
また、保険の入れ歯を予備として持っておくことで、自費の入れ歯が破損した場合に、使用する入れ歯がなくなるトラブルを避けられます。
もちろん、保険の入れ歯でもお口に合わせて少しずつ調整することで、快適に過ごしている方も多くいます。

レジン床入れ歯の費用

レジン床入れ歯は保険が適用されるため、どの歯科医院で作ってもほとんど値段が変わりません。レンジ床入れ歯の費用の目安は、以下のとおりです。

<レジン床入れ歯の費用の目安>

  3割負担の場合
部分入れ歯 2,000~8,000円程度
総入れ歯 8,000~11,000円程度

金属床の入れ歯

金属床の入れ歯は、上顎や下の歯の内側に触れる部分が金属でできています。金属は硬く割れる心配がないため、レジン床の3分の1程度の薄さでの作製が可能です。また、温度が伝わりやすいというメリットもあり、保険の入れ歯に比べて異物感や不快感を解消してくれる効果があります。

金属床入れ歯のメリット

金属床入れ歯のメリットは、以下のとおりです。

・金属床は薄く作れるため、異物感が少ない
・金属は汚れが付きにくいため、清潔に保てる
・温度が伝わりやすくご飯がおいしく感じられる
・お口にフィットする形に設計できるため、残っている歯の負担が軽減できる
・金属の種類が選べる

金属の種類には、コバルトクロムやチタン、ゴールドがあります。

金属床入れ歯のデメリット

金属床入れ歯のデメリットは、以下のとおりです。

・保険適用外のため費用がかかる
・修理や調整が困難な場合がある
・金属を使用するため、金属アレルギーの方は注意が必要である

金属床入れ歯が向いている方

・入れ歯を使用しているが、料理の味を感じにくく困っている方
・金属アレルギーの心配がない方
・入れ歯でもしっかり噛んで食べたいと感じている方

金属床入れ歯の費用

金属床入れ歯の費用は、作製する歯科医院により異なります。
費用は、200,000~800,000円程度です。
使用する金属の種類や入れ歯の大きさによって、費用は異なります。詳しい費用は、各歯科医院に問い合わせましょう。

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーは、クラスプが付いていない入れ歯です。金属のバネがないため、入れ歯が目立たず、自然な口元を再現できるのが特徴です。

ノンクラスプデンチャーのメリット

ノンクラスプデンチャーのメリットは、以下のとおりです。

・審美性に優れていて、入れ歯であると気付かれにくい
・金属床などと自由に組み合わせて作製できる
・金属を使用せずに作製できる
・入れ歯が薄くて軽いため、違和感が少ない

入れ歯の素材は、高品質のレジンやシリコンなど幅広い範囲から選択できます。

ノンクラスプデンチャーのデメリット

ノンクラスプデンチャーのデメリットは、以下のとおりです。

・自由診療のため、費用が高い
・歯科医院での修理が難しいため、修理に時間がかかる
・残っている歯が少なかったり噛み合わせが強かったりすると、適応できない場合がある

ノンクラスプデンチャーが向いている方

・入れ歯の見た目を重視したい方
・金属アレルギーがあり、入れ歯の種類が制限されている方
・入れ歯に安定性や快適さを求めている方

ノンクラスプデンチャーの費用

ノンクラスプデンチャーは自費のため、作製費用は歯科医院によって異なります。
費用は、100,000~300,000円程度ですが、入れ歯の大きさによって費用は異なります。
また、ノンクラスプデンチャーは金属床の入れ歯と組み合わせて作製することも可能です。

シリコン入れ歯

シリコン入れ歯は、入れ歯の内面(歯茎側)に弾力性のあるシリコンが貼られています。入れ歯の接触による痛みを防ぎ、粘膜に密着しやすいことが特徴です。

シリコン入れ歯のメリット

シリコン入れ歯のメリットは、以下のとおりです。

・お口に合わせて設計するため、ピッタリ合わせられる
・シリコンは柔らかいため、痛みが緩和される
・吸着性が高く入れ歯がずれないため、食事が楽になる
・クラスプを見えにくい位置に設計できるため、見た目が自然である

シリコン入れ歯のデメリット

シリコン入れ歯のデメリットは、以下のとおりです。

・自由診療のため、費用が高い
・シリコンは劣化しやすいため、数年に一度貼り替える必要がある
・調整や修理が難しい場合は、新しく作る必要がある
・専用の入れ歯洗浄剤を使用しなければならない

シリコン入れ歯が向いている方

・お口を動かしたときに入れ歯が外れる方
・食べ物が入れ歯と歯茎の間につまる方
・金属アレルギーがあり金属を使用できない方

シリコン入れ歯の費用

シリコン入れ歯は保険適用外のため、作製する歯科医院によって費用が異なります。
費用は、100,000~500,000円程度ですが、入れ歯の大きさやシリコンの素材によって費用は異なります。
また、既存の入れ歯にシリコンを追加して作製できる場合もあります。

磁性アタッチメント入れ歯

磁性アタッチメント入れ歯は、歯の根っこと入れ歯に磁石を取り付けて、磁石の力で入れ歯の安定性を高めます。

磁性アタッチメント入れ歯のメリット

磁性アタッチメント入れ歯のメリットは、以下のとおりです。

・磁石の力で入れ歯を固定するため、会話中に外れる心配がない
・金属のバネが必要ないので、外観に優れている
・レジン床の入れ歯に比べて、取り外しが簡単である
・入れ歯を残存歯に引っかけないため、歯にやさしい
・入れ歯が安定するため、しっかり噛める
・保険が適用されるケースがある

磁性アタッチメント入れ歯のデメリット

磁性アタッチメント入れ歯のデメリットは、以下のとおりです。

・金属が使われているため、アレルギーがあると適応できない場合がある
・歯の根っこに磁石を取り付けるため、根っこが動いていると使用できない
・保険適用するには、歯の部位や抜けた本数など条件がある
・総入れ歯では使用できない
・MRIを受ける場合は注意が必要

磁性アタッチメント入れ歯が向いている方

・歯が根っこの状態で残っていて、かつグラグラしていない方
・磁性アタッチメントの保険適用の条件に当てはまる方
・自費の入れ歯でもできるだけ費用を抑えたい方

磁性アタッチメント入れ歯の費用

磁性アタッチメント入れ歯は、作製する歯科医院によって異なります。
自費の場合は、100,000~400,000円程度ですが、歯や入れ歯に取り付ける磁石の数によって費用が異なります。磁石1個あたりの費用が設定されている場合や、磁石を取り付ける処置の費用が追加される場合があります。

インプラント式入れ歯

インプラント式入れ歯は、骨にインプラントを埋め込み、インプラントに入れ歯を取り付ける入れ歯です。入れ歯は着脱できるように設計されています。

インプラント式入れ歯のメリット

インプラント式入れ歯のメリットは、以下のとおりです。

・インプラントと固定するため、入れ歯が動く心配がない
・硬いものでもしっかり噛める
・小さく作製できるため、異物感が軽減される
・インプラントと違い着脱できるため、清潔に保てる
・歯が1本もなくても使用できる

インプラント式入れ歯のデメリット

インプラント式入れ歯のデメリットは、以下のとおりです。

・保険適用外のうえに、インプラントを埋め込む必要があるため費用が高い
・インプラントを埋入する外科手術のリスクがある
・インプラントを埋入したあと、オーダーメイドで入れ歯を作るため期間がかかる
・インプラントに不具合が出た場合、使用できない可能性がある

インプラント式入れ歯が向いている方

・インプラント周囲のブラッシングを徹底できる方
・使用中の入れ歯が動いてしっかり噛めない方
・インプラントの外科手術が可能な方

インプラント式入れ歯の費用

インプラント式入れ歯の費用の目安は、以下のとおりです。

<インプラント式入れ歯の費用の目安>
インプラント埋入の費用(1本の場合) 250,000~350,000円程度
入れ歯本体の費用 300,000~800,000円程度
入れ歯部分に使用する素材によって費用が異なります。

テレスコープ入れ歯

残っている歯の根っこと入れ歯に特殊な装置を付けて、装置がはまることで入れ歯を安定させます。

テレスコープ入れ歯のメリット

テレスコープ入れ歯のメリットは、以下のとおりです。

・テレスコープで入れ歯を固定するため強く噛める
・金属のバネがないため、入れ歯であることを気付かれにくい
・会話中に外れる心配がなく、ストレスが軽減される
・残っている歯の負担を軽減できる

テレスコープ入れ歯のデメリット

テレスコープ入れ歯のデメリットは、以下のとおりです。

・自由診療になるため、費用が高額である
・歯を土台の形にするため、削る場合がある
・歯の根っこがぐらつく場合は適応外となる
・歯の根っこと固定するため、総入れ歯には使用できない

テレスコープ入れ歯が向いている方

・歯の根っこが歯周病になっておらず、周囲の骨が残っている方
・入れ歯が不安定で食事や会話に支障が出ている方
・保険の入れ歯が合わず、口元がしぼんで見える方

テレスコープ入れ歯の費用

テレスコープ入れ歯は、作製する歯科医院によって異なります。
費用は、100,000~500,000円程度ですが、テレスコープの種類や入れ歯の大きさによっても費用は異なります。

入れ歯は保険適用になるのか?

「COST」と書かれた積み木ブロック
入れ歯が保険適用になるかどうかについては、素材によって異なります。入れ歯の保険適用について、種類別に以下にまとめてみました。

<入れ歯の保険適用の可否>
  保険適用の入れ歯 保険適用外の入れ歯
入れ歯の種類

・レジン床の入れ歯
・磁性アタッチメント入れ歯
(保険を適用するには条件を満たす必要がある)

・金属床の入れ歯
・シリコンの入れ歯
・磁性アタッチメント入れ歯
・インプラント式入れ歯
・テレスコープ入れ歯
基本的に、レジン床の入れ歯は保険が適用されて、それ以外は自費になると覚えておくとよいでしょう。
ただし、磁性アタッチメント入れ歯については、条件付きで保険が適用されます。入れ歯の保険適用については、「保険の入れ歯で十分?自費の入れ歯と比較しながら解説!」でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

笑顔で歯を見せながら笑う年配の女性
この記事では、入れ歯の種類やそれぞれの特徴について解説しました。人によって歯の数や口内の感覚が異なるため、向いている入れ歯の素材も異なります。入れ歯の種類で迷っている方は、まずは保険が適用されるレジン床入れ歯がよいでしょう。
自費の入れ歯は、歯科医師や歯科技工士の技量によって仕上がりに大きな差が出るため、信頼できる歯科医院を選ぶことが大切です。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。