入れ歯コラムCOLUMN

BPS(生体機能的補綴システム)とは?BPS義歯のメリットと製作の流れ!

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
歯の模型を指さす歯科医師
BPS(生体機能的補綴システム)とは、高品質な入れ歯のことです。劣化しづらく、見た目が自然で噛み心地がよい、といった従来の入れ歯にはない特徴をもっています。

今回は、BPS義歯のメリットと製作の流れについて、詳しく解説します。

BPS(生体機能的補綴システム)とは
歯の模型と歯科医師

BPSとは、Biofunctional Prosthetic Systemの略称です。天然の歯に近い審美性をもちながら、歯本来の動きを再現する、高品質な入れ歯のことをいいます。イボクラールビバデント社とヨーロッパの歯科大学が共同で開発したもので、イボクラールビバデント社に認定された歯科医師や歯科技工士にしか作ることができません。

製作手順がシステム化されているため、誰もが納得できる高品質な入れ歯を製作することができます。フルオーダーメイドであり、製作工程が多く費用もかかるので、患者さまの負担も大きいでしょう。

しかし、BPS義歯は高い完成度を誇るため、入れ歯を装着していても自分の歯の感覚で食事や会話が楽しめます。従来の入れ歯にはないメリットがたくさんある入れ歯が、BPS義歯です。

BPS義歯の素材は、イボクラールビバデント社独自のものを使用しています。歯の部分は「フォナレス人工歯」というもので、天然の歯のつやがあり、歯間や大きさまで微調整ができる素材です。歯茎の部分は「イボカップ(加熱加圧精密重合レジン)」を使用しており、温度による変化が少ないので吸着性が高くなります。気泡が入りにくくなるため、においがつきにくく、口臭をおさえることも可能です。

BPS義歯のメリット
指でOKサインを出す女性

BPS義歯のメリットは、従来の入れ歯にないものが多くあります。イボクラールビバデント社独自の素材を使用することにより、審美性が高く、劣化しづらい入れ歯の製作が実現できます。

審美性が高い

BPS義歯は、天然の歯のように自然な見た目です。
保険適用内の入れ歯は「最低限の機能回復」のみを目的としているので、人工歯であることが分かりやすいデメリットがあります。
一方、BPS義歯は、1本ごとに歯や歯茎の細部まで美しく仕上がるよう、丁寧な調整が可能です。笑ったときに歯茎が見えても自然な仕上がりなので、入れ歯だと分かりにくいです。

劣化しにくい

においがつきにくく、変色しにくいのがBPS義歯の特徴です。
一般的な入れ歯は、密着度がそれほど高くないので、入れ歯と歯茎の間に食べかすが溜まりやすく、口臭が発生しやすいデメリットがあります。

BPS義歯は、密着度が高いため、すき間に汚れが入りづらいです。また、耐久性に優れているので、歯や歯茎の色合いなど、きれいな状態を長持ちさせることができます。

噛み心地がよい

吸着性の高いBPS義歯は、入れ歯安定剤の使用は必要ありません。安定性が高いので、話しやすく、噛みやすいという機能面も優れています。

従来の入れ歯は吸着力が低いことにより、噛む力が弱くなるデメリットがありましたが、BPS義歯なら硬い食べ物でもしっかり噛むことができます。

治療に差が出にくい

BPS義歯は、開発元であるイボクラールビバデント社の講習を受け、認定された医師や技工士しか製作できません。知識や技術が保証されているため、高品質の入れ歯を製作することができます。使用する器具や素材、技術が統一されているため、担当する者によって仕上がりに差が出ることは少なくなるでしょう。

また、従来の入れ歯は1回で型取りが終了します。BPS義歯のように精密に製作するわけではないので、装着後の違和感が残りやすく、仕上がりに関してはある程度妥協しなければならないこともあるでしょう。

一方、BPS義歯は、作業工程が4回に分けられています。手順もシステム化されているため、品質が安定しているといえるでしょう。

BPS義歯のデメリット
頭を抱え込む女性

BPS義歯のデメリットは、作業工程が多く、費用が高いことがあげられます。高い完成度を実現するには、多くの労力や費用が必要だからです。

製作できる医師が限られている

BPS義歯は、イボクラールビバデント社の認定を受けた医師や技工士しか製作できないため、治療できる医院が限られています。一般の歯科では治療ができないので、遠方に住んでいる方は通院が負担になる場合があります。

治療費が高い

BPS義歯は、独自の素材や技術を用いているので費用が高額です。BPS義歯を製作できる医師や技工士が多くないことも要因の一つといえるでしょう。

完成に時間がかかる

一般的な入れ歯は1回の型取りで終わりますが、BPS義歯は、製作工程が4段階あるので完成に時間がかかります。
BPS義歯は、関節や筋肉の動きも考慮して、一人ひとりに最適な入れ歯を製作します。そのため、型取りは慎重に行い、製作工程も増やさなければなりません。細部までこだわるフルオーダーメイドの入れ歯なので、従来の入れ歯よりも完成までに時間がかかります。

BPS義歯の製作の流れ
指で階段をあがっている

一般的な入れ歯の型取りは1回のみです。

しかし、BPS義歯は計4回に分けて型取りと調整を重ねるので、高いフィット感を実現できます。
ここでは、BPS義歯の制作の流れについて解説します。

1回目

セントリックトレーという器具で噛み合わせを調べ(咬合採得)、アキュデントシステムという器具で、顎の形を型取ります(印象採得)。

より精密な型取りを行うため、咬合採得と印象採得で得られた情報をもとに、BPS認定技工士がナノメータ付きの個人用トレーを製作します。

2回目

一般的な入れ歯は、口を開けた状態でしか型取りをしませんが、BPS義歯は個人用トレーを用いて、口を開けた状態や上下の歯で噛み合わせた状態など、さまざまな状態や動きに合わせて型取りを進めます。
また、会話時や食事をとるときの口の動き、噛む力なども詳しく検査し、人工歯の形や色、大きさなども患者さまと相談しながら決めます。技工所で採得したデータをもとに、蝋で作られた仮の義歯を製作します。

3回目

蝋義歯を装着して、噛み合わせの確認や人工歯の色など審美面をチェックします。
義歯がしっかり歯茎に密着しているかも重要です。修正は最終段階に入るので、この時点で見た目などの要望がある場合は、しっかりつたえておきましょう。

結果をもとに、超精密重合装置「イボカップ」にて最終調整を行います。

4回目

イボカップにて製作された義歯を、実際に装着します。その後、定期健診で口腔内の状態を観察します。

BPS義歯の製作費用
電卓で費用を計算している

BPS義歯は、総入れ歯として製作されるのが一般的です。部分入れ歯の製作も行っている医院もあるので、検討している方は相談するとよいでしょう。

BPS義歯の費用は、以下のとおりです。

<BPS義歯の費用>

総入れ歯 約50万円
部分入れ歯 約35万円

保険適用ではないので費用が高額ですが、歯の機能回復を目的として製作する場合は、医療費控除の対象です。見た目をよくしたいという審美面だけを目的とする場合は、医療費控除の対象にはなりません。対象かどうか気になる方は、担当の医師に確認しましょう。

医療費控除とは、1年のうちに医療費が10万円以上を超えた場合、所得に応じて費用の一部が返金される制度のことです。申請すればある程度費用がおさえられるので、対象の方は活用しましょう。

まとめ
ポイントを指さす男性

BPS義歯は、これまでの入れ歯にはない審美性や機能性の高さが特徴の入れ歯です。従来の入れ歯は、見た目がよくない、噛みにくい、といったデメリットが目立つことから、インプラント治療を選択する方も多いです。

しかし、インプラント治療は複数本だとかなり高額です。また、外科手術が必要なので、身体への負担も大きいでしょう。

入れ歯はほぼすべての症例に適応しており、インプラントやブリッジが受けられない方でも治療可能なことがほとんどです。BPS義歯は、今までの入れ歯と違って精密に作られるため、自然な見た目で噛み心地がよいなど、さまざまなメリットがあります。医師や技工士は認定された者しか治療に関わることができないので、品質も安定しています。気になる方は、一度医師に相談してみるとよいでしょう。
BPS義歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。