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コンポジットレジンの可能性

2011年5月11日

前回マイクロスコープを用いた、MI(minimal intervention)という、歯の保存を最大の目的とした、必要最小限の治療についてお話ししましたが、そのMI治療の中で非常に多用するのが、コンポジットレジンといわれる、いわゆる強化プラスチックのような材料です。
従来の基本的な治療は、虫歯の範囲がそれほど大きくなくても、技工士が物理的に作ることができるある程度の大きさまで歯を削り込み、それを型取りして、口の外で詰め物を作っていました。
結果として、健康な歯の部分もかなり削らなければなりません。
反対に、MI治療が可能になってくると虫歯の部分だけをピンポイントで削り、その部分だけその日に即日つめることができます。
利点は、歯を削る量を非常に少なくできる事と、治療アポイントが一回で済む事です。
欠点としては、口の中という環境で、正確に精密に、しかも審美的に充塡しようとすると、かなりの時間を要するので、患者様が口を開けっ放しにする時間が長いことです。
このコンポジットレジン治療は以前からある治療方法ですが、肉眼で短時間で行ってしまうと、数年で劣化、変色し、虫歯の再発やレジンの破折や摩耗が起こってしまうので、確実な治療とは呼べませんでした。
その中で、マイクロスコープやコンポジットレジンの物性の向上、器具の充実化、より審美的に長期的に安定した状態を保つ為の様々なテクニックの開発により、コンポジットレジンでの治療がかなり予知性とクオリティーの高いものとなってきました。
このコンポジットレジンという材料は、液体状のものと、ペースト状のものがあり、どちらも光を当てると硬くなります。
虫歯を除去して、できた穴が非常にちいさい場合や、デコボコしている場合は、液体状のものをさっと流して固めます。
範囲が大きかったり、天然の歯の形を様々な小さな彫刻刃のような器具で形作る時は、ペースト状のものを使うのが一般的です。
ただ、5ミリから1センチくらいしかない小さな歯を、しかも口の中という環境の中で、職人の彫刻作業をするのはなかなか難しいものはありますので、かなりのトレーニングが必要ですが、その手間ひまがかかる分、治療後に患者様に見て頂いた時の喜んで頂けたお顔を見ることができると、更なるレベルアップに励めます。
実際にどのようなことができるのかご紹介したいと思います。
また、詳細は動画でも公開したいと思っておりますので、ひとまずは写真で。
1)前歯の審美ケース。
以前肉眼でつめたものを、マイクロスコープで再修復しています。
継ぎ目を分かりにくくし、色も3層に重ねてより天然の歯に近い色を目指しています。
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2)歯が欠けてしまった部分を修復したケース。
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隣の歯に接着剤が流れてしまわないように、隣の歯を保護して充填していきます。
レジン静止画 16.jpg
治療完了後です。
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3)他院にて以前レジン治療を受けられた部分の虫歯が再発してしまったケース。
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虫歯を除去して、表面処理をした後、充塡していきます。
より天然に近づけるように、歯の色と、立体的な形態を形作っていきます。
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色と立体的な形態が整えば、どの部分をつめたのか分からないようにすることができます。
DSC00200.jpg
4)奥歯の金属をはずして、歯と同じ色のレジンでつめ直したケース。
DSC00151.jpg
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歯と歯の間の隣接部分を立体的に充填するために、専用の器具で隔壁を作ります。
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治療完了時です。
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5)本来であれば被せ物にしなければいけない、大きな範囲の虫歯治療ですが、高齢のため通院回数を減らすため、またその歯に引っ掛ける入れ歯の作り直しを避けるために、コンポジットレジンにて即日修復したケースです。
レジン静止画 05.jpg
虫歯を除去して、ペースト状のレジンを何層にも充填していくところです。
レジン静止画 06.jpg
レジン静止画 15.jpg
非常に範囲が広いため、色の問題にやや難がありますが、引っかかりもなく精密につめることができました。
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以上のように、コンポジットレジン治療にも様々な方法があり、今後の進化に期待ができます。
当院でも飛躍的にその応用範囲も拡大し、器具道具も急速に増えてきています。
下の写真が、肉眼で治療していた時代の必要最小限の器具です。
DSC_0009.jpg
下の写真が現在の器具です。
今も日々増えていっているので、アシスタントは名前と使い方を覚えるのが大変ですが、より良い治療の為、患者様に喜んで頂く為、毎日必死で頑張ってくれています。
DSC_0006.jpg
このコンポジットレジン治療が成功するかどうかの鍵は、ドクターのテクニックスキルと、様々な材料道具を適材適所に正確に使う事のできる知識にその全てがかかっています。
これからもよりよい治療の為、日々トレーニングと勉強に精進していきたいと思います。
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