こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
歯の神経まで達した虫歯や、根の先に膿がたまった場合などに行われる根管治療は、歯を残すために欠かせない大切な処置です。
しかし、治療後に痛みや腫れが再発したり、違和感が残ったりすることがあります。そうした場合には、根管治療のやり直しが必要になるケースも少なくありません。根管治療は非常に繊細で、歯の状態や治療の精度によって成功率に差が出やすい処置です。
今回は、根管治療の基本から、やり直しが必要となる主な原因、再治療の流れ、そして再発を防ぐためのポイントまでを、わかりやすく解説していきます。
根管治療とは
根管治療（こんかんちりょう）とは、虫歯や外傷などによって歯の内部にある神経（歯髄）が炎症を起こしたり、死んだりした場合に行う治療です。歯の内部には根管と呼ばれる細い管が通っており、そこに細菌が入り込むと痛みや腫れ、膿の原因になります。
根管治療では、この根管内の感染物質や細菌を取り除き、内部をきれいに洗浄・消毒したうえで薬剤を詰めて密閉し、再感染を防ぎます。その後、歯の機能を回復させるために被せ物を装着します。
根管治療は歯を抜かずに残すための重要な処置であり、治療の質が歯の寿命を左右するともいえます。
根管治療のやり直しが必要になる主な理由
一度根管治療を行った歯でも、時間が経つと再び問題が起こることがあります。そのような場合には、治療のやり直しが必要になることがあります。では、どのようなときに再治療が必要になるのでしょうか。
再び感染した
根管治療を終えた歯でも、内部に細菌が侵入して再び感染を起こすことがあります。これは、被せ物が時間の経過とともに劣化したり、歯との間に小さなすき間ができたりすることで起こります。そこから細菌が根管内に入り込み、炎症や膿の原因になるのです。
痛みや腫れといった症状が出ることもあり、再感染が確認された場合は、根管治療をやり直す必要があります。
細菌の取り残しがあった
根管内はとても細く、曲がりくねっているため、治療時にすべての汚れや細菌を取り除くのは非常に難しいことがあります。特に根管が複雑な形をしている奥歯では、見落としや取り残しが起こりやすく、それが原因であとから炎症が再発することもあります。
治療直後は問題がなくても、数ヶ月〜数年後に痛みが出てくる場合もあり、そのような場合は再治療が必要になります。
歯にひびが入った
根管治療を受けた歯は、神経を除去しているため、健康な歯に比べてもろくなりやすいです。そのため、硬いものを噛んだり、強く食いしばったりすると、歯に小さなひびが入ることがあります。
このひびが入った部分から細菌が入り込むと、根の中で再び感染が起こり、痛みや腫れにつながることがあります。特に、被せ物の下にある歯にひびが入っている場合は、外から見ても気づきにくいため注意が必要です。
なお、ひびが深く、歯の根まで達している場合には、根管治療では対応できず、残念ながら抜歯が必要になるケースもあります。噛んだときに違和感がある、冷たいものがしみるといった症状がある場合は、早めに歯科医院でチェックを受けましょう。
根管治療のやり直しの流れ
再治療が必要になった場合、どのような手順で行われるのかを知っておくことは、患者さんの安心にもつながります。
検査
根管治療をやり直すかどうかを判断するために、最初に行うのが検査です。
主にレントゲンを使って歯の内部の状態を確認します。たとえば、根の先に膿がたまっていないか、以前の治療で薬がしっかり詰められていたかなどを詳しく調べます。より精密に確認するためのCT検査を行うこともあります。
これらの検査を通じて、再治療が必要かどうか、どのような方法で治療を進めるかが決まります。不安を感じやすい場面ですが、的確な検査が成功への第一歩になります。
被せ物や土台の除去
検査の結果、再治療が必要と判断された場合は、まず現在装着している被せ物やその下の土台を取り外します。これは、根の中に再びアクセスするために必要な処置です。取り外す際は、歯にできるだけ負担がかからないよう、慎重に行われます。
根管内の洗浄と消毒
歯の中にある細い管に再びアクセスできたら、まず行うのが根の中の洗浄と消毒です。根管はとても細くて曲がりくねっており、場所によっては奥まで見えないこともあります。そのため、専用の細い器具や消毒薬を使いながら、丁寧に根の奥深くまで掃除していきます。
感染の程度によっては、何回かに分けて洗浄・消毒を行うこともあります。この処置をしっかり行うことで、再発のリスクを大きく減らすことができます。
根管内の充填
根の中をしっかり洗浄・消毒したあとは、内部に細菌が入り込まないように、専用の薬剤で根管をすき間なくふさぎます。これを根管充填といいます。薬剤をすき間なくきちんと詰めることで、再発のリスクを大きく減らすことができます。
被せ物を作製・装着
歯の根の治療が終わったら、歯の機能を回復させるための被せ物（クラウン）を作ります。見た目や噛み合わせ、耐久性などを考えて、素材を選んでいきます。
オールセラミックやジルコニアなど、自然な見た目で強度の高い素材も選べるようになってきています。見た目や費用などを考慮して、自分に合ったものを選びましょう。被せ物をしっかり装着することで、治療した歯を長持ちさせることができます。
メンテナンス
治療が終わったあとも、油断は禁物です。根管治療を受けた歯は再び感染するリスクがあるため、定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切です。また、被せ物の状態や噛み合わせの変化なども診てもらうことで、問題が起こる前に対処できます。
日ごろのセルフケアと合わせて、定期検診を習慣にすることが、再治療を防ぐためのポイントです。
根管治療のやり直しを防ぐためのポイント
根管治療は一度で終わるのが理想ですが、再治療になるケースも少なくありません。治療後の歯を長く保つためには、日々のケアや心がけがとても大切です。ここでは、再治療を防ぐために意識しておきたいポイントをご紹介します。
定期検診を欠かさない
根管治療が終わった歯は、一見問題がなくても、時間が経つうちにトラブルが起こることがあります。見た目には変化がなくても、被せ物のすき間から細菌が入り込み、根の中で再び炎症を起こすことがあるのです。
定期検診では歯科医師が被せ物の状態や歯ぐきの変化、根の状態などをチェックします。早めに異常を見つけて対応すれば、再治療をせずに済む可能性があります。大切な歯を長持ちさせるためにも、定期的に検診を受けましょう。
異常があればすぐに歯科医院を受診する
治療を終えた歯でも、痛み・違和感・噛んだときのズレなど、小さな異常を感じることがあります。そうしたサインを放っておくと、再び感染や炎症を起こし、再治療が必要になる可能性があります。
「ちょっと気になるけど我慢できるから大丈夫」と思わず、早めに歯科医院で診てもらうことが大切です。早期発見・早期対応が、歯を長持ちさせるためには重要です。
噛み合わせを調整する
噛み合わせが合っていないと、特定の歯に負担がかかりやすくなります。根管治療をした歯はもろくなっているため、強い力が加わると、ひび割れや被せ物の破損につながることもあるでしょう。
歯科医院では、噛み合わせを細かく調整し、力が偏らないようにします。また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方には、マウスピースを使って歯を守る方法もあります。噛み合わせのチェックは、歯を長く守るための大事なポイントです。
適切な被せ物を選択する
根管治療のあとは、歯を保護するために被せ物を装着します。この被せ物の選び方によって、治療した歯がどれだけ長持ちするかが大きく変わってきます。
被せ物には、保険適用の金属製のものから、見た目が自然で丈夫なセラミック製のものなど、さまざまな種類があります。強度や見た目、耐久性、費用など、それぞれに特徴があるため、自分の希望やライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。
まとめ
根管治療は、歯を抜かずに残すための大切な処置ですが、治療後にトラブルが起こると、やり直しが必要になるケースもあります。再治療の原因には、再感染や被せ物の劣化、ひび割れなど、さまざまな要因がありますが、早期の発見と適切な対応で歯を守ることができます。
また、治療が終わったあとも定期的に検診を受けること、異常があるときは速やかに歯科医院を受診することが、再治療を防ぐポイントです。自分の歯を長く健康に保つために、治療後のケアを丁寧に続けていきましょう。
根管治療を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・歯周病治療や入れ歯治療、インプラント治療など、さまざまな診療に力を入れています。ホームページはこちら、無料相談も行っておりますので、ぜひご覧ください。
