歯が悪くなってしまった方に対して、
「歯磨きをしなかったから」
「甘いものを食べすぎたから」
「もっと早く歯医者に行けばよかったのに」
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、実際に患者様のお話を伺っていると、それほど単純ではありません。
そこに至るまでには、その方にしかわからないさまざまな事情があります。
子どもの頃の歯科治療がトラウマになっている方
子どもの頃、怖がっているにもかかわらず押さえつけられて治療を受けた。
麻酔や治療で強い痛みを経験した。
何をされるかわからないまま治療が進み、怖い思いをした。
その経験が大人になっても残り、「歯医者に行かなければ」と思うだけで身体がこわばってしまう方がいます。
行きたくないわけではありません。
むしろ、「本当は行かなければいけない」と何年も悩み続けていることがあります。
勇気を出して歯医者に行ったのに、傷ついてしまった方
一度は勇気を振り絞って歯科医院を受診したものの、「どうしてこんなになるまで放っておいたのですか」と強い口調で言われた。
他の患者様にも聞こえるような場所で、お口の状態について話された。
人には知られたくない悩みを、十分な配慮なく聞かれた。
そのような経験から、「もう二度と歯医者には行きたくない」と思うようになってしまった方もいらっしゃいます。
ただでさえ、歯を見せることに恥ずかしさを感じている中で、否定されたり、周囲の目を気にしなければならなかったりすれば、さらに足が遠のいてしまうのも無理のないことだと考えています。
歯のことまで考える余裕がなかった方
歯が悪くなった背景には、歯科治療への恐怖だけではない場合もあります。
たとえば、
摂食障害や過食嘔吐などのお悩みを長期間抱えていた。
ご両親やご家族の介護が続き、自分自身の健康を気遣う余裕がなかった。
妊娠・出産を繰り返し、そのたびにつわりなどでお口のケアが難しくなった。
家庭や仕事、人間関係などに大きな問題を抱え、歯のことまで考えられる状況ではなかった。
人それぞれ、歩んでこられた人生があります。
その背景を知らないまま、
「自己管理ができなかった」
「だらしなかった」
と決めつけることは、当院ではいたしません。
話したくないことを無理に話す必要もありません。
ただ、治療を考えるうえで伝えておきたいことがあれば、周囲を気にせずお話しいただける環境を整えています。
