入れ歯コラムCOLUMN

総入れ歯治療の手順とは?

総入れ歯治療の手順

総入れ歯を製作する前に、総入れ歯を使用できるようになるまでにどれくらいの期間が必要で、どのような手順を踏んで進められるのかを知っておきたいという方も多いのではないでしょうか。今回は保険適用の総入れ歯を製作する場合を例に、入れ歯完成とその後までの一連の流れについて解説します。

カウンセリング・検査

総入れ歯治療は、歯科医師によるカウンセリングからスタートします。

どのような治療をご希望か、治療に際して不安点はないか、治療中の病気の有無のほか、過去に入れ歯治療を行ったことがある場合はその内容を詳細にお伺いします。

患者様によっては歯科医院に対して恐怖心やトラウマを抱えていらっしゃる方も少なくありません。安心して治療を受けていただくためにも、丁寧なカウンセリングを行います。

カウンセリング後に、まずはお口の中や顎の状態を検査します。残っている歯の状態や歯周病菌の有無、顎関節や表情筋の動きなどを確認することで、どのような入れ歯が適しているかを歯科医師が判断します。

なお、虫歯や歯周病をお持ちの患者様に関しては、総入れ歯製作に入る前に治療が必要です。残っている歯の状態によっては、時間をかけて治療を行ったり、歯を抜いたうえで総入れ歯を製作したりする場合もあるということも踏まえておきましょう。

治療計画の説明

カウンセリングや検査の結果を基に、今のお口の中の状態の説明と、具体的な治療法のご提案をいたします。複数の治療法がある場合は、それぞれのメリットやデメリット、治療にかかる費用や治療期間についてもここでご説明します。

総入れ歯治療にかかる期間は、保険適用の入れ歯の場合で1ヶ月程度が一般的で、下記のような手順を踏んで進められます。

  • 印象採得
  • 咬合採得
  • 試適
  • 完成

一度歯科医院に行って治療を受け、その1週間後に再度通院といった流れになるため、保険適用の総入れ歯が完成するには約1ヶ月程度かかります。

ここからはそれぞれの工程でどのような作業が行われるのか、具体的に見ていきましょう。

印象採得(型取り/いんしょうさいとく)

総入れ歯製作において最も重要とされるのが、印象採得(口の中の型取り)と呼ばれる工程です。人の口の中は細かい凹凸が多いだけでなく、歯が抜けた歯茎部分は柔らかくなっています。そのため、快適な使用感の総入れ歯を製作するためには、一番自然な状態の歯茎の型を取る必要があるのです。

印象採得は次のような手順で行われます。

1)1回目の印象採得

金属でできた既成トレーによる型取りです。ガムのような質感の印象材を盛り付け、歯茎部分に押し当てて型を取ります。

2)個人トレーの製作

1回目の型取りで採取した型を元に、2回目の型取り用のトレーを製作します。患者様専用のトレー(個人トレー)を使用することで、より精密な型取りが可能になるのです。

3)2回目の印象採得

個人トレーを使用して、2回目の型取りを行います。口の中の粘膜は柔らかいため、いかに粘膜に変形のない状態で型取りを行えるかが、完成した総入れ歯の使用感を大きく左右する重要なポイントです。

4)石膏模型の製作

2回目の型取りで採取した型に石膏を流し込み、歯茎部分の模型を製作します。歯科技工士は石膏模型の上で入れ歯製作を行います。

患者様の歯茎部分の模型が完成したら、いよいよ義歯と義歯床(歯茎部分)の製作に移ります。

咬合採得(こうごうさいとく)

「咬合採得とは、患者様の咬み合わせを採取する工程です。印象採得により完成した石膏模型に、咬合床(こうごうしょう)という咬み合わせをとるための土台を製作します。咬合床はピンク色のレジン(プラスチック)と柔らかいパラフィン(ロウ)でできており、患者様に噛んでいただくことで、咬み合わせや適切な歯の高さを記録していきます。

咬み合わせの記録をとった石膏模型と咬合床は、「咬合器(こうごうき)」という機械に装着されます。咬合器は患者様のお口の中の状態を再現するものです。歯科技工士は咬合器に装着された咬合床に、歯並びや歯の色味を見ながら義歯を並べていきます。

試適(してき)

歯科技工士によって作られた入れ歯を試しに装着していただく「試適」を行います。この時に歯並びの調整を行い、快適に噛めて見た目も美しくなるよう整えながら、患者様の顎の動きと入れ歯の咬み合わせが調和しているかを確認します。この段階では入れ歯の土台がまだ柔らかい状態ですので、希望に応じて修正が可能。違和感や要望がある場合は、試適の際に伝えるようにしましょう。試適は非常に繊細な工程のため、患者様のお口の状態や噛み合わせの癖などによっては複数回行われる場合もあります。

完成

試適の段階で使用していた柔らかいパラフィンの部分をレジンに置き換えたら、患者様専用の総入れ歯の完成です。

入れ歯が完成したら一度患者様に使用していただき、お口の中に痛みや傷が生じないように調整後、最後に噛み合わせの確認をして治療終了となります。

入れ歯をお渡しする際には、つけ方や取り外し方、日頃のお手入れの仕方についても説明いたします。

メンテナンス

一度入れ歯を製作したら終わり、というわけではないのが総入れ歯治療。総入れ歯完成後も、定期的に歯科医院で検診を受けるようにしましょう。義歯を使用している方、特に総入れ歯の方は、お口の中の状態が絶えず変化しているためです。

歯が抜けて年月が経つと、歯茎や顎の骨がだんだんと痩せていき、最初に製作した入れ歯がぴったりとハマらなくなります。その場合は入れ歯に調整を加える必要があり、場合によっては作り直しをすることになります。

ご自身では問題なく使用できていると思っていても、粘膜との接着面がゆがんでいたり、義歯がすり減ってしまうことも。このようなちょっとした変化がやがては痛みや不快感につながってしまいます。定期的にチェックして早期に調整することで、長く快適に総入れ歯を使用することが可能になるのです。

総入れ歯治療は、歯科医師と患者様が協力して、二人三脚で進めていきます。今回は保険適用の入れ歯を例に解説しましたが、保険適用外の入れ歯を製作する場合は、さらに工程が増えたり、長い期間が必要になったりする場合もあります。

総入れ歯治療を始める際は、あらかじめどのような工程で進めていくのか、どのくらいの期間が必要になるかを確認しておくと安心です。

総入れ歯専門クリニックのカウンセリング~治療の流れ

ここまで保険適用の総入れ歯を製作する場合の、基本的な流れを解説してきましたが、もっと快適に使えて見た目も美しい入れ歯が欲しいという理由から、保険適用外の総入れ歯を選択される患者様も多くいらっしゃいます。

中でも当院・木下歯科医院で製作する「ESTEETH(エスティース)」は、まるで本物の歯のような使用感と審美性を追求した「精密入れ歯」。入れ歯専門の高度な治療技術を持つ木下院長が、カウンセリングからアフターフォローまですべてを担当いたします。

木下歯科医院では入れ歯専門の歯科医院として、1回の治療に1時間から2時間という時間をいただき、合計4回の通院で総入れ歯を製作するのが大きな特徴。保険診療の入れ歯の約8倍という長い時間をかけるのは、患者様おひとりおひとりのお口の状態だけでなく、筋肉の状態・噛み合わせ・噛み方に合った入れ歯を作るためです。

お口の中の型取りを行う「印象採得」の工程では、4種類ものシリコン印象剤を使用し、4回から6回に渡って精密に型をとります。こうしたこだわりが、患者様一人ひとりにフィットして快適に使える総入れ歯を実現しています。

初めて足を運ぶ歯科医院はとても緊張するもの。特にお口の悩みはとてもデリケートで、なかなか正直に話せないという患者様も少なくありません。木下歯科医院では診察室とは別に、リラックスしてお座りいただけるカウンセリングルームをご用意しています。無料相談も実施しておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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医療法人社団 木下歯科医院 
院長 木下 貴雄

  • 国立徳島大学歯学部歯学科 卒業
  • IPSG咬合認定医
  • BPSメンバー(日本第一号となる精密入れ歯国際ライセンス認定歯科医師)