入れ歯コラムCOLUMN

入れ歯職人への道 その2

先日ある患者様に、約四ヶ月間の治療を無事終え、よく頑張って下さいましたと治療後の感想をお聞きしていたときのお話です。


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その方は、開業して間もない頃にどこからともなくふらっと現れた方で、お話をしていくうちに某有名大学の外科の名誉教授だということがわかり、そんな方の治療をさせて頂けることに嬉しさを覚えつつ、反面たくさんのプレッシャーを感じながらの治療のスタートだったことを覚えています。


お口全体を治療していく大掛かりな治療だったので、被せ物を担当する技工士と、入れ歯を担当する技工士と、3人で綿密な症例検討を測り、お互いの知恵と、技を出し合って、いい治療をしようと話し合って治療を進めていきました。


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そして、当初計画した治療計画通りにスムーズに治療は進行し、そして晴れて全ての治療を終了し、技工士二人と3人で迎えた最終日の入れ歯のセットの日の患者様のお言葉です。


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「全く違和感がなく、とても口の中が軽くなりました。今まで色んな歯科治療を受けてきましたが、今までの自分の歯科治療に対する概念が変わりました。これだけ精密にこだわって一つ一つの治療を行って、しかもこれだけの技工士との連係プレーの中行った治療は、これだけの結果がついてくるんですね。」


このお言葉だけでも、私たち3人は鳥肌ものの感動だったのですが、最後の帰り際に治療後のせめてものお祝いに花束をお渡ししたのですが、その際に更に嬉しいお言葉を頂きました。


「本来であれば、もっと治療費を払いたいんですが、受け取って頂けないのであれば、せめてこれで皆さんで食事でもして下さい。」


よく、歯科治療は高いというお言葉を頂きますが、もっと払いたいとおっしゃって頂いたのは初めてでしたので、びっくりするとともに、私も技工士もこだわって時間をたくさんかけて作り上げた成果だったので、本当に嬉しく、一生懸命仕事していてよかったなと手に手を取り合った瞬間でした。


私自身も治療中は全神経をお口の中に集中し、少しでもいい型取りが出来るように努力しますが、一人の戦いなのでとてもストイックな時間です。もちろん、それに答える技工士達も、夜遅く一人で僕が取った型に対してどれだけ精密なものを作り出すことができるか、とてもストイックな時間を過ごしています。


お互い作り出す時間はとても孤独で、ピリピリとしているのですが、こうしてその全ての努力が患者様の満足と喜びの声として返ってきた時、そのストイックな時間が報われ、そしてドクターと技工士の孤独な時間が、つながるのだと思います。


そんな職人同士の意地の張り合いにも似たチームプレーがもたらした結果だと思います。
これからまた、お互いに技と知識を磨いて、一人でも多くの患者様に喜んで頂きたいと思います。


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医療法人社団 木下歯科医院 
院長 木下 貴雄

  • 国立徳島大学歯学部歯学科 卒業
  • IPSG咬合認定医
  • BPSメンバー(日本第一号となる精密入れ歯国際ライセンス認定歯科医師)