入れ歯コラムCOLUMN

奥歯1本だけの部分入れ歯は作れる?奥歯を部分入れ歯にするメリット

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
奥歯をチェックする女性

奥歯は歯磨きがしにくいため、虫歯や歯周病が原因で失うことも珍しくありません。

しかし、奥歯を1本失ってもほかの歯で噛めるからと放置している方がいるのではないでしょうか。歯並びや噛み合わせのバランスに大事な奥歯は、1本でも失うとさまざまな悪影響を及ぼすため、なるべく早く治療することが大切です。

歯を失った場合の治療法の一つに、部分入れ歯があります。部分入れ歯を検討中の方のなかには、奥歯1本だけの部分入れ歯は作れるのか疑問をおもちの方もいるでしょう。

今回は、奥歯1本だけの部分入れ歯は作れるのか解説します。奥歯を部分入れ歯にするメリットや費用についても解説しますので、失った奥歯の治療に部分入れ歯を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

奥歯1本だけの部分入れ歯は作れる?

奥歯の部分入れ歯に対する疑問イメージ
歯を失った場合の治療法には、入れ歯・インプラント・ブリッジがあり、入れ歯には総入れ歯と部分入れ歯があります。奥歯を1本だけ失った場合でも部分入れ歯は作れるのか気になっている方がいるのではないでしょうか。

部分入れ歯は、奥歯1本だけでも対応可能です。

ただし、一番奥の歯を部分入れ歯にする場合、安定性に欠ける場合があります。

奥歯には、前から4・5番目の小臼歯、6・7番目の大臼歯の合計4本あります。部分入れ歯は隣の歯を支えにするため、両隣の歯を支えにできる小臼歯や6番目の歯は安定した部分入れ歯を作りやすいのです。

しかし、前から7番目にある歯のうしろ側には歯がありません。そのため、部分入れ歯が安定せず、動くことや外れることがあるのです。

また、小臼歯や6番目の歯の部分入れ歯であっても、支える歯の状態が悪い場合には、安定しにくいでしょう。部分入れ歯を安定させるために、支える歯の本数を増やすこともあります。

このことから、奥歯1本だけの部分入れ歯は作れますが、部分入れ歯にする奥歯の位置や支える歯の状態によっては安定しない場合があるのです。

奥歯が抜けた状態を放置してはいけない理由

奥歯が抜けたまま放置はNG
奥歯が抜けた状態を放置すると、以下のようなリスクがあります。

挺出(ていしゅつ)する

歯は上下の歯が噛み合うことで本来あるべき位置に安定しますが、奥歯を1本失ったまま放置すると、噛み合うはずの奥歯が徐々に空いたすき間に伸びることがあります。このように、奥歯を1本失うことで本来あるべき位置からズレることを挺出といいます。

例えば、上の奥歯を1本失った場合、本来噛み合うはずの下の歯が上に伸び、最終的には下の歯もダメになることがあるのです。

挺出は奥歯を失ったあとすぐに起こるものではなく、時間をかけて徐々に進行します。放置すればするほど噛み合う歯が挺出し、挺出した歯が邪魔になって部分入れ歯が作れない場合もあるため、奥歯を失ったらなるべく早く治療しましょう。

歯並びが悪くなる

奥歯が抜けた状態を放置すると、空いたすき間を埋めようと隣の歯が倒れることがあります。隣の歯が大きく倒れると全体の歯並びのバランスが崩れるのです。

噛み合わせが悪くなる

奥歯が抜けた状態を放置すると、歯並びだけでなく噛み合わせも悪くなることがあります。

特に、全体の噛み合わせのバランスを保っている6番目の奥歯を失うと、食べ物を噛みにくくなるのです。また、硬いものが噛めない場合や片方の歯でしか噛めない場合には、顎のバランスが崩れ、さらに噛み合わせが悪くなるでしょう。

虫歯・歯周病のリスクが高まる

挺出した歯や倒れた歯はほかの歯に比べて歯磨きがしにくいです。磨き残しが出やすいため、虫歯・歯周病のリスクも高まります。

また、奥歯が抜けた状態を放置すると、しっかり噛めなくなることで唾液の分泌量が減ります。唾液の分泌量が減ると口の中の細菌が繁殖しやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。

消化器官に負担がかかる

奥歯を失うと、咀嚼力が下がります。食べ物をしっかり咀嚼せずに飲み込むと、消化器官に負担がかかるのです。

奥歯を部分入れ歯にするメリット

奥歯を部分入れ歯にするメリットイメージ
奥歯を1本失った場合の治療法には、部分入れ歯以外にブリッジやインプラントなどの選択肢もあります。「奥歯を部分入れ歯にするメリットはあるの?」と疑問をおもちの方もいるでしょう。ここでは、奥歯を部分入れ歯にするメリットについて解説します。

奥歯を部分入れ歯にするメリットは、以下の4つです。

保険が適用されるため費用が安い

部分入れ歯は保険が適用されるため、費用を抑えられます。

奥歯を1本失った場合の治療法にはブリッジやインプラントもありますが、保険が適用される部分入れ歯を選択することで、ほかの治療法よりも費用を抑えられるのです。

もちろん部分入れ歯も保険・自費のどちらも選択できますが、初めて部分入れ歯にする場合は保険の部分入れ歯を試してみるとよいでしょう。

取り外しができるためお手入れしやすい

部分入れ歯はブリッジやインプラントのように固定するものではなく、取り外しができます。取り外しができるためお手入れしやすく、お口の中を清潔に保つことができる点は大きなメリットといえるでしょう。

適応範囲が広い

部分入れ歯は、歯が1本でも残っていれば適応可能です。奥歯1本はもちろん、複数本失った場合にも対応できます。

ほかの治療法に比べて負担が少ない

ブリッジは歯を大きく削る必要があるため、ほかの歯に負担がかかります。また、インプラントも外科手術が必要になるため、身体的負担がかかりやすく、健康状態によっては治療できない方もいるのです。

一方、部分入れ歯は歯を削ることがほとんどなく、外科手術を行う必要もないため、ほかの治療法に比べて負担が少ないといえるでしょう。

奥歯を部分入れ歯にするデメリット

奥歯を部分入れ歯にするデメリットイメージ
奥歯を部分入れ歯にするデメリットは、以下の3つです。

慣れるまで違和感が出やすい

部分入れ歯は周りの歯を支えにするものの、歯茎の上に乗せているような状態なので違和感が出やすいです。特に、保険の部分入れ歯の素材はプラスチックであるため、違和感が出やすく、慣れるまでに時間がかかるでしょう。

また、プラスチック素材は熱を通しにくいため、部分入れ歯によって食べ物の温度を感じにくくなることがあります。

しかし、部分入れ歯に慣れることでこのような不快感は解消されるため、徐々に慣れていくことが大切です。

噛みにくい

部分入れ歯は天然の歯に比べると噛む力が劣るため、奥歯1本だけを部分入れ歯にした場合でも噛みにくさを感じることがあります。特に、せんべいなどの硬いものは噛みにくさを感じやすいでしょう。

隣の歯が虫歯・歯周病になりやすい

部分入れ歯は、隣の歯にクラスプという金属をかけて固定します。クラスプの周りや歯と入れ歯の境目には食べかすが溜まりやすいです。食べかすが溜まった状態が続くと、部分入れ歯の両隣の歯が虫歯・歯周病になるリスクが高まります。

部分入れ歯の種類と費用

部分入れ歯の種類と費用について考える女性
部分入れ歯は保険と自費どちらでも治療可能です。

ここでは、部分入れ歯の種類と費用について解説します。

レジン床義歯

レジン床義歯とは、歯茎の部分はプラスチック、クラスプ部分は金属でできた、保険の部分入れ歯です。保険の部分入れ歯は素材に限りがあることから、違和感が出やすい場合やクラスプ部分が目立つ場合があり、使い心地はあまりよくありません。

しかし、奥歯1本だけのレジン床義歯は1回の型取りで作製できることが多いため、治療期間は短く、費用も抑えられます。

レジン床の費用は、3割負担で5,000~15,000円程度です。

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーは歯科医院によってはスマイルデンチャーやフレキシブルデンチャーなどと呼ばれますが、基本的に構造は同じでクラスプ部分にピンク色の樹脂を使用した自費の部分入れ歯のことです。

ノンクラスプデンチャーのピンク色の樹脂は歯茎に馴染みやすいだけでなく、自然な透明感があるため、口元が自然で美しく、保険の部分入れ歯のように目立ちません。

しかし、素材的に調整がしにくいため、場合によっては修理に数日~1週間程度かかることがあります。

ノンクラスプデンチャーの費用は、100,000~300,000円程度です。

コンフォート義歯

コンフォート義歯とは、歯茎部分にシリコン素材を使用した自費の部分入れ歯のことです。歯茎に触れる部分にやわらかいシリコン素材を使用するため、使い心地がよい点がメリットといえるでしょう。

しかし、シリコン部分がやわらかいことで入れ歯がたわみやすく、クラスプをかけている歯に負担がかかることがあります。

コンフォート義歯の費用は、100,000~500,000円程度です。

金属床義歯

金属床義歯とは、歯茎に触れる部分に金属を使用した自費の部分入れ歯です。歯茎に触れる部分に金属を使用することで、保険の部分入れ歯よりも薄く作れます。また、食べ物の温度を伝えやすいことで、おいしく食事ができる点もメリットといえるでしょう。

しかし、入れ歯の形状によっては金属部分が目立つことや、金属の素材によっては費用がかかることがあります。

また、金属床義歯とノンクラスプデンチャーを併用する場合もあります。併用することで、入れ歯自体を薄く作ることができ、歯茎部分の見た目のよさも手に入るため、審美的にも機能的にも優れている点はメリットといえるでしょう。

金属床義歯の費用は、200,000~500,000円程度です。

マグネットデンチャー

マグネットデンチャーとは、残っている歯根と入れ歯にマグネットを埋め込み、磁力によって支える入れ歯です。マグネットの磁力で支えるため、ズレにくく、使い心地がよい点がメリットといえるでしょう。

しかし、歯根にマグネットを埋め込む必要があるため、場合によっては神経の処置が必要になるケースもあります。歯根の状態が悪い場合には、適応できない可能性もあるでしょう。

マグネットデンチャーは自費の部分入れ歯で、費用は200,000~400,000円程度です。


まとめ

奥歯治療の説明
今回は、奥歯1本だけの部分入れ歯は作れるのか、また奥歯を部分入れ歯にするメリットについて解説しました。

奥歯を1本失った場合、ほかの歯で噛めるからと放置すると、歯並び・噛み合わせが悪くなる可能性があります。そのため、奥歯を失った場合には放置せず、速やかに歯科医院を受診しましょう。

部分入れ歯は、奥歯1本からでも治療可能です。部分入れ歯を選択することで、短期間で治療ができ、費用も抑えられます。

当院では、部分入れ歯をはじめ、患者様に最適な治療法をご提案させていただきます。

入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。