こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
みなさんは入れ歯の正しい外し方を知っていますか。入れ歯を雑に扱うと壊れやすく、長持ちさせることが難しくなります。
この記事では、入れ歯の正しい入れ方と外し方について解説します。入れ歯を外すときの注意点と洗浄方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
総入れ歯の入れ方・外し方
はじめに総入れ歯の入れ方と外し方について解説します。
総入れ歯の入れ方
まず、上の入れ歯の前歯部分をつまんで斜めにし、口の中に入れます。その際、入れ歯の床の中央を指で支えながら、上顎に対してゆっくりと圧力を加えて固定します。
次に、下の入れ歯も上の入れ歯と同じように前歯部分を持って斜めに口の中に入れ、指で奥歯部分を押さえつつ、下顎に沿って丁寧に押し込みます。
最終的に、入れ歯がしっかりと固定されているかを確認したあと、ゆっくりと噛み合わせることで、快適に使用できます。
総入れ歯の外し方
入れ歯を外す際は、下の入れ歯から外します。まず、前歯部分をつまんで持ち上げ、後ろの部分を軽く上に浮かせて外します。
上の入れ歯を取り外す際は、前歯部分を掴んだ状態で、後ろの部分を下に向けて動かします。どちらの場合も、入れ歯は斜めにして取り出すことがポイントです。
部分入れ歯の入れ方・外し方
続いて部分入れ歯の入れ方・外し方を解説します。
部分入れ歯の入れ方
部分入れ歯を装着する際は、まずバネ(クラスプ)部分を指でつまみ、口の中に入れます。バネがかかる歯、すなわち鉤歯(こうし)に沿わせながら、入れ歯が適切な位置にフィットするまでゆっくりと指で押し込みましょう。
入れ歯がしっかりと収まったことを確認したあと、さらに馴染ませるためにゆっくり歯を噛み合わせます。初めから入れ歯を噛んで入れようとすると、バネが緩んだり壊れたりするため、必ず指で装着してください。
部分入れ歯の外し方
部分入れ歯の取り外し方は、上下で異なります。
上の部分入れ歯を外す際は、人差し指の爪をバネ(クラスプ)に引っ掛け、親指をバネがかかっている歯の下に当てます。その状態でバネを下に動かすと、入れ歯がスムーズに外れます。
下の部分入れ歯を外すときは、親指の爪をバネに引っ掛け、人差し指をバネにかかっている歯の上に当てます。バネを上に引き上げると、入れ歯が外れます。
もしバネが2つある場合は、両手を使用して同時にバネを動かさなければなりません。片方のバネだけを動かしても、入れ歯はうまく外れないからです。
部分入れ歯を取り外す際は、誤って口の中に落とさないよう、親指と人差し指でしっかりと持ちましょう。小さな部分入れ歯は誤飲のリスクにつながります。
入れ歯を外すとき・外したときの注意点
入れ歯を外すとき・外したときは以下の点に注意しましょう。
落下や衝撃に注意する
入れ歯を外すときは落下させないように注意しましょう。入れ歯は落下や外的な衝撃によって破損することがあります。そのため、取り扱いには十分注意しなければなりません。
一度破損した入れ歯は修復が難しく、接着剤を用いて応急処置をすると危険です。入れ歯は精密に作られているため、わずかなズレや変形があると、口の中にフィットしなくなる可能性があります。
変形・破損した入れ歯を使い続けると、他の歯や歯茎に負担がかかり、痛みを引き起こすことがあります。もし入れ歯が破損したら、自己判断で修理せず、すぐに歯科医師に相談してください。
外した入れ歯は洗浄する
入れ歯を外したら必ず洗浄しましょう。
プラスチック素材で作られている入れ歯の場合、その性質上、水分とともに細菌を吸収しやすくなっています。そのため、カンジダ菌を含むカビや細菌が増殖しやすく、口内環境が悪くなる可能性があります。
また、入れ歯に付着した汚れや細菌が天然の歯に移ることもあります。口腔内の健康を維持するためには、入れ歯を外したら洗浄し、清潔に保つことが重要です。
入れ歯を乾燥させない
入れ歯は乾燥に弱いです。入れ歯が乾燥すると亀裂が入ったり、変形したりする恐れがあります。そのため、就寝前に入れ歯を外して洗浄したら、水または入れ歯用の洗浄剤が入った容器に浸しておくことが推奨されています。
安全な場所に保管する
入れ歯は温度変化や大きな衝撃によって変形したり破損したりする可能性があります。
入れ歯の材質上、急激に温度が変化すると変形する可能性があるため、直射日光が当たる場所や暖房器具の近くなど、温度が大きく変動する場所での保管は避けてください。
また、外した入れ歯は安定した平らなところに保管しましょう。高い棚の上など、落下する可能性のある場所は避け、こどもの手の届かない場所に保管することが大切です。
外した入れ歯の洗浄方法
入れ歯を長期的に使用するためには、清潔に保つことが非常に重要です。入れ歯に食べかすが付着したままだと、入れ歯の劣化を早めたり、虫歯などのトラブルが発生したりします。
入れ歯を外したら水道水を使って、食べかすや唾液を洗い流しましょう。入れ歯専用のブラシまたは指を使用して、優しく汚れを落としてください。
入れ歯洗浄剤を使用すると目に見えない細菌やにおいを除去することができます。入れ歯洗浄際を使用したあとは水道水でしっかりとすすぎましょう。
毎食後に入れ歯を清掃することが理想ですが、それが難しい場合は、少なくとも1日1回、特に就寝前には必ず入れ歯を清掃しましょう。
入れ歯を洗浄するときの注意点
入れ歯を洗浄するときは、以下の点に注意しましょう。
入れ歯の清掃に熱湯やアルコールを使用しない
入れ歯を洗浄する際は熱湯やアルコールは使用しないでください。入れ歯は主にレジンというプラスチック素材で作られており、高温に非常に弱いです。熱湯を使って洗浄すると変形し、入れ歯のフィット感や機能に影響を与える可能性があります。
また、アルコールを使用して消毒しようとする方もいますが、劣化や変形を招く可能性があるためやめましょう。入れ歯を洗うときは、水またはぬるま湯を使用してください。
入れ歯専用のブラシを使用する
入れ歯専用のブラシは、通常の歯ブラシと異なり、入れ歯の清掃に適した設計になっています。ブラシの毛先は通常より硬くなっており、頑固な汚れを効果的に除去できます。
また、ブラシの柄は太く設計されているため、握力が弱い方でも安定して持ちやすく、磨きやすいのが特徴です。
入れ歯専用のブラシのなかには、2種類のブラシがついているものもあり、それぞれ硬さや形状が異なります。大きな植毛部分は比較的一般的な硬さで、入れ歯の広い面積を効率的に磨くことができます。
一方、小さな植毛部分は、入れ歯の複雑な溝や細かい端の部分を丁寧に磨くのに適しています。
素材に合った入れ歯洗浄剤を選ぶ
部分入れ歯と総入れ歯は、材質や構造が異なります。そのため、素材に合った入れ歯洗浄剤を選ぶことが非常に重要です。
特に部分入れ歯には金属が使用されている場合が多く、総入れ歯用の洗浄剤を使用すると、金属部分が変色するリスクがあります。この変色は見た目の問題だけでなく、金属部分の耐久性に影響を及ぼし、結果として入れ歯の全体的な寿命を短くする可能性があります。
洗浄剤を選ぶ際には、製品のラベルや説明書を丁寧に確認し、自分が使用している入れ歯のタイプに適したものを選ぶことが重要です。これにより、入れ歯を長持ちさせ、常に清潔な状態を保つことができます。
まとめ
入れ歯は精密に作られているため、正しく取り扱うことが重要です。総入れ歯と部分入れ歯とでは入れ方・外し方が異なります。入れ歯の入れ方や外し方を誤ると、変形・破損するリスクが高まるため注意しましょう。
また、入れ歯を外したら洗浄することが重要です。入れ歯の洗浄を怠ると細菌が繁殖してトラブルの原因になります。入れ歯を外したら、水またはぬるま湯を使用して洗浄しましょう。入れ歯専用のブラシを使用するとより効率的に汚れを除去できます。
入れ歯洗浄剤を使用する際は、部分入れ歯と総入れ歯それぞれに適したものを選びましょう。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。