こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
夜寝るときに、入れ歯はつけたままでよいのか、外したほうがよいのか悩む方は少なくありません。一度は歯科医院で説明を受けていたけれど忘れてしまったという方もいるでしょう。
では、入れ歯は寝るときに外したほうがいいのでしょうか。また、入れ歯をつけたまま寝たほうがいいケースはあるのでしょうか。
本記事では、入れ歯は寝るときに外したほうがよいのかどうかについて解説します。寝るときの入れ歯の取り扱いに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
入れ歯は寝るときに外したほうがいいの？
基本的には、寝るときには入れ歯を外すことが推奨されています。その最たる理由が衛生面です。口の中の細菌は夜に繁殖しやすいため、衛生面を考慮すると夜寝るときには入れ歯を外したほうがよいのです。口の中に細菌が繁殖すると、口臭の原因になる場合もあります。
必ずしも入れ歯を外さなければならないというわけではありませんが、以下のリスクを考慮して、寝るときには入れ歯を外すことを歯科医院では推奨しています。
感染症が起こりやすくなる
睡眠中は唾液が少なくなり口の中が乾燥しやすくなります。入れ歯をしていると入れ歯に唾液が吸収されて、口の中が乾燥しやすくなるのです。唾液の量が減り、口の中が乾燥すると、細菌が繁殖してさまざまな感染症にかかりやすくなります。
入れ歯にはカンジダ菌などの細菌が付着しており、口腔カンジダ症などの感染症を発症するリスクが高まります。また、細菌が繁殖した唾液を誤嚥することによって、誤嚥性肺炎を起こすリスクも高まるのです。
炎症が起こるリスクが高まる
入れ歯をつけたまま寝ることで、口内炎をはじめとした口腔内の炎症を引き起こす可能性が高まります。
入れ歯をつけていると歯茎や舌下の組織が圧迫されやすくなり、血流が悪くなると炎症を起こしやすくなるのです。夜寝るときに入れ歯を外すだけで血行が回復し、炎症が起こるのを防げるでしょう。
誤飲や外傷のリスクがある
特に、部分入れ歯の場合には寝ている間に入れ歯が取れて誤飲する可能性があります。入れ歯の誤飲を防ぐためにも、入れ歯を外して寝ることが推奨されているのです。
また、寝ている間に入れ歯の金具やバネなどが舌や口腔粘膜に刺さって、口の中に傷がつくリスクもあります。
入れ歯をつけたまま寝たほうがいいケースもある？
夜寝る際、入れ歯は基本的に外すことが推奨されていますが、入れ歯をつけたまま寝たほうがいいケースもあります。
ここでは、入れ歯をつけたまま寝たほうがいいケースについて詳しく解説します。
歯が残っていて入れ歯がぴったりと合っている場合
歯が残っていて入れ歯がぴったりと合っている場合は、つけたまま寝てもよいかもしれません。入れ歯を外すことで残存歯が移動する可能性があるためです。これは生理的な移動であり病的なものではありません。
1日で歯が大きく動くということはありませんが、毎日少しずつ残存歯が移動すると、入れ歯が合わなくなる可能性があるのです。入れ歯を作ったばっかりなのに、急に合わなくなったという方は夜寝ているときに残存歯が移動していることが考えられます。
入れ歯をつけたまま夜寝れば、残存歯の生理的移動を防げるでしょう。
総入れ歯の場合
残存歯が1本もなく、上下ともに総入れ歯を使用している場合も、入れ歯をつけたまま寝ることが推奨されるケースがあります。
歯は人間の平衡感覚に関係しているといわれています。これは歯と歯を噛み合わせることで頭の位置が固定されて腰の位置も安定するためと考えられているからです。
入れ歯を外して寝ると夜中トイレなどに起きたときにバランスがつかめず、転倒して骨折をするなどの事故にもつながりかねません。安全性を確保するという目的で、総入れ歯の方は入れ歯をつけたまま寝たほうがいいという場合もあるのです。
また、口の高さが一定に保てなくなることから顎関節症になるリスクもあります。
歯ぎしりや食いしばりのクセがある
歯ぎしりや食いしばりは、歯に強い力をかけ、歯を動かす原因にもなります。歯ぎしりや食いしばりのクセがある方は、入れ歯をつけて寝たほうが残存歯を守ることにつながるでしょう。
ただし、入れ歯を破損させるほどの歯ぎしりや食いしばりのクセがある方は、入れ歯をしたまま寝ても問題ないかを自己判断せずに、一度歯科医院で相談しましょう。
口の中に歯がないと落ち着かない
日中は歯が全て口の中にある状態で過ごしているため、口の中の歯がなくなると落ち着かなくなり、人によっては眠れなくなるケースもあります。
そのため、口の中に歯がないことで睡眠に支障をきたす場合は、しっかりと入れ歯のお手入れをしたうえで装着して寝てもよいでしょう。
寝る前には入れ歯のお手入れを忘れずに！
入れ歯をつけたまま寝る場合でも、入れ歯を外して寝る場合でも、寝る前には入れ歯のお手入れを忘れずに行いましょう。
ここからは、入れ歯の正しいお手入れ方法を解説します。
ブラシで磨く
入れ歯を外したらブラシを使って自分の歯を磨くように磨きましょう。入れ歯専用のブラシを使用してもよいですが、ふだん使っている歯ブラシでも入れ歯のお手入れはできますので、どちらを使っても構いません。
歯磨き粉を使用して洗ったほうが汚れを落とせるのではないかと考える方がいるかもしれません。
しかし、歯磨き粉を使用して入れ歯を洗うと歯磨き粉に含まれる研磨剤によって、入れ歯に傷がつく可能性があります。そのため、歯磨き粉は使用せず、水とやわらかい歯ブラシを使って磨きましょう。
流水下で洗っても問題ありませんが、水を張った容器に浸しながら磨くことで、ブラッシング中に入れ歯を落として破損するリスクを避けられます。
また、入れ歯の歯茎にあたる部分や金属のバネの部分には、ぬめりのある汚れが残りやすいです。このぬめりには細菌が繁殖している可能性があるため、しっかり落としましょう。
入れ歯専用の洗浄剤に浸ける
入れ歯専用の洗浄剤に浸けることで、ふだんのケアでは落としきれない目に見えない汚れも落とすことができます。そのため、3日に1回程度は入れ歯専用の洗浄剤を使用するとよいでしょう。
入れ歯専用の洗浄剤を使用する場合、洗浄剤を溶かしたり浸けたりするのに時間がかかることがあります。そのため、夜寝る前に使用するとよいでしょう。寝る前に入れ歯専用の洗浄剤に浸けておけば、朝にはきれいになった入れ歯をつけられます。
寝ている間の入れ歯の保管方法
入れ歯を洗い終わったら、水につけた状態で保管しておきましょう。入れ歯は乾燥に弱いです。長時間水気のないところで保管するとひびが入ったり、割れたりすることがあります。
ただし、衛生面を考慮して、つける水は毎日交換しましょう。
なお、寝る前に入れ歯のお手入れをしたらなるべく枕元で保管するのが望ましいといわれています。大きな震災の際に、自分の体は助かったが入れ歯が手元になく、避難中に食事が摂れなかったという事例があるためです。
非常時に備えてなるべく枕元など手の届く範囲で保管しておきましょう。また、枕元に保管する際も乾燥を防ぐために、水を張ったケースに入れておきましょう。
まとめ
寝るときに入れ歯を外すべきかどうかは、人によって異なります。入れ歯は基本的に外して寝たほうがいいですが、人によっては入れ歯をしたまま寝たほうがいいケースもあるのです。
自分は入れ歯を外して寝たほうがいいのか、つけたまま寝ても問題ないのか気になる場合には、歯科医師に確認してください。
また、入れ歯を外したらしっかりとお手入れを行い、清潔に保ちましょう。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。
