こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
「部分入れ歯を支えている歯が揺れてきた……」「残った歯がぐらつく原因は?対処法はあるの?」など、部分入れ歯に関する悩みや疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。部分入れ歯を使っている方のなかには、残っている歯がぐらつく・抜けることによって、作り直しが必要になるケースもあります。
今回は、部分入れ歯を支えている歯がぐらつく原因と、対処法について解説します。部分入れ歯を検討中の方や、部分入れ歯を使用していてぐらつきに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
部分入れ歯の装着方法
部分入れ歯とは、その名のとおり部分的な入れ歯のことです。部分的に欠損している歯を補う目的で使われます。
部分入れ歯は、人工歯、義歯床とよばれる歯茎の部分、入れ歯を安定させるクラスプやレストなどの支台で構成されています。
ここでは、部分入れ歯の装着方法と、装着時のポイントを確認しましょう。
部分入れ歯の装着方法
部分入れ歯は、クラスプとよばれるバネをご自身の歯に引っかけて使います。欠損している歯の両隣の歯を支えにすることで、部分入れ歯が浮かないようにするのです。
部分入れ歯を装着する手順は、以下のとおりです。
②支えになる歯にクラスプを引っかけ、ゆっくりと力をかけえる
③部分入れ歯がはまったことを確認し、静かに噛み合わせる
部分入れ歯の着脱は、クラスプを起点にして行います。外すときも、まずはクラスプに手をかけて両手でゆっくりと外しましょう。
部分入れ歯を装着するときのポイント
部分入れ歯を装着するときのポイントは、以下の3つです。
・指でクラスプを押さえる
・噛む力で押し込んで装着しない
それぞれ解説します。
クラスプの位置を合わせる
部分入れ歯を装着するときは、まず引っかける歯の位置までクラスプを運びます。位置が合っていない状態で強く噛むと、入れ歯の変形や破損につながるためです。ご自身の歯や歯茎を痛める原因にもなるので注意しましょう。
部分入れ歯の装着に慣れていないうちは、鏡の前で練習するとよいでしょう。
指でクラスプを押さえる
部分入れ歯は、位置が正しければ指で軽く押さえるだけできちんと装着できます。人工歯とクラスプの間にあるレスト(ツメのような部分)を、カチッと音がするまでしっかりとはめ込みましょう。
噛む力で押し込んで装着しない
部分入れ歯は、必ず最後まで手を使って装着してください。位置が合っているからといって噛んで押し込むと、クラスプが歪む可能性があるためです。
手で正しい位置に装着できたら、軽く噛んでみましょう。いきなり強い力で噛まないように注意してください。
部分入れ歯を支えている歯がぐらつく原因
ご自身の歯が残っていれば、クラスプを引っかけることで部分入れ歯を装着できます。
しかし、部分入れ歯を使用しているうちに、支えている歯がぐらつき始めることがあります。部分入れ歯を支えている歯がぐらつく原因は、以下のとおりです。
・重度の虫歯、または歯周病になっている
詳しく確認しましょう。
部分入れ歯によって負担がかかっている
部分入れ歯は、欠損している歯と隣り合う歯にクラスプを引っかけて装着します。そのため、支えている歯には大きな負担がかかっているのです。
噛むたびに上下左右に揺られるイメージです。部分入れ歯が動くと支えている歯も一緒に動き、徐々にダメージが加わります。
重度の虫歯、または歯周病になっている
重度の虫歯や歯周病でも、部分入れ歯を支えている歯がぐらつくことがあります。部分入れ歯を作る段階で、支えになる歯はプラークを除去してきれいにするのが一般的です。
虫歯や歯周病があった場合はきちんと治療をしてから、部分入れ歯を装着するでしょう。そのため、歯がぐらつき始めた場合はケアがきちんとできていないということです。
部分入れ歯は就寝前に外して毎日洗浄し、残っているご自身の歯も丁寧に磨く必要があります。ケアを怠ると、虫歯や歯周病を引き起こす可能性があるでしょう。
部分入れ歯を支えている歯が抜けることもある?
部分入れ歯を支えている歯が抜けることはあります。先述したように、部分入れ歯を支えている歯には、日々ダメージが加わっている状態です。
長い時間をかけて徐々に揺さぶられ、やがて抜ける可能性があるでしょう。期間としては、5年程度で抜けることが多いとされています。
また、重度の虫歯や歯周病などでも歯がぐらつきますが、虫歯や歯周病が進行することでも歯が抜ける可能性があります。歯周病は、歯茎の下にある歯槽骨という骨を溶かすことがあるのです。歯槽骨は歯を支える骨なので、歯周病を放置すればやがて歯が抜け落ちるでしょう。
部分入れ歯を支えている歯が抜けると、部分入れ歯を大きくしなければなりません。次の歯にクラスプを引っかけることで負担がかかり、支えにしている歯が抜けるなど、悪循環に陥ることも考えられます。
繰り返すと次第に歯を失い、気がついたときには総入れ歯にするしかないといったケースもあるでしょう。
部分入れ歯を支えている歯がぐらつく・抜けそうなときの対処法
部分入れ歯を支えている歯がぐらつく・抜けそうな状態では、当然ながら部分入れ歯も安定しません。食事や会話の際に支障が出ることも考えられます。
対処法としては、以下が挙げられるでしょう。
・クラスプを使わない入れ歯に変える
それぞれ詳しく解説します。
支えている歯を治療する
虫歯や歯周病が原因で歯がぐらつく・抜けそうになっている場合には、支えている歯を治療することで改善を試みます。
しかし、歯がぐらつくほどの状態では、抜歯するケースも少なくありません。支えている歯が抜けると、別の歯を支えにして新たな部分入れ歯を作り直すことになります。
きちんとケアをしないと、虫歯や歯周病を繰り返して支えている歯がぐらつく恐れがあるでしょう。
クラスプを使わない入れ歯に変える
部分入れ歯は、クラスプというバネを残っている歯に引っかけるため、支えている歯にもダメージが加わります。バネを使わない入れ歯に変えることで改善できる可能性があるでしょう。
ここでは、ノンクラスプデンチャーと磁性アタッチメントをご紹介します。
ノンクラスプデンチャー
バネであるクラスプの代わりに、歯茎の色に似た樹脂で固定する入れ歯です。目立ちにくく、バネがないので残っている歯を傷めることが少ないメリットがあります。
一方で、素材の寿命が短い点はデメリットといえるでしょう。
磁性アタッチメント
小型の磁石を用いたアタッチメントで、マグネットデンチャーともよばれます。入れ歯と残っている歯に磁石を埋め込み、磁石の力で入れ歯を支えます。
バネを使わないので、残っている歯への負担が少ないことがメリットでしょう。デメリットとしては、キーパーという埋め込んだ金属体の部分の歯磨きがしづらいことが挙げられます。
虫歯のリスクが考えられるため、注意しましょう。
まとめ
部分入れ歯は、欠損している部分に入れる人工歯です。隣り合う歯にクラスプというバネを引っかけることで安定させます。
しかし、使っているうちに支えている歯がぐらつくことがあります。原因としては、虫歯や歯周病のほか、部分入れ歯による負担が挙げられるでしょう。
部分入れ歯が動くことで支えている歯も動き、日々ダメージが加えられるのです。ぐらついた歯は抜歯につながる恐れがあり、部分入れ歯の範囲が拡大する可能性があるでしょう。
部分入れ歯を支えている歯がぐらつくときの対処法は、虫歯や歯周病が原因であれば治療することが挙げられます。部分入れ歯によるダメージであれば、バネを使わない部分入れ歯に変更するとよいでしょう。
それぞれにメリットやデメリットがあるので、ご自身に合うのかも含めてしっかり検討してください。
部分入れ歯でお悩みのある方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。