入れ歯コラムCOLUMN

生涯の入れ歯

先日患者様から思わぬ手紙が届きました。

朝病院に到着し、いつものように郵便ポストを空けると一通の手紙があり、差出人を見るとつい最近新しい入れ歯を入れたばかりの患者様から。


しかも、次の御予約まで後数日で、これからまだ治療は続く方。


内心、これからの治療をもう辞めてしまいたいという内容なのか、それとも体調を崩され治療を中断したいという内容なのか、何かこちらの不手際でのおしかりか。。。。


などなど色々考えながら、おそるおそるそのお手紙を開けさせていただきました。


85歳の女性なのですが、ワープロで綺麗にプリントされ、パソコンもきちんと勉強された事が伺えました。
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内容は以下の通りでした。


「今日は 有難うございました お疲れ様でした
長年 悩んだり 希望したり あこがれたりしていました
歯並び やっと 解消しました 有難うございました
もっと早く お出会いできていたらと思いますが
チャンスという  ものでしょうか
三ノ宮からの帰り あの新しい道(通らなかった道)を通りまして
表にありましたパンフレットを頂き はっとしました
不思議です
勇気を出して伺いました よかったです
深く研究された技術 プラス感性に出会えて幸せです
今日は疲れないで 痛みもなくすみました
上に美しい歯並びの 入れ歯がはいり 感激です
後の痛みもなく快適です
鏡を見ては喜んでいます 笑ったり おしゃべりしたりして
長生きしなくてはと思いました
有難うございました  ずーっとよろしくお願いいたします 」


シンプルな言葉の綴りに、何か深い「想い」というものが伝わってきました。


そして、最後の「ずーっとよろしくお願いいたします」 の言葉に思わず涙が出ました。


まだこの患者様は治療スタートして一ヶ月も経過しておらず、しかも初めて来られた日はこちらの説明に戸惑いながらも、やはり自分の口はそうだったのかと納得もされ、大きな決心をされ治療をスタートする意思を示して下さった方。


私としても、始めた治療にはたして満足頂けているのか、私のような若造にこれからもついてきて下さるのかとても心配していた方だったのです。


85歳という年齢もあり、あまり積極的に治療するのも体力的に大変なので、通常は根本的な治療に踏み切るよりも、なんとか現状維持という治療計画になりがちなのですが、長年悩んできたので思い切ってしっかり治療したいとお話し下さり、ずっと新しい入れ歯を楽しみにして下さっていました。


そのような経緯もあり、私自身も色々心配していたので、このような思いがけないお手紙を頂き感動しました。


85歳という人生の大先輩に、「ずーっとよろしくお願いいたします」という言葉を頂けるというのは、とても深い意味を感じました。


残りの人生をより生き生きと、豊かに生きていただけるような生涯の入れ歯を作っていきたいと思いました。
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医療法人社団 木下歯科医院 
院長 木下 貴雄

  • 国立徳島大学歯学部歯学科 卒業
  • IPSG咬合認定医
  • BPSメンバー(日本第一号となる精密入れ歯国際ライセンス認定歯科医師)