歯が抜けるのは高齢の方、というイメージをお持ちの方が多いでしょう。若い人でも虫歯や歯周病が原因で歯が抜けることがあります。特に、前歯が抜けると見た目の変化が大きく、歯がないことで生じる悪影響もあります。すぐに治療を受け、自然な見た目に戻したいと思う方が多いです。
今回は、若い方が前歯を失う原因や悪影響、入れ歯のメリット、入れ歯の種類などを解説します。
若い方が前歯を失う原因
若い方が前歯を失う主な原因は、以下のとおりです。
・虫歯
・歯周病
・事故などの外傷
それぞれ解説します。
虫歯
虫歯が進行すると、抜歯をしなければいけなくなることがあります。
虫歯とは、食事などに含まれる糖をエサにする細菌が酸を生み出し、歯を溶かす病気です。歯の表面にあるエナメル質や、奥にある象牙質(ぞうげしつ)などを溶かします。
口内に食べかすが多く残っている方、糖を含む飲食物を口にする機会が多い方は、虫歯になるリスクが高いです。歯が溶けることで痛みが生じるので、虫歯になっている自覚がある方も多いです。
軽度の虫歯であれば、細菌に感染している部分を取り除き、歯科用プラスチックなどの詰め物をして対応します。細菌によって溶かされた部分が大きいと、神経を抜いて銀歯などの被せ物で歯全体を覆う処置をしなければいけません。
歯の根まで虫歯が到達している場合は、抜歯をしなければいけないこともあります。神経まで虫歯が進行していると、周りの歯や骨に悪影響を与える可能性があるためです。
歯周病
歯周病とは、歯周病の原因となる細菌に感染することで起きる病気です。
食べかすが長時間歯の表面に残ることで細菌が繁殖し、歯茎などに炎症を引き起こします。初期症状としては、歯茎が腫れる、歯磨きの際の出血などが挙げられます。
歯周病の症状があっても痛みを感じる人は少なく、歯周病だと気づかないことも多いです。歯周病であることに気づかず放置する、歯科医院の受診が遅れるなどすると、歯を支えている歯槽骨にまで炎症が達します。歯茎や顎の骨が破壊され、最悪の場合、歯が抜けるのです。
事故などの外傷
事故や怪我などが原因で歯の根の部分が割れると、細菌感染を防ぐために抜歯を行うことがあります。
割れた部分から細菌が入り込むと、痛みや腫れなどの症状が出たり歯が変色したりする場合があります。特に前歯は、奥歯に比べて転んだときなどの衝撃を直接受けやすいです。若い方が歯を失う原因として、怪我や事故などは非常に多いといえます。
若い方が前歯を失うことによる悪影響
若い方が前歯を失うことで考えられる悪影響は、以下のとおりです。
・老けて見える
・ほかの歯に負担がかかる
・発音しにくくなる
それぞれ解説します。
老けて見える
前歯は特に、一本なくなるだけでも見た目に大きな影響を与えます。前歯がないことで、鼻の下が凹む、口元に皺が生まれるなど、実年齢よりも老けて見えることがあるでしょう。
歯がない部分の唇が下がることで、ほうれい線も目立ちやすくなります。歯がないことによる咀嚼のしづらさも考えられ、うまく咀嚼できず表情筋が衰えることもあるでしょう。
ほかの歯に負担がかかる
歯がない状態が長く続くと、隣の歯が倒れるなどして歯全体のバランスが崩れる恐れがあります。歯がない部分をカバーするように咀嚼を行うため、歯を使う場所が偏り、一部分の歯に負担がかかることもあります。
前歯は食べ物を噛み切るときに使用するので、前歯がなくなると食べ物をうまく噛み切れなくなるでしょう。歯を失うことで、健康な歯にも影響を及ぼすのです。
発音しにくくなる
前歯は、音を発するときに重要な役割を果たしています。特に、サ行やタ行は前歯を使って発音しています。
前歯がないことで、舌っ足らずな喋り方に聞こえる場合や、発した言葉をうまく聞き取ってもらえない場合があるでしょう。
前歯の入れ歯のメリット
失った歯を補う方法の一つに、入れ歯があります。前歯の入れ歯のメリットは、以下のとおりです。
・見た目を改善できる
・適応症例が多い
・取り外してメンテナンスできる
・やり直せる
それぞれ解説します。
見た目を改善できる
前歯を入れ歯にすることで、噛む機能性が向上することはもちろん、見た目もきれいになります。前歯がないときに比べ、若返ったと感じられるでしょう。
人前で笑うことができる、話すことへのストレスが減るなど、精神的に前向きになれるかもしれません。
適応症例が多い
入れ歯は、比較的多くの患者様が行える治療方法です。入れ歯以外の歯を補う方法として、ブリッジやインプラントがあります。
ブリッジは、治療する歯の両隣の歯を土台として使用します。両隣の歯がなければブリッジを入れることができません。ブリッジが可能な場合でも、健康な歯を削る必要があります。
インプラントは、十分な骨量が必要な治療です。外科手術を行うため、持病がある方や10代の方は受けられない場合があります。
入れ歯は、ブリッジほど健康な歯を削る必要がなく、持病があっても治療できるため、多くの方に挑戦していただける治療方法です。
取り外してメンテナンスできる
入れ歯は取り外し可能なため、清潔に保てます。
ブリッジは人工歯の部分は歯茎から浮いているので、食べかすなどの汚れが溜まりやすいです。汚れが溜まると、歯周病や両隣の歯の虫歯を引き起こし、再び治療が必要になります。
入れ歯の場合、入れ歯の洗浄がしやすく、外したあとの歯も磨きやすいことがメリットでしょう。
やり直せる
インプラントの場合、顎の骨にインプラントを埋め込む外科手術を行います。不具合があったとき、簡単にやり直すことはできません。再手術になることもあるため、再び体に負担がかかるでしょう。
入れ歯であれば、何か問題があっても気軽に作り直せます。費用もインプラントやブリッジと比べると抑えられるため、経済的な負担も少ないです。
若い方におすすめ!前歯の入れ歯の種類
「入れ歯は目立つ」というイメージを持っているかもしれません。
しかし、最近では、つけていることが目立ちにくい入れ歯もあります。若い方におすすめな前歯の入れ歯をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
・保険適用のデンチャー
・ノンクラスプデンチャー
・金属床デンチャー
それぞれ解説します。
保険適用のデンチャー
最も一般的な、金属のバネがついたデンチャー(入れ歯)です。保険適用の対象なので、5,000〜10,000円程度の費用で作製できます。
最も費用を抑えて作製できる入れ歯です。
ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは、金属のバネを使用しない入れ歯です。軽く歯茎にフィットするため付け心地がよいことが特徴でしょう。入れ歯をつけていることが気づかれにくいこともメリットです。金属のバネがないため、金属アレルギーがある方でも使用できます。
ノンクラスプデンチャーの費用相場は100,000〜200,000円で、保険が適用されません。
金属床デンチャー
金属床デンチャーとは、ノンクラスプデンチャーに金属床とよばれる金属のフレームを組み合わせた入れ歯です。表側から金属が見えないので、見た目を気にする方に適しています。金属があることでノンクラスプデンチャーよりも耐久性が高くなります。
金属床デンチャーの費用相場は200,000〜300,000円で、保険が適用されません。
若い方が入れ歯を必要としないための予防策
若い方が歯を失わないためにできる予防策は、以下のとおりです。
・セルフケアをしっかり行う
・生活習慣を改善する
・定期検診を受ける
それぞれ解説します。
セルフケアをしっかり行う
毎日の歯磨きは、虫歯や歯周病予防の基本です。食後は歯磨きを行いましょう。
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを落としきれず虫歯になる可能性があるので、歯間ブラシやフロスなどを使って丁寧に磨いてください。
生活習慣を改善する
糖を含む飲食物を口にする機会が多い人は、虫歯や歯周病のリスクが高いです。間食をやめる、食生活を改善するなど、生活習慣を見直しましょう。
喫煙の習慣がある方も、歯周病のリスクが上がるといわれています。歯を守るために、可能であれば禁煙してください。
定期検診を受ける
日々のセルフケアを頑張っても、落としきれない汚れが存在します。定期的に歯科医院でクリーニングしてもらいましょう。
初期の歯周病は自覚症状がないため「気づいたら歯周病が進行していた」ということがよくあります。定期検診を受けることで、虫歯や歯周病の早期発見に繋がるでしょう。早期に治療を開始できれば、歯を失う可能性が低減します。
まとめ
若い方でも、虫歯や事故などが原因で歯を失うことがあり、入れ歯治療をすることは珍しいことではありません。歯がない状態を放置するデメリットも存在します。若い方の入れ歯治療は、決してネガティブな選択ではないのです。失った歯を補い、これからの人生を前向きに過ごすための選択といえるでしょう。
特に、若い方が前歯を失った場合、入れ歯であることを気づかれたくないと思う方が多いです。目立ちにくい入れ歯も選択できるので、一度歯科医院を受診してください。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。