こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
入れ歯にしたことで「味がわかりにくい」「まずい」「食事が楽しくない」と感じる方は珍しくありません。入れ歯での食事がまずいと思うのは、異物感や入れ歯が歯茎を大きく覆ってしまうこと、食べ物の温度を感じにくいことなどが原因です。
今回は、入れ歯で食事をするとまずいと感じる4つの原因を解説します。入れ歯でも食事をおいしく食べるための方法もご紹介するので、入れ歯での食事にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
入れ歯で食事をするとまずいと感じる原因
入れ歯をすると食事がまずいと感じる理由をご紹介します。
入れ歯が歯茎を覆う
人が食事をしておいしいと感じるのは「味蕾(みらい)」という器官があるからです。
味蕾は、上顎や喉頭にもあります。上の入れ歯で歯茎を大きく覆うことで「食事の味がわからない」「まずい」と感じることがあるのです。
しかし、味蕾の多くは舌にあるため、入れ歯に慣れることでまずいと感じることは改善されます。食事がおいしい・楽しいと感じるには、味蕾が十分に働ける環境が必要といえるでしょう。
食事の温度を感じにくい
食事をおいしいと感じるには、食べ物の温度も重要です。
入れ歯をすることで歯茎が覆われると、食べ物の温度が感じにくくなり、食事がまずいと感じることがあります。特に、保険適用で上の総入れ歯を作製した場合、分厚いプラスチックで歯茎を覆うことになります。そのため、温度を感じにくくなり、食事をまずいと感じる方が多いのです。
入れ歯が合っていない
食べ物をきちんと咀嚼して味わうことができるからこそ、おいしいと感じられます。入れ歯が合っていない場合や、噛み合わせが悪い場合、食べ物の味に関係なく食事がまずいと感じる原因になるでしょう。
入れ歯がフィットしていないと「すぐに入れ歯が外れる」「歯茎が痛くて噛めない」など、食事のたびに不快な思いをします。食事をすること自体がストレスになることも珍しくありません。合っていない入れ歯を使い続けることは、食事がまずいと感じる原因になるだけでなく、顎関節に負担をかけ、顎関節症を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。
入れ歯の異物感がある
詰め物や被せ物などの虫歯治療と違って、入れ歯は歯茎の上に乗せるため、異物感がでやすいです。
お口の中は思っている以上に敏感で、髪の毛が1本入っただけでも、気持ち悪さや異物感をおぼえます。そのため、入れ歯の大きさに関係なく異物感をおぼえる方が多く、異物感から食事をまずいと感じることがあります。特に、入れ歯を作ったばかりの頃は入れ歯がフィットしづらく、食事をまずいと感じやすいでしょう。
入れ歯でも食事をおいしく食べるためには
入れ歯でも食事をおいしく食べるためには、以下のポイントを抑えることが大切です。
・自分にあった入れ歯を使用する・よく噛める
・入れ歯がフィットしている
・食事の温度を感じられる
上記のポイントをクリアできれば、入れ歯でも食事を楽しめるでしょう。入れ歯でも食事をおいしく食べるための対処法を解説します。
入れ歯を調整する
入れ歯で食事をしてまずいと感じる場合、まずは使っている入れ歯を歯科医師に確認してもらいましょう。
特に、入れ歯を作ったばかりの頃はフィットしづらいため、食事をまずいと感じる傾向にあります。入れ歯に慣れることで改善されることが多いため、一度入れ歯を調整してもらうとよいでしょう。
入れ歯は、お口の中にフィットするまでに時間がかかるため、最低でも3~4回の調整が必要といわれています。また、最初はフィット感があった入れ歯も、使い続けているうちにすり減り、歯茎の形に合わなくなることがあります。そのため、定期的に調整してもらう必要があるでしょう。
「入れ歯で歯茎が痛い」「外れやすい」「噛み合わせが悪くなった」などのお悩みがある場合は、放置せずに歯科医院を受診してください。
安定剤を使用する
入れ歯がずれる、噛みづらいなどのトラブルがある場合、入れ歯の安定剤を使用しましょう。入れ歯がお口の中でぴったりとフィットします。
入れ歯がフィットしよく噛めるようになることで「食べ物がおいしい」「食事が楽しい」と感じられるようになるでしょう。また、入れ歯が歯茎にぴったり密着することで、入れ歯の下に食べかすがたまることも予防できます。
ただし、合っていない入れ歯に安定剤を使用すると、入れ歯の破損や歯茎の損傷につながる可能性があるので注意してください。ご自身に合う入れ歯に使ってこそ、安定剤の力は発揮されます。合っていない入れ歯を使っている場合は、歯科医院で一度噛み合わせなどを確認してもらいましょう。
食事の調理方法を工夫する
入れ歯の噛む力は、自分の歯で噛む際の3分の1程度といわれています。そのため、硬いものや繊維質のものなどは噛みづらく、食事がまずいと感じるかもしれません。
硬いものを無理やり噛もうとすると、歯茎に負担がかかって痛みを感じることもあるので注意が必要です。噛みづらさから食事をまずいと感じている場合、食べ物の調理方法を工夫しましょう。具体的な方法は、以下のとおりです。
・やわらかい食材を選ぶ・細かくカットする
・粘着性のあるものを避ける
入れ歯でおいしく食事するには、やわらかい食材や食事を選ぶとよいでしょう。
硬い野菜や繊維質が多いキノコなどは、煮込むことでおいしく食べられます。うどんやラーメンなどの麵料理、豆腐、卵料理なども、入れ歯の方の食事に適しています。繊維のある野菜やお肉も、一口サイズに切る、繊維を断ち切るように切れ目を入れるなど、調理方法を工夫することで食べやすくなるでしょう。
入れ歯の場合、ガムやキャラメルなど、粘着性のあるものを食べると外れる可能性が高いので注意してください。お手入れも大変なので、避けるとよいでしょう。
クッキーやサブレなどの水分の少ないパサパサした食べ物も、入れ歯にくっつきやすく噛みにくいといわれています。クッキーは牛乳に浸してから食べるなど、水分を含ませてしっとりさせると食べやすくなるでしょう。
入れ歯を作り直す
入れ歯は、最初はフィットしていても、長く使い続けるうちに不具合が生じます。定期的な調整や作り直しが必要なのです。特に、保険の入れ歯はプラスチック製なので、歯のすり減りや破損が起きやすいです。異物感がある、温度が伝わりにくい、吸水性が高く食感が変わる、なども食事をまずいと感じる要因といわれています。保険の入れ歯を使用していて異物感などの不具合を感じている場合、素材をかえて入れ歯を作り直しすると改善されるかもしれません。
食事を楽しむという点で優れているのは、金属床の入れ歯です。歯茎を覆う部分に熱伝導率の高い金属を使う金属床は、プラスチックよりも食べ物の温度を感じるため、おいしいと感じられるでしょう。プラスチックより強度があり、入れ歯を薄くできるため異物感が少ないこともメリットです。
人が食事を楽しいと感じるのには、食べ物の味と同じくらい温度が大切です。保険の入れ歯は安価で作れることがメリットですが、異物感や食事の温度を感じにくいことから、食事をまずいと感じやすいといえます。金属床の入れ歯は、保険が適用されないため費用がかかりますが、食事を楽しみたいという方におすすめです。
まとめ
入れ歯で食事をするとまずいと感じるのは、入れ歯によって歯茎を覆うことで異物感があることや食べ物の温度を感じにくいことが原因です。
入れ歯が外れやすい、噛み合わせが悪いなど、入れ歯の装着に不具合があると食事すること自体がストレスになり、食べ物の味に関係なく食事がまずいと感じることもあります。入れ歯で食事するとまずいと感じる場合は、入れ歯を調整する、安定剤を使用する、調理方法を工夫するなどを行うとよいでしょう。安定剤の使用や調理方法の工夫で改善できない場合は、入れ歯の作り直しが必要かもしれません。
入れ歯を検討している方や入れ歯でお悩みがある方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。