入れ歯コラムCOLUMN

入れ歯はつけっぱなしでもいい?長時間つけたままのリスクも解説

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
入れ歯の模型

入れ歯をつけっぱなしにしても大丈夫なのか、寝るときは外したほうがよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。毎日使うものだからこそ、自己判断のまま続けてよいのか不安になることもあります。

入れ歯を長時間つけたままにすると、口の中が不衛生になったり、口臭や歯茎の痛み、炎症につながったりすることがあります。

この記事では、入れ歯をつけっぱなしにするリスク、寝るときに外す理由、外すタイミング、就寝前のお手入れ方法について解説します。入れ歯の扱い方に迷っている方はぜひ参考にしてください。

入れ歯はつけっぱなしでもいいの?
首をかしげ悩んでいる男性

入れ歯は、基本的にはつけっぱなしにせず、食後や就寝前に外して清掃するのが一般的です。口の中を清潔に保つためにも、入れ歯を長時間つけたままにするのはあまり望ましくありません。ただし、治療内容やお口の状態によっては、歯科医師から装着時間について個別の指示が出ることもあるため、その場合は指示を優先してください。

入れ歯には食べかすや細菌がつきやすく、そのままにすると口臭の原因になったり、お口の中のトラブルにつながったりすることがあります。

また、長時間つけたままでいると、入れ歯が歯茎や口の中の粘膜を圧迫し続けるため、炎症や痛みが起こることもあります。ここからは、入れ歯を長くつけたままにした場合のリスクと、清潔に保つためのお手入れ方法について順にご説明します。

入れ歯を長時間つけたままにすると
両手を口にあて驚いている女性

入れ歯を長時間つけたままにするのは、できるだけ避けたほうがよいでしょう。入れ歯は汚れがたまりやすい装置のため、清掃のタイミングが少ないと細菌が増えやすくなります。

ただし、日中ずっと外しておくという意味ではありません。食後や就寝前など、必要なタイミングで外してきちんと清掃することが大切です。

入れ歯を長時間つけたままにすると、主に次のような問題が起こることがあります。

・口の中が不衛生になる

・口臭が出やすくなる

・歯茎の痛みや炎症につながる

口腔内が不衛生になる

入れ歯を長時間つけたままだと、口の中が不衛生になりやすく、さまざまなトラブルのリスクが高くなります。特にご高齢の方では、抵抗力の低下や飲み込みの機能の変化も関係するため、より注意が必要です。

例えば、次のような病気やトラブルが考えられます。

・虫歯や歯周病

・義歯性口内炎

・口腔カンジダ症

・誤嚥性肺炎

定期的に入れ歯を外して洗浄しないと、入れ歯や口の中で細菌が増えやすくなります。部分入れ歯などでご自身の歯が残っている場合は、その歯の虫歯や歯周病の予防という意味でも、こまめな清掃が大切です。

義歯性口内炎は、入れ歯が触れる粘膜に赤みや痛みが出る口内炎のような状態です。また、口腔カンジダ症は、カンジダという真菌が増えることで起こる感染症です。入れ歯の表面には目に見えない細かな溝が多く、汚れや菌が残りやすい傾向があります。

さらに、入れ歯を装着している口の中は湿り気が保たれやすいため、抵抗力が落ちているときにはカンジダが増えやすくなることがあります。カンジダ症は日和見感染症の一種で、健康な状態では起こりにくいものですが、免疫力が低下している場合には注意が必要です。

入れ歯についた細菌の影響は、お口の中だけにとどまらないこともあります。ご高齢になると飲み込む反射が弱くなることがあり、食べ物や唾液が食道ではなく気管に入ってしまう場合があります。これが誤嚥で、そこから起こる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。

入れ歯を長時間つけたままにしていると、入れ歯に細菌が多く付着した状態になりやすく、食事や唾液と一緒にその細菌を飲み込む可能性も高まります。

気管に入り込んだ場合には、誤嚥性肺炎につながることがあります。厚生労働省の資料では、肺炎患者の約7割が75歳以上の高齢者であり、高齢者の肺炎のうち7割以上が誤嚥性肺炎とされています。

誤嚥性肺炎のリスクを下げるためにも、口の中と入れ歯を清潔に保つことが大切です。そのため、入れ歯を長時間つけたままにせず、毎食後に洗浄し、寝るときは外すことが重要です。

参照元:高齢化に伴い増加する疾患への対応について 厚生労働省

口臭の発生

入れ歯を長時間つけたままにすると、汚れが少しずつたまり、細菌が増えやすくなります。細菌の増殖は口臭の原因のひとつです。そのため、朝起きたときのにおいが気になる、口の中がねばつくといった変化につながることがあります。

また、総入れ歯など比較的大きな入れ歯を使っている場合は、唾液腺が圧迫されて唾液の分泌量が少なくなることがあります。唾液には口の中の汚れを洗い流し、乾燥を防ぐ働きがあるため、唾液が減ると口臭が出やすくなることがあります。

食後に入れ歯を洗わず、そのまま長く装着していると、汚れと細菌が残りやすくなります。さらに、お口が乾きやすい状態が重なると、口臭が強くなることもあるため注意が必要です。口臭の原因は入れ歯だけとは限りませんが、入れ歯を清潔に保つことは対策のひとつになります。

歯茎の痛みや炎症

入れ歯を長時間つけたままにすると、歯茎に対する圧迫や刺激が続くため、歯茎が痛くなることがあります。入れ歯が当たる感じがする、しみる、赤くなるといった違和感が出ることもあります。

また、はっきりした痛みがない場合でも、圧迫や刺激が続くことで、歯茎や周辺の粘膜に口内炎などの炎症が起こることがあります。

こうした症状が続く場合は、入れ歯の調整が必要なこともあります。自己判断でそのまま使い続けず、気になる症状があるときは歯科医師に相談しましょう。

入れ歯をつけたまま寝ても大丈夫?
歯の模型で説明している歯科医師

入れ歯は、基本的には外して寝るのが一般的です。つけたまま寝ることは、長い目で見るとお口や体に負担をかけることがあります。ただし、治療直後などで歯科医師から装着したまま寝るよう指示されている場合は、その指示に従ってください。

入れ歯をつけたまま寝ると、次のような問題が起こる可能性があります。

入れ歯を飲み込む

小さな部分入れ歯の場合は、寝ている間に外れてしまい、飲み込んでしまう危険があります。特に、外れやすい入れ歯は注意が必要です。

また、比較的大きな入れ歯でも、飲み込んだ事例が報告されています。頻繁にゆるむ、合っていない感じがする、外れやすいといった場合は、そのままにせず調整について相談しましょう。

就寝時のトラブルを避けるためにも、寝るときは入れ歯を外すことが大切です。

粘膜が傷つく

入れ歯をつけたまま寝ると、顎や歯茎への圧迫が続きます。歯茎や粘膜が押され続けることで、口内炎などの炎症が起こることがあります。とくに合っていない入れ歯は、一部が強く当たりやすく、違和感や傷の原因になりやすい傾向があります。

また、寝ている間は無意識に歯ぎしりや食いしばりをしていることもあります。歯ぎしりや食いしばりの力は250~300kgほどといわれており、就寝中には強い力がかかる場合があります。そのため、入れ歯の破損や粘膜の損傷につながることがあります。

顎や歯茎、粘膜を休ませるためにも、寝るときは入れ歯を外しておくことが大切です。

細菌の増加

寝ている間は、唾液の分泌量が少なくなります。唾液が減ると口の中が乾きやすくなり、細菌も増えやすくなります。そのため、寝る前に入れ歯を外して洗うことには大きな意味があります。

歯茎に接する入れ歯の「床」の部分は、すき間ができやすく、食べかすや汚れが残りやすい場所です。汚れがついたまま入れ歯を装着して寝てしまうと、細菌が繁殖しやすくなります。

その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。部分入れ歯では、金具のまわりや残っている歯にも汚れが残りやすいため、入れ歯だけでなくご自身の歯もしっかり清掃することが大切です。

入れ歯を外すタイミングはいつ?
入れ歯をはずしている人

入れ歯を外すタイミングとして、まず意識したいのは食後と就寝前です。食後は食べかすや汚れが入れ歯に残りやすいため、そのまま長時間つけたままにせず、外して洗う習慣をつけることが大切です。

また、寝る前に外して清掃することも重要です。就寝中は唾液が少なくなり、細菌が増えやすくなるため、汚れが残ったまま装着して寝ると、お口の中のトラブルにつながることがあります。寝ている間は入れ歯を洗浄剤に浸しておくと、清潔を保ちやすくなります。

ただし、日中ずっと外しておく必要があるという意味ではありません。会話や食事など、日常生活で必要な場面では装着し、食後や就寝前などの区切りで外して清掃する、という考え方が基本です。

なお、新しく作った直後や治療内容によっては、装着時間について個別の指示が出ることがあります。外すタイミングに迷う場合は、歯科医師の案内に従ってください。

歯科医師の指示で入れ歯を外さない場合もある?
歯科医師の指示で入れ歯を外さない場合もあるのか入れ歯を片手に考えているシニア女性

入れ歯は就寝時に外すのが一般的ですが、すべての方に同じ対応になるわけではありません。治療直後のお口の状態の確認や、入れ歯の調整内容によっては、歯科医師から一時的に外さずに過ごすようお伝えすることがあります。

そのため、『寝るときは外したほうがよいと聞いたけれど、自分も同じでよいのか』と迷った場合は、自己判断せず確認することが大切です。特に、新しく入れ歯を作った直後、痛みがあるとき、外すと強い違和感があるときは、指示された装着方法を守りましょう。

一方で、特別な指示がないまま入れ歯をつけっぱなしにすると、汚れがたまりやすくなったり、歯茎や粘膜に負担がかかったりすることがあります。

例外があるからこそ、普段の管理は自己判断ではなく、歯科医師の指示を基準にすることが大切です。

就寝前の入れ歯のお手入れ方法
入れ歯の模型と歯ブラシ

就寝前に入れ歯のお手入れをきちんと行うことで、入れ歯の清潔を保ち、お口の環境も整えやすくなります。入れ歯を長く快適に使っていくためにも、毎日の適切なお手入れが大切です。

なお、洗浄剤に浸すだけではなく、先に目に見える汚れを落としておくことが重要です。あわせて、入れ歯だけでなく口の中も清潔にする意識を持ちましょう。

適切な入れ歯のお手入れ方法は、次のとおりです。

入れ歯を取り外す

まず、入れ歯を取り外します。

取り外すときは、口の中を傷つけないように、鏡を見ながらゆっくり外しましょう。無理に引っ張ると粘膜を傷つけることがあるため注意が必要です。痛みがある、強く引っかかるなど、スムーズに外せない場合は無理をせず、歯科医師に相談してください。

入れ歯を水で洗う

流水で、入れ歯についた食べかすなどの大きな汚れを落とします。最初に表面の汚れを流しておくと、そのあとのブラッシングがしやすくなります。

このとき、熱いお湯は変形の原因になることがあるため避け、水で洗うようにしましょう。なお、水洗いだけでは細かい汚れは残りやすいため、この工程だけで終わりにしないことが大切です。

歯ブラシで入れ歯をブラッシングする

細かい汚れを落とすために、歯ブラシで入れ歯の表面をやさしくブラッシングします。

歯ブラシの細かい毛先は、小さな溝にたまった汚れを取りのぞくのに役立ちます。特に、汚れが残りやすい裏側や、部分入れ歯の金具のまわりも意識して磨きましょう。

ブラッシングの際は、入れ歯の表面を傷つけないよう、力を入れすぎずやさしく磨くことが大切です。強くこすると表面に細かな傷がつき、かえって汚れがたまりやすくなることがあります。

入れ歯を流水で洗い流す

ブラッシングで除去した汚れを、再び流水で洗い流します。

これは、落とした汚れを仕上げとしてきれいに流す工程です。洗い残しを減らすためにも、省かずに行いましょう。

入れ歯洗浄剤に浸す

入れ歯用の洗浄剤を水に溶かし、入れ歯を浸します。

入れ歯洗浄剤には、錠剤タイプや粉末タイプなどがあります。こうした洗浄剤は、製品の使用方法に従って使うことで、入れ歯の清潔を保つための補助になります。

ただし、洗浄剤はブラッシングの代わりではなく、仕上げとして使うものです。使用時間や使い方は製品ごとに異なるため、表示に従って使用してください。

入れ歯を外したときの注意点
警告をしめすイメージ図

入れ歯を外す際に痛みや違和感がある場合は、早めに歯科医師にご相談ください。無理に使い続けると、歯茎や粘膜に負担がかかることがあります。

また、入れ歯を外したあとは、保管方法や口の中のケアにも注意が必要です。以下の点を意識しておきましょう。

入れ歯を落とさないようにする

入れ歯を外した際は、落とさないように注意しましょう。特に、洗面所など滑りやすい場所で外す場合は注意が必要です。

入れ歯を落とすと、場合によっては破損することがあります。対策としては、「タオルの上に置く」「隅に置かない」といった工夫が役立ちます。洗面台に少し水を張っておく、やわらかい場所の上で扱うなども一般的な方法です。

入れ歯を外したあとは口をすすぐ

入れ歯を外したあとは、口の中をよくすすぎましょう。

口の中が乾燥すると汚れが落ちにくくなります。特に、ご高齢の方は口の中が乾きやすいため、乾いた状態で歯ブラシを当てると粘膜を傷つけることがあります。歯磨きの前に、一度うがいをして口の中を湿らせるとよいでしょう。

また、入れ歯だけ洗って終わりではありません。残っている歯がある場合はその歯を磨き、歯茎や舌もやさしく清掃して、口の中全体を清潔に保つことが大切です。すすぐことは大切ですが、それだけで十分というわけではありません。

入れ歯は乾燥させない

入れ歯を乾燥させると、変形するおそれがあります。洗ったあとは、水または洗浄液を入れた容器に保管しましょう。

入れ歯が変形すると、噛み合わせが悪くなったり、顎やほかの歯に負担がかかったり、汚れがたまりやすくなったりすることがあります。再度作り直しが必要になると、時間や費用がかかることもあるため、日頃の保管方法は大切です。

保管容器も清潔に保ち、熱湯や直射日光の当たる場所は避けましょう。少し乾いたからすぐに問題が起こるとは限りませんが、変形を防ぐためにも乾燥させないように管理することが大切です。

まとめ
ポイントを指さす男性

入れ歯は、基本的に食後に外して清掃し、就寝時は外して休ませることが大切です。毎食後に入れ歯を外し、入れ歯だけでなくご自身の歯もしっかり磨くことで、お口の中を清潔に保ちやすくなります。

口腔ケアを怠ると、虫歯や歯周病、口内炎など、さまざまなトラブルのリスクが高まります。また、特別な指示がない限り、就寝時は入れ歯を外すのが基本です。寝るときに入れ歯を外しておくことは、歯茎や粘膜を休ませるだけでなく、就寝中に洗浄剤へ浸して清潔を保ちやすくすることにもつながります。

入れ歯のつけっぱなしが気になる方や、痛み・ゆるみ・外れやすさがある方は、歯科医院で状態を確認してもらうと安心です。なお、治療内容やお口の状態によっては、装着時間について歯科医師から個別の指示が出ることもあるため、その場合は指示に従ってください。

入れ歯でお悩みの方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療や入れ歯治療、インプラント治療など、さまざまな診療に力を入れています。ホームページはこちら無料相談も行っておりますので、ぜひご覧ください。

木下 貴雄 院長

■この記事の監修者

木下 貴雄 院長

経歴
  • 2003年 国立徳島大学歯学部歯学科 卒業
  • 2008年 医療法人社団 木下歯科医院 開院
修了研修・学会等
  • 日本顕微鏡歯科学会 会員
  • 日本口腔インプラント学会 会員
  • 顎咬合学会 会員
  • 抗加齢歯科医学研究会 会員
  • IPSG咬合認定医

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