入れ歯コラムCOLUMN

壊れた入れ歯の修理方法!入れ歯が壊れる原因や注意点について詳しく解説!

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。

入れ歯の全体図

「入れ歯に小さなひびが入っているけど、このまま使ってよいか不安」「入れ歯の人工歯が取れたけど、再利用できるのかな」など、入れ歯を使用しているとさまざまなトラブルが起こります。
この記事では、入れ歯が壊れる原因や、壊れたときの注意点について詳しく解説します。壊れた入れ歯の保管方法を間違うと、修理ができなくなる場合があります。入れ歯を長く使い続けるためにも必要な知識ですので、ぜひ参考にしてください。

 

入れ歯が壊れる原因

入れ歯を見ている歯科医師

入れ歯が壊れる原因は、経年劣化だけではありません。取り外し方法や保管方法が原因の場合もあります。
入れ歯が壊れる主な原因は、以下のとおりです。

 

<入れ歯が壊れる主な原因>

・経年劣化や入れ歯がすり減る

・噛み合わせのバランスが崩れている

・修理を繰り返している

・保管方法が間違っている

・着脱の方向が間違っている

 

1つずつ詳しく解説します。

 

経年劣化や入れ歯がすり減る

 

保険の入れ歯は、長期間使用していると素材が劣化するため、割れたりひびが入ったりなどのトラブルが起こります。人工歯や金属のバネが外れるといった破損もあります。

また、入れ歯の人工歯がすり減り、噛んだときにすべって次第に食べにくくなることがあります。壊れていなくても修理が必要となる場合もあるのです。

 

噛み合わせのバランスが崩れている

 

歯の形や噛み合わせには個人差があり、人によって「噛む癖」も異なります。噛みやすい位置で噛む傾向があるため、入れ歯の1か所が集中的に削れることが多いです。入れ歯の1か所が削れると、噛み合わせのバランスが崩れて、破損やひびの原因となります。
入れ歯だけでなく、残っている歯に負担がかかり、トラブルが発生する場合もあります。そのため、入れ歯を定期的にチェックすることで、入れ歯や歯のトラブルを予防することが重要です。

 

修理を繰り返している

 

入れ歯は修理を繰り返すと、人工歯や金属のバネの接着が弱くなり、外れやすくなります。また、使用感をよくするために薄く削ると、破損やひびのリスクが高まります。
できる限り修理の回数を減らすためには、メンテナンスで噛みあわせを調整することが重要です。こまめに入れ歯を調整することで、長く丈夫に使い続けることができます。

 

保管方法が間違っている

 

入れ歯は、乾燥すると劣化が早まります。夜間に入れ歯を外す際は、洗浄剤や水に浸けておきましょう。また、保管ケースに入れて運ぶ際は、衝撃が加わって故障の原因となる場合があります。保管ケースに入れる場合は、ティッシュでくるんだり、スポンジを入れたりするなど、クッション性のあるもので保護するとよいでしょう。

ただし、ティッシュやスポンジを入れっぱなしにするのは衛生的ではないため、定期的に新しいものに交換しましょう。

 

着脱の方向が間違っている

 

入れ歯を取り外す方向が間違っていると、金属のバネに過剰な力が加わり、バネが壊れる場合があります。バネの部分を何度もひねり、負担をかけている状態です。
取り外しがスムーズにできない場合は、歯科医院で取り外し方法を確認しましょう。

 

入れ歯が壊れてしまったときの注意点

入れ歯が壊れたとき、そのまま使い続けたり、ご自身で修理したりするのはリスクが伴います。入れ歯は日常生活に欠かせないため、使えないと困る方もいらっしゃるでしょう。

しかし、破損した入れ歯を無理やり修理しても結局使えず、歯科医院でも修復が不可能となる場合があります。入れ歯が壊れてしまったときの注意点を詳しく解説します。

 

壊れた入れ歯は使わない

 

入れ歯にひびが入ったまま使い続けると、使用中に割れる可能性があります。使用中に割れると、入れ歯のかけらや金属のバネを飲み込む恐れがあります。金属のバネは尖っていて、飲み込んだら胃の粘膜を傷つける危険性があるため、注意が必要です。また、入れ歯が合わないまま使っていると、顎がずれて顎関節症を引き起こす可能性もあります。
入れ歯が壊れた場合は、紛失しないように保管して、早めに歯科医院を受診しましょう。

 

市販の接着剤を使用しない

 

割れた入れ歯を市販の接着剤でくっつけて使っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分でつけた場合、きれいにくっつけたつもりでも、位置がずれて使用できなくなる可能性が非常に高いです。お口の中は敏感で、少しのずれでも違和感が残るため、歯科医院で修理する際は、模型を使用するなど注意を払って修理します。

また、一度接着剤でつけてしまうと、修理が難しくなるため、新しく作り直すことになるかもしれません。市販の接着剤は、体に悪影響を及ぼす恐れもあります。入れ歯が壊れた場合は、必ず歯科医院で修理しましょう。

 

金属のバネをペンチで調整しない

 

金属のバネ(クラスプ)がゆるいからといって、無理やりペンチで調整するのは危険です。
クラスプは、入れ歯を取り外しやすく、かつ入れ歯が動かないように、精密に設計されています。ご自身でクラスプを調整すると、入れ歯が外れなくなる場合があるのです。また、クラスプがきつくなり過ぎると、残っている歯を傷める恐れがあります。
ご自身で入れ歯を調整したことにより、修理が不可能となると、入れ歯を新しく作らなければいけません。入れ歯を新しく作るには、6か月以上経っていないと保険適用で作れないルールがあります。入れ歯の修理は必ず歯科医師に任せましょう。

 

小さなかけらでも捨てずに保管する

 

人工歯が取れた場合、問題がなければ再利用が可能です。新しい人工歯を使うこともできますが、新しい人工歯に替わると、噛み合わせが変化するため、慣れるまで時間がかかります。小さなかけらでも念のため保管しましょう。
入れ歯を修理する際、破片を組み合わせることで、修理がしやすくなり元の状態に修復できる可能性が高くなります。人工歯やクラスプ、レジンのかけらなどは捨てずに歯科医院に持参しましょう。

 

壊れた入れ歯は湿らせた状態で保管する

 

保険の入れ歯は、乾燥状態が続くと変色や変形を起こします。
入れ歯は、一度変形すると元には戻りません。乾燥して材質が変わると、修理が難しくなります。水に浸けておくか、保管ケースに入れて、湿らせた状態を保つ必要があります。壊れた状態で数日間保管する場合は、1日1回は水を交換するなど清潔な状態を保ちましょう。

 

できるだけ早く歯科医院で修理する

 

入れ歯を入れていない状態が長く続くと、歯が動いて入れ歯が入らなくなる可能性があります。
入れ歯が合っていない状態で無理やり入れると、歯に負担がかかり、痛みが出るかもしれません。入れ歯が使えなくなり、新しく作り直すには時間や費用がかかります。入れ歯が壊れた場合は、できるだけ早く歯科医院で修理しましょう。

 

 【ケース別】壊れた入れ歯の修理方法

歯の模型と歯の手入れ

入れ歯のトラブルは、金属のバネのゆるみから床部分の割れなど、さまざまなケースがあります。それぞれのケースに合わせた入れ歯の修理方法をご紹介します。

 

床部分がひび割れ、破損した場合

 

ひびが入ったケース

 

入れ歯にひびが入った場合は、ひびが入った部分を入れ歯用のレジンで修復します。ひび割れの部分に新しいレジンを盛り、固めたあとに、表面を削ることできれいに修復できます。

しかし、ひびが大きい場合は、修理をしても再びひびが入ったり割れたりする可能性が高くなります。入れ歯を洗浄するときに、ひび割れがないかチェックして、ひびや破損を発見した場合は、早めに歯科医院で修理しましょう。

 

割れたケース

 

割れた入れ歯は、入れ歯用の接着剤でくっつけます。割れた面が欠けて接着できない場合は、表面を研磨するなど手を加えて修理します。修理が複雑な場合は、歯科医院で預かって修理を行う場合もあるでしょう。

ただし、金属床の入れ歯や、シリコンの入れ歯など、自費の入れ歯は修理できない場合があります。なぜなら、自費の入れ歯は、作製する歯科医院によって使用している材料が異なるからです。そのため、作製した歯科医院に持参すると、予備の材料が揃っているため修理ができる可能性が高まります。

 

人工歯、金属のバネが外れた場合

 

人工歯が外れたケース

 

歯科医院では、入れ歯を修理するために、多くのサイズや色の人工歯が準備されています。外れた人工歯が接着できない場合は、新しい人工歯を取り付けて修復します。

 

金属のバネが外れたケース

 

外れた金属のバネが破損していなければ、再度取り付けることができます。金属のバネが折れて使えない場合は、型取りを行い、金属のバネのみを作製してから入れ歯を修理します。

 

床の裏側を修復(リベース)

 

床部分(ピンクの部分)の内面にレジンを盛りつけ、上顎や歯茎に適合するように修復します。リベースを行うことで、入れ歯を新しく作る必要がなくなります。新しい入れ歯を作ると、慣れるまで時間がかかるでしょう。

しかし、1つの入れ歯を長く使えることは、患者にとって機能面に加えて経済面の負担も軽くなります。

 

レジンの部分が着色の除去

 

入れ歯も天然歯と同じように着色し、歯石が沈着します。着色した部分を研磨することで、元の入れ歯の色を再現することが可能です。入れ歯に歯石がついた場合も、専用の器具を使用して歯石を除去できます。

しかし、着色が濃くなると、たくさん削る必要があるため、入れ歯が薄くなったり適合が悪くなったりする恐れがあります。できるかぎり着色しないように、入れ歯の手入れを徹底しましょう。

 

表面のざらつきを研磨

 

表面のざらつきは、入れ歯専用の器具を用いて表面を研磨します。
ざらついたまま放っておくと、歯石や着色が付きやすくなります。また、ざらついた部分に舌や粘膜がこすれると傷になる恐れもあるのです。そのため、表面を研磨して滑らかにすることで、菌の繁殖を防ぎ、入れ歯を清潔な状態を保つことができます。

 

壊れていないのに入れ歯が合わない原因

入れ歯本体が壊れていなくても、残っている歯が変化することで入れ歯が合わなくなる場合があります。
以下で具体的な症例を解説します。

 

歯を治療して入れ歯との噛み合わせが変化した場合

 

入れ歯の対合歯(向かい合う歯)を治療して歯の形が変わると、噛み合わせが変化して噛みにくくなる場合があります。歯の治療をした場合は、入れ歯を調整する必要があるため、入れ歯を忘れずに持参しましょう。

 

顎の骨がやせるなど変化した場合

 

歯茎の形は加齢により変化するため、入れ歯を使っているうちに合わなくなる場合があります。入れ歯の内面を修復(リベース)して入れ歯を適合させることで、入れ歯がお口にフィットして使い心地がよくなるでしょう。

 

顎の位置関係が崩れている場合

 

もともと顎のバランスが崩れている方は、顎をずらして噛んでいることが多く、入れ歯を使用すると入れ歯が外れやすくなる場合があります。保険の入れ歯を何度修理しても合わない場合は、シリコンの入れ歯など自費の入れ歯を検討するとよいでしょう。

 

入れ歯をかけている歯にトラブルが起きた場合

 

入れ歯を引っかけている歯の差し歯がとれると、入れ歯が固定できなくなり、見た目も悪くなります。その場合、入れ歯に人工歯を増やして、入れ歯を修理することが可能です。

 

壊れた入れ歯を修理できないケース

入れ歯を眺めている年配

入れ歯は、多くの症例に対して修理が可能ですが、修理が困難なケースも存在します。
入れ歯の修理ができないケースは以下のとおりです。

 

・金属床の入れ歯

・修理を繰り返している入れ歯

・割れやひびが複数か所に及ぶ入れ歯

 

1つずつ、詳しく解説します。

 

金属床の入れ歯

 

金属床の入れ歯は、適合が悪くなった場合に、レジンを盛るといった修復が難しいため、作り直す場合があります。

 

修理を繰り返している入れ歯

 

修理を何度も行うと、人工歯をつけてもすぐに取れてしまうなどトラブルを繰り返しやすくなります。入れ歯を長持ちさせるためには、トラブルが起こらないように、ていねいに扱い、メンテナンスで噛み合わせを調整することが重要です。

 

割れやひびが複数か所に及ぶ入れ歯

 

ひびが複数ある場合やバラバラに割れた場合は、入れ歯の修復は困難です。
ただし、新しい入れ歯を作るまでの仮の入れ歯として使用できる場合があります。ご自身で修復が難しいと判断した場合でも、念のため、細かい部品やかけらを保管して歯科医院へ持参しましょう。

 

壊れた入れ歯の修理にかかる期間と費用

入れ歯の修理にかかる時間や費用は、入れ歯の壊れ具合によって異なります。即日修理が可能な場合や2週間程度かかる場合もあります。
修理にかかる時間と費用の目安を以下にまとめてみました。

 

<入れ歯の修理にかかる時間や費用>

  修理にかかる期間 修理にかかる費用
ひびや割れが小さい場合(保険の入れ歯) ・即日 1~2時間程度
・歯科医師の手が空いていない場合、数日間お預かりすることもある。午前に預けて夕方に受け取るなど、臨機応変に対応してくれる場合もある。
1,500~3,000円程度
(3割負担の場合)
ひびや割れが複雑な場合
(保険の入れ歯)
・5日~2週間程度 2,000~5,000円程度
(3割負担の場合)
自費の入れ歯 ・入れ歯の素材によって大きく異なる
・修理ができない場合もある
入れ歯の素材によって大きく異なる

 

自費の入れ歯は、作製した歯科医院へ持ち込むことで比較的スムーズに修理ができる場合があります。入れ歯の作製時に受け取った保証書は忘れず歯科医院に持参しましょう。引っ越しなど遠方で通えなくなっても、入れ歯の素材が分かれば新しい歯科医院で取り寄せて修理ができる場合があります。
入れ歯が壊れた場合に備えて、入れ歯の素材や保証期間などを事前に理解しておくことが重要です。

 

まとめ

入れ歯の模型を持って笑顔の女性

入れ歯の修理は、割れの修復やクラスプの作製など幅広く対応しています。ご自身で修理をすると修復できなくなる場合があるため、市販の接着剤やペンチを使った修理は控えましょう。

また、新しい入れ歯を作りたいと考えている方も、壊れた入れ歯は保管しておきましょう。入れ歯は完成まで短くても1か月程度かかるため、古い入れ歯を修理して使える状態にしておく必要があるからです。入れ歯が破損したら、細かなかけらやクラスプも失くさないように保管し、早めに歯科医院を受診しましょう。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。