入れ歯コラムCOLUMN

インプラント VS 精密入れ歯

先日、約一年間の治療を頑張って下さった患者様が、無事治療終了されました。


元々お口の中には、16本ものインプラントが入っていて、3年間もの間何度もオペをして治療をされたそうですが、最終的に入った物が、咬みにくい、唇や舌を咬む、物が挟まって掃除がしにくい、笑っても歯が見えなくて見ためが悪い、この先もし寝たきりになってしまったら自分で掃除できる自信がないから、取り外しのできる総入れ歯にして欲しい。という御要望で当院にお越しになられました。


初めて来て下さった日がこの状態です。
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基本的には、入れ歯で咬めないからインプラントにしたいという方はおられますが、インプラントで咬めないとおっしゃっている方を、入れ歯で治療するケースはごく希で、しかもよく噛めて、より美しく、そして自分でメンテナンスしやすい状態にしなければならないというチャレンジが、最初のスタートでした。


実際、入れ歯の方が審美的には綺麗にできる事と、メンテナンスはしやすいので、患者様の御要望の多くはかなえられると思いましたが、インプラントより咬めるようにできるかどうかが、今回の治療の一つの鍵でした。


そして最大の問題が、その16本のインプラントが、別々の医院で手術を受けられているので、ブランドが3種類あること、それぞれ違うコンセプトでオベをされているので、埋入されている方向が様々な事、そして、今はもう製造されていないインプラントも入っている事、これらが一番大変な部分でした。


インプラントは国際共通規格という物がなく、ブランドごとにシステムも、ドライバーの規格も全く異なります。


なので、海外から部品を取り寄せたり、それぞれのインプラントシステムの勉強をしたりと、かなり手間ひまがかかり、入れ歯に置き換わるまでは、毎回何種類ものドライバーや器具を使用して、たくさんのネジをはずして、そしてまた治療が終わったらネジを止め直してと、とても大変で、患者様も長時間の治療をよく頑張って下さいました。


途中、インプラントの土台の部分で入れ歯が割れてしまったり、インプラントで固定できる入れ歯にした為、今発売されている入れ歯用の人工歯で最も硬い物を使用しても歯がびっくりするくらいすり減ってきたりと、色々トラブルもあり、入れ歯専門技工士の森永さんと共に試行錯誤を繰り返し、やっと最終形態になったものが、この入れ歯です。
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金属部分が多く、少し重厚感が強すぎる感じもしますが、患者様は壊れにくい安定した物を最優先して欲しいという御要望でしたので、これが最善だったのではと思います。


そして、全ての治療が終了した患者様の感想は。。。


「見た目もとても自然になり、色んな人に褒めてもらえるんです!
取り外して綺麗に洗えるから、とても気持ちいいんです!」

第一段階はクリア、そして肝心な質問です。


「お食事はおいしく食べて頂けますか?」


「舌や唇もほとんど咬まなくなりました。もともとやわらかい物しか食べませんが、食事は美味しく食べられます」


ほっと胸をなで下ろしました。

とても大変な治療でしたが、無事いい結果に結びつき本当によかったです。
私自身も、入れ歯専門技工士の森永さんもこの一人の患者様を通して、様々な勉強をさせて頂くことができました。


たくさんの患者様を短時間でこなしていく事によっても、学ぶ事はたくさんありますが、一人の患者様と何時間も何年も真剣に向き合う事で導きだされる答えは、歯科医師人生にとっての大きな財産になります。

一つ一つの事をこつこつと積み上げていく事しか私にはできませんが、これからもよりより歯科医療のため、自分に厳しくあり続けたいと思います。
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医療法人社団 木下歯科医院 
院長 木下 貴雄

  • 国立徳島大学歯学部歯学科 卒業
  • IPSG咬合認定医
  • BPSメンバー(日本第一号となる精密入れ歯国際ライセンス認定歯科医師)