入れ歯コラムCOLUMN

すべての歯を失ってしまったら| 総入れ歯の種類と費用について解説!

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。

上下の入れ歯の模型が置かれている


むし歯や歯周病が原因で歯を失った場合、歯を補う治療法のひとつに「入れ歯治療」があります。歯をすべて失った場合に装着するのは総入れ歯です。総入れ歯には特徴や費用の異なるさまざまな種類があるため、希望に合ったものを選択しましょう。
今回は、総入れ歯の種類や費用について解説します。

総入れ歯の種類
1・2・3と書かれたカラフルなブロックが並べられている

総入れ歯はさまざまな種類があり、口の中の状況や悩みに応じて適切なものを選択する必要があります。総入れ歯には以下のような種類があります。

・レジン床義歯

・アタッチメント義歯

・金属床義歯

・シリコーン義歯

・インプラントオーバーデンチャー

・BPSデンチャー

それぞれを解説していきます。

レジン床義歯

レジン床義歯とは、床と呼ばれる歯茎や顎を覆う部分の素材がレジン製である入れ歯です。

<レジン床義歯のメリット・デメリット>

メリット ・費用が安価 ・修理や調整がしやすい
デメリット ・装着時の違和感を持ちやすい ・耐久性が低い ・温度を感じにくい


レジン床義歯の最大のメリットは、治療に保険が適用されるため費用が安価であることです。初めて入れ歯を装着する方は、安価なレジン床義歯で使用感を確かめるのもよいでしょう。レジンは扱いやすい素材であるため、修理や調整が比較的容易です。入れ歯の厚みを調整したり、割れたものをつけたりすることも可能です。
ただし、レジンの特性によって薄いと割れやすく、ある程度の厚みが必要です。違和感や異物感を持ちやすく、話しにくさを感じることが多い点はデメリットといえるでしょう。レジンの厚みがあるゆえに、食べ物などの温度を感じにくくなります。

アタッチメント義歯

アタッチメント義歯とは、入れ歯と残っている歯の根とを磁力によって維持する入れ歯です。入れ歯に埋め込まれた磁石と、歯根に蓋をするように取りつけた金属とで固定されます。

<アタッチメント義歯のメリット・デメリット>

メリット ・入れ歯の安定性がよい ・噛む力が比較的強い
デメリット ・歯根が残っていないと適応にならない ・MRI検査に影響が出る


強力な磁力によって入れ歯が維持されるため外れにくく、安定性がよいのが特徴です。残っている歯根が入れ歯の沈下を防いでくれることから、比較的強く噛むことができます。
ただし、アタッチメント義歯は歯根に金属を取りつけなければなりません。そのため、総入れ歯ではありますが、歯根が残っていることが適応条件です。口腔付近のMRIを撮影した際、歯根に取りつけた金属の周囲に画像のゆがみが生じることがあります。診断が困難な場合は、金属を除去しなければなりません。

金属床義歯

金属床義歯とは、床部分が金属で作られた入れ歯です。使用される金属は、コバルトクロム・チタン・ゴールドなどの種類があります。

<金属床義歯のメリット・デメリット>

メリット ・装着時の違和感が少ない ・耐久性に優れている ・温度を感じやすい
デメリット ・費用が高額 ・修理が難しい ・金属アレルギーを引き起こすことがある


強度が高い金属は薄くできるため、床部分がレジン床の4分の1ほどの薄さで製作できます。そのため、装着時の違和感が少なく、舌が動きやすいことから話しにくさも感じません。金属は熱伝導性に優れているため、飲食したときの温度が天然歯に近くなります。
デメリットは、保険が適用されず自費診療になるため費用が高額なところです。金属部分の修理は難しく、大きな破損は作り直しが必要になることも考慮しなければなりません。

シリコーン義歯

シリコーン義歯とは、床部分の歯茎や顎に触れる部分がシリコーン素材で覆われている入れ歯です。

<シリコーン義歯のメリット・デメリット>

メリット ・装着感がよい ・歯茎の痛みが少ない
デメリット ・費用が高額 ・汚れが付着しやすい


シリコーン義歯の最大の特徴は、歯茎や顎に触れる部分がシリコーンであるため、密着して外れにくく、装着感がよいところです。シリコーンはやわらかくクッション性があるため、噛んだときの力を吸収し、歯茎の痛みを緩和します。
シリコーン素材の性質上、汚れがつきやすいのはデメリットのひとつです。保険が適用されず、費用は比較的高額ですが、使っている義歯を部分的にシリコーン素材に置き換えられる場合もあります。新たに製作するよりも費用を抑えられるため、歯科医院で相談してみましょう。

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーは、顎骨に埋め込んだ2〜4本ほどのインプラント体を固定源の入れ歯を維持・安定させる治療法です。

<インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリット>

メリット ・入れ歯の安定性がよい ・噛む力が比較的強い
デメリット ・費用が高額 ・外科的手術が必要となる


インプラントオーバーデンチャーは、入れ歯を維持するインプラント体が顎骨に固定されているため、安定性がよく、ずれたり外れたりしにくいことが特徴です。インプラント体がしっかりと入れ歯を支えることで、噛む力が大きくなります。
ただし、保険が適用されず費用が高額になります。インプラント体を埋入するための外科的手術が必要になるため、高齢・基礎疾患がある場合などは適応外となる可能性もあります。

BPSデンチャー

BPSデンチャーとは、ヨーロッパの最先端義歯製作技術を活用して製作したより高品質な入れ歯です。

<BPSデンチャーのメリット・デメリット>

メリット ・より精密で自分に合った入れ歯を製作できる ・審美性に優れている
デメリット ・費用が高額 ・取り扱っている歯科医院が少ない


BPSデンチャーは、独自のシステムを利用し、患者と話し合いながらオーダーメイドで入れ歯を製作するのが特徴です。顎や筋肉の動き・噛み合わせのバランス・発音などさまざまな角度から検査を行うため、より精密で自分に合った入れ歯が完成します。
ライセンスを取得した歯科医師・歯科技工士のみがBPSデンチャーを製作できるため、取り扱っている歯科医院は多いとはいえません。

総入れ歯にかかる費用

ピンクの豚の貯金箱に歯の治療器具が置かれている

総入れ歯にかかる費用は、保険適用の有無や使用している材料・素材によって大きく異なります。入れ歯の種類ごとの費用相場を以下の表にまとめました。

<入れ歯の種類ごとの費用相場>

保険適用の有無 義歯の種類 費用相場 (保険適用の場合は3割負担の費用を記載)
保険適用 レジン床義歯 ・総入れ歯:10,000〜20,000円 ・部分入れ歯:4,000~10,000円
マグネット義歯 マグネット1個につき3,000円ほど (入れ歯本体の費用は別途)
保険適用外 (自費) 金属床義歯 ・コバルトクロム:200,000~400,000円 ・チタン:300,000~500,000円 ・ゴールド:500,000~700,000円
シリコーン義歯 200,000~400,000円
インプラントオーバーデンチャー インプラント体+アタッチメント:500,000~1,500,000円 (入れ歯本体の費用は別途)
BPSデンチャー 350,000~500,000円


歯をすべて失って入れ歯治療を選択した際には、第一に保険適用であるレジン床義歯が検討されることが多いです。入れ歯は使用していくと摩耗したり合わなくなったりする傾向があります。
作り直しを考えたときに、保険適用の入れ歯であれば経済的負担は軽くなるでしょう。自費の入れ歯は使用する材料が幅広く、耐久性の高いものを選択できます。費用は高額にはなりますが、耐久性に加え使用感が優れた自費の入れ歯は選択する価値が十分あるでしょう。
ただし、自費診療はそれぞれの歯科医院が独自で費用を設定できます。提供している治療内容も含めて、いくつかの歯科医院を比較して検討しましょう。

まとめ

白い台の上に歯の模型が置かれている

総入れ歯には、さまざまな特徴を持った数多くの種類があります。総入れ歯を選ぶうえで大切なのは、費用や使用感など自分が何を重要視するかを明確にすることです。歯科医師と相談しながら自分に合った治療法を見つけてください。

入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。