こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
何らかの理由で「歯を部分的に失った」「残っている歯をすべて失ってしまった」というケースでは、噛む機能の回復や審美性を改善するために治療が必要です。歯を失った場合さまざまな治療法がありますが、選択肢のひとつとして「入れ歯」があります。実際に入れ歯を選択した場合、治療の流れや期間・費用はどれくらいなのか気になる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、総入れ歯と部分入れ歯の治療の流れや期間・費用について解説します。総入れ歯・部分入れ歯の作製を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
総入れ歯の治療の流れと治療期間・費用相場について
はじめに、総入れ歯の特徴、総入れ歯の治療の流れと製作期間、費用相場について解説します。
総入れ歯の特徴
総入れ歯は、上下どちらかの歯が1本もない方に適応される入れ歯です。床(しょう)といわれる歯茎を覆う土台の部分に人工の歯を並べて、噛む機能と審美性を回復させる治療法です。
就寝時は、歯茎に負担がかかるため取り外して保管します。食後もご自身の歯と同様に、入れ歯に付いた汚れを歯ブラシで取り除くなど自己管理しなくてはいけません。
入れ歯は、歯茎で噛む力を補うため咀嚼力が弱くなるデメリットがあります。総入れ歯の場合、歯がある方の1〜2割ほどの力でしか噛むことができないといわれています。また、歯茎にしっかりと吸着していないと、食事や会話の際に入れ歯が動いて安定しないため、歯科医師の技術力も必要な治療といえるでしょう。
入れ歯は違和感が大きく、慣れるまでに時間が必要です。はじめて総入れ歯を使用する方は、会話や食事などの機能面の回復に時間がかかる場合が多いでしょう。
総入れ歯の治療の流れ
総入れ歯の治療工程は、大きく分けて以下の5つの工程を経て製作されます。
①カウンセリング・治療計画の策定
②型取り
③噛み合わせの確認
④歯並びなど最終確認
⑤完成
以下、工程別に解説します。
①カウンセリング・治療計画の策定
現在の口内の状態を確認します。
困っていることや入れ歯の製作についての疑問や要望を歯科医師または歯科衛生士がカウンセリングで伺います。歯科医師は、口の中の状態と要望などを考慮して治療計画を策定し、策定された治療計画に納得できたら治療開始です。
②型取り
総入れ歯の場合、あごの骨が痩せているケースが多く、既製のトレーでの型取りが難しいことがあるでしょう。
総入れ歯は、歯茎としっかり密着することで安定するため、精密な型取りが必要不可欠です。そのため、既製のトレーでの型取りが難しい場合は、総入れ歯の型取りを行うための専用のトレーを製作してから型取りを行います。
専用のトレー作製のための型取りを行い、後日完成した専用のトレーで総入れ歯の型取りをします。症例によっては2回型取りする必要がありますが、専用のトレーを使用することで精密な型を取ることが可能です。
③噛み合わせの確認
作製された土台となる床部分を口内に入れて、最適な大きさかどうかを確認します。噛むときのあごの動きも確認して、噛み合わせの高さや前後左右の位置関係を決めていきます。
よく噛める入れ歯を作製するには、噛み合わせのチェックは重要な工程となるので、時間をかけて慎重に行われるケースが多いです。
④歯並びなど最終確認
最適に噛めるあごの位置関係を考慮して、仮の入れ歯を作製します。実際に装着して痛みや違和感がないか、スムーズに口が動かせるか、噛むことができるかなどを確認して、問題がある場合は修正します。
見た目の確認も行うので、ご自身で気になる点がある場合は要望を歯科医師に伝えるとよいでしょう。
⑤完成
完成した入れ歯を装着して、問題がないか確認します。噛み合わせの高さや痛みなくフィットする形態にするために、微調整を行います。
入れ歯は、一度で痛みなく快適に使える状態にすることが難しいです。食事や私生活で痛みや違和感がでたら歯科医院で調整を行います。何度か調整することでお口に合うようになるでしょう。また、総入れ歯であっても歯茎の形態は変化するので、定期的に歯科医院を受診して入れ歯が合っているか確認してもらう必要があります。
総入れ歯の治療期間
総入れ歯の治療期間は1〜2か月が一般的です。通院回数は、治療開始から4〜5回ほどの通院が必要となるでしょう。
次の工程に進むためには1週間ほどの期間が必要なので、治療と治療の間を1〜2週間ほど間をあけて予約を取るケースが多いです。また、完成しても痛みや違和感がある場合は、何度か通院して調整してもらう必要があることを覚えておきましょう。
総入れ歯の費用相場
総入れ歯の費用は、製作する総入れ歯の種類によって異なります。総入れ歯の費用相場は、以下のとおりです。
<総入れ歯の費用相場>
種類 | 費用相場 |
---|---|
保険適用(3割負担) | 約10,000円 |
保険適用(1割負担) | 約3,000円 |
金属床 | 約500,000〜700,000円 |
コンフォート義歯 | 約400,000〜500,000円 |
総入れ歯の費用相場は、3割負担で10,000円前後、1割負担で3,000円前後です。3割負担で上下の入れ歯を製作した場合は、20,000円前後かかるでしょう。
また、金属床などの保険適用外の入れ歯は、歯科医院によって価格が異なります。保険適用の総入れ歯と比較して費用は高額となり、歯科医院ごとに費用が異なるため確認が必要です。
部分入れ歯の治療の流れと治療期間・費用相場について
次に、部分入れ歯の特徴について解説します。その後、部分入れ歯の治療の流れと製作期間、費用相場について解説します。
部分入れ歯の特徴
部分入れ歯は、1本もしくは複数本の歯を失った方に適応される治療法です。歯茎に土台となる床(しょう)を設けて、隣接の歯や残っている歯にバネをかけて支えとして使用します。
噛む力を歯茎とバネのかかる歯で負担して補うため、歯茎部分と支えとなる歯にかかる力のバランスが、部分入れ歯の安定性を保つポイントといえるでしょう。部分入れ歯は、歯のある方の3〜4割ほどの力でしか噛むことができないといわれていますが、総入れ歯と比較すると咀嚼力は高いです。
お手入れは、食後に入れ歯を外し、ブラシなどで汚れを落とします。洗浄後に歯茎とバネのかかる歯の負担を軽減させるため、就寝時は入れ歯を外しましょう。
部分入れ歯の治療の流れ
部分入れ歯の治療の工程は、総入れ歯と大きく変わりはありません。部分入れ歯の治療工程は、大きく分けて以下の5つの工程を経て製作されます。
①カウンセリング・治療計画の策定
②型取り
③噛み合わせの確認
④歯並びなど最終確認
⑤完成
以下、工程別に解説します。
①カウンセリング・治療計画の策定
現在の口の中の状態を確認します。
部分入れ歯の作製についての要望や悩みなどを歯科医師や歯科衛生士が伺います。気になることがあればカウンセリングの際に確認しましょう。歯科医師は、口の中の状態と要望に沿って最適な治療計画を策定します。虫歯や歯周病が見つかった場合は、先に治療を行うケースが多いです。治療内容に納得できれば治療を開始します。
②型取り
部分入れ歯は、支えとなるバネのかかる歯を削る必要があります。歯を削らずにバネを設置すると、支えが不安定となり、部分入れ歯の安定を保つことが難しくなるため、調整は必要不可欠です。
バネの部分の形を整えたら歯型を採取します。物を噛んだ際に、部分入れ歯のひずみとバネのかかる歯への負担が最小限となるように、精密な型取りを行わなくてはいけません。
③噛み合わせの確認
完成した床部分の大きさが適正か確認し、口を動かした際のあごの動きから、噛む位置関係を決定します。
噛み合わせの高さや位置関係は、入れ歯を快適に使うための重要な工程です。また、部分入れ歯の場合、歯の大きさや色なども周囲の歯と比較して違和感のないものを選択する必要があります。
④歯並びなど最終確認
噛み合わせの位置や歯の色・大きさを考慮したうえで仮の入れ歯を作製します。
実際に口の中で装着して、噛み合わせや歯並び、見た目に問題がないか確認します。歯の色など気になる点がある場合は歯科医師に伝えましょう。
⑤完成
完成した部分義歯を装着して微調整を行います。
食事などの日常生活を送ってみると痛みや違和感など生じる場合があるので、調整を繰り返していくのが一般的です。また、歯並びや噛み合わせは変化するので、定期的に歯科医院を受診して入れ歯の状態を確認してもらうと、トラブルなく長く使用できるでしょう。
部分入れ歯の治療期間
部分入れ歯の治療期間は、1か月ほどで4回前後の通院回数で完成するケースが多いです。総入れ歯と異なり、部分入れ歯は失った歯の本数によって入れ歯の大きさなど条件が異なります。
入れ歯の歯の本数が少ないなど治療が単純な症例では、噛み合わせの確認や最終確認の工程を省略して作製されることがあります。その場合、治療期間は最短で2週間ほどで通院回数も2回で済むこともあるでしょう。部分入れ歯の治療期間は、総入れ歯と比較して短く済む場合が多いです。
部分入れ歯の費用相場
部分入れ歯の費用は、製作する総入れ歯の種類によって異なります。部分入れ歯の費用相場は、以下のとおりです。
<部分入れ歯の費用相場>
種類 | 費用相場 |
---|---|
保険適用(3割負担) | 約5,000〜14,000円 |
金属床 | 約300,000〜600,000円 |
コンフォート義歯 | 約100,000〜550,000円 |
ノンクラスプデンチャー | 約100,000〜300,000円 |
コーヌス義歯 | 約500,000〜800,000円 |
保険適用の部分入れ歯は、補う歯の本巣やバネの設計などで費用が異なるため、費用相場に開きがあります。自費治療の部分入れ歯は、歯科医院によって取り扱いの有無や費用や異なるので、治療を開始する前に歯科医院に確認しましょう。
まとめ
総入れ歯や部分入れ歯は、歯を失った際に歯の機能を補う治療法のひとつです。入れ歯の製作期間は、総入れ歯で4〜5回の通院で1〜2か月ほど、部分入れ歯で2〜4回の通院で1か月ほどの期間がかかります。
入れ歯は保険が適用されるので、3割負担で総入れ歯が約10,000円、部分入れ歯で約5,000〜14,000円で製作することが可能です。
ただし、保険適用の入れ歯は違和感や痛みが出やすいため、より安定した快適な入れ歯を希望する場合、保険適用外の入れ歯も視野に入れるのも有効でしょう。口内に合う入れ歯は一人ひとり異なります。どの入れ歯がご自身にとって最適なのか気になる方は、歯科医院でご相談されるのがよいでしょう。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。