こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
奥歯は、お口の中の最も奥にあるため虫歯の発見が遅れやすく、重症化しやすい箇所です。治療が遅れれば、根管治療や抜歯が必要になるケースも考えられます。そのため「奥歯に虫歯ができたかもしれない」と感じる方は、早めに歯科医院を受診したほうがよいでしょう。
本記事では、奥歯が虫歯になる原因や治療方法、詰め物・被せ物の種類、虫歯の予防法について解説します。
奥歯が虫歯になる原因

ここでは、奥歯が虫歯になる3つの原因について解説します。
複雑な形状をしているため
奥歯は、食べ物をすりつぶす役割を果たすために、表面が凸凹とした複雑な形状をしています。そのため、凹凸部分に食べカスやプラークが蓄積しやすく、しっかり歯磨きができていないと虫歯になるリスクが高まるのです。
歯ブラシが届きにくいため
奥歯は口の中の奥にあるため歯ブラシが行き届きにくく、側面や奥側、手前の歯との間の様子を目視で確認するのが難しいです。歯ブラシがしっかりと届かず、プラークなどの汚れが残った状態が続くと虫歯になるリスクが高まるでしょう。
唾液が流れにくいため
唾液には、食べカスを洗い流したり細菌の増殖を抑制したりする働きがあります。また、虫歯菌が放出する酸によってエナメル質の表面が溶かされた箇所を修復(再石灰化)する役割も担っています。
上の奥歯の外側には耳下腺があるため唾液が流れやすいですが、内側にはあまり流れません。そして、下の奥歯の内側には唾液が流れやすいですが、外側にはあまり流れません。そのため、上の奥歯の内側と下の奥歯の外側は、虫歯が発生しやすくなります。
奥歯の虫歯はどう治療する?

ここからは、奥歯の虫歯の治療方法を進行度別に解説します。
初期段階の虫歯の治療
虫歯の進行度は、COとC1〜C4の5つに分けられます。そのなかでも、エナメル質がわずかに溶かされた状態をCOといいます。
いわゆる初期虫歯の状態で、この段階ではエナメル質に穴は開いていません。初期段階の虫歯では痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、歯の表面のエナメル質が白濁することがあります。このような場合、適切なブラッシングやフッ素塗布のみで再石灰化が見込めます。
COから虫歯が進行すると、エナメル質に穴が開きます。さらに虫歯が進行してエナメル質の下にある象牙質にまで達すると、冷たいものや甘いものを口にしたときにしみたり痛みを感じたりするようになります。
C1やC2の治療では、病変部位を取り除き、コンポジットレジンを詰めるか、型取りをして詰め物を施すことが一般的です。
歯髄にまで達した虫歯の治療
虫歯が象牙質よりも奥にある歯髄に達した段階をC3といいます。歯髄とは、歯の神経や血管などを含んだ部位で、ここまで虫歯が進行すると激しい痛みを伴うようになります。また、歯ぐきが腫れたり膿が出たりすることもあります。
虫歯が歯髄まで達している場合は、根管治療が行われます。根管治療とは、歯の神経を抜き、根管内を洗浄・消毒する処置のことです。
根管治療は虫歯菌の取り残しがないように行う必要があるため、洗浄と消毒を複数回繰り返す必要があります。特に、奥歯の根管の形状は複雑で、曲がっていたり細くなっていたりするため、治療期間が長期に及ぶ傾向にあります。
根管内がきれいになったら、根管内に充填剤を詰めて土台を作り、型取りをして被せ物を装着すれば終了です。
歯の大部分が溶かされた虫歯の治療
歯髄まで達した虫歯を放置すると、歯の神経が壊死して痛みを感じなくなります。この状態では、歯の大部分が溶かされてボロボロになるため、根管治療での改善は見込めません。
痛みがなくなったことで「虫歯の症状が落ち着いた」と感じる方も多いかもしれませんが、放っておくと歯の根の先に膿が溜まり、再び激しい痛みが生じるようになります。C4まで進行した場合、抜歯となることが一般的です。
奥歯の虫歯を治療したあとの詰め物・被せ物

ここでは、奥歯を治療したあとに施される詰め物や被せ物の種類についてみていきましょう。
詰め物の種類
詰め物の種類は、以下の通りです。
コンポジットレジン
コンポジットレジンとは、歯科治療で最も多く使用されるプラスチック素材です。金属アレルギーの方でも使用でき、自然な見た目が特徴です。
一方で、経年劣化しやすく、使っているうちに黄色っぽく変色するというデメリットもあります。
銀歯
銀歯とは、パラジウム合金を主成分とする金属素材で、文字通り銀色をしています。レジンに比べて耐久性が高いことが特徴です。
その一方で、金属特有の温度による状態変化や成分の溶け出しが起こりやすく、天然歯との間に段差やすき間が生じやすいという欠点もあります。
オールセラミックインレー
オールセラミックインレーとは、陶材を使用した詰め物のことです。天然の歯に近い白さや透明感を再現でき、耐久性にも優れています。
一方、費用が高額になることや強い衝撃が加わると割れたり欠けたりするリスクが高い点については理解しておく必要があるでしょう。
ゴールドインレー
ゴールドインレーとは、金合金や白金加金などの金属を使用した詰め物のことです。生体親和性が高く、金属アレルギーのリスクは低いといわれています。また、天然の歯と同等の硬さですので、噛み合う歯を傷つける心配もありません。
なお、その名の通り金色をしているため、口を開けたときに治療部位が目立つ可能性があります。
被せ物の種類
被せ物の種類は、以下の通りです。
銀歯
銀歯は、金銀パラジウム合金を主成分とする被せ物です。銀色をしているため、奥歯であっても口を開けたときに目立つ可能性があります。保険が適用される治療で多く用いられており、費用を抑えたい方に選ばれています。
オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンとは、陶材を用いた被せ物のことです。自然な見た目と耐久性を持ち合わせていることに加え、表面が滑らかでプラークが付着しにくいという特徴もあります。
ジルコニアセラミッククラウン
ジルコニアセラミッククラウンとは、セラミック素材のなかでも強度が高いジルコニアを使用して作られる被せ物のことです。強度が高いため、大きな力のかかる奥歯にも使用可能です。色調の再現性については、オールセラミッククラウンよりも劣ります。
ハイブリッドセラミッククラウン
ハイブリッドセラミッククラウンとは、陶材とレジンを混ぜ合わせて作られた被せ物です。陶材の審美性とレジンの柔軟性を兼ね備えており、前歯から奥歯まで適応できます。また、レジンを含んでいるため、セラミック素材よりも費用を抑えられます。
メタルボンド
メタルボンドとは、金属の土台の上にセラミックを施したクラウンのことです。セラミックの美しさと金属の強度を兼ね備えており、経年劣化による変色が起こりにくいのが特徴です。
ただし、土台に金属が使用されているため、金属アレルギーの方は使用できません。
ゴールドクラウン
ゴールドクラウンは、金にプラチナを加えた素材や金合金などで作られたクラウンです。生体親和性が高く、銀歯に比べて目立ちにくいという特徴があります。
一方で、金属素材ですので、セラミック素材に比べれば審美性に劣ります。
奥歯の虫歯を予防するには

最後に、奥歯の虫歯を予防するための方法をご紹介します。
毎日の口腔ケアを丁寧に行う
奥歯は歯の状態が目視で確認しづらく、歯ブラシも行き届きにくいため、虫歯になるリスクが高まります。
通常の歯ブラシでは磨ききれない細かい部分は、毛束が1本のタフトブラシを使用して磨きましょう。また、虫歯は歯と歯の間にも発生しやすいため、デンタルフロスや歯間ブラシもうまく活用して、歯ブラシが届きにくい細かい部分に付着した汚れも落としてください。
フッ素配合のケア用品を活用する
フッ素には、歯質を強化したり細菌の活動を抑制したりするだけでなく、再石灰化の促進にも役立ちます。毎日のケアにプラスすることで、より虫歯の予防効果が高まるでしょう。
食生活を見直す
虫歯菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をエサとして増殖します。そのため、普段から甘いものを好んで口にしている方は、控えたほうがよいでしょう。特に、甘い食べ物や飲み物をダラダラと口にする習慣がある方は、歯が溶かされやすくなるため注意が必要です。
定期的に歯科医院を受診する
毎日の歯磨きを丁寧に行っているつもりでも、汚れやプラークは蓄積されます。そのため、定期的に歯科医院でチェックやクリーニングを受けることも重要です。
歯科検診では、ブラッシング指導も受けられます。磨き残しやすい箇所を確認し、適切なケア方法を知ることで、虫歯の予防につながるでしょう。
まとめ

本記事では、奥歯が虫歯になる原因や治療方法、詰め物・被せ物の種類、虫歯の予防法について解説しました。
奥歯は凹凸の多い複雑な形状をしていることに加え、歯ブラシが行き届きにくいため、虫歯になるリスクが高い部分です。重症化すれば根管治療が必要になることもあり、治療が長引く可能性もあるでしょう。
奥歯の虫歯を予防するためには、毎日の丁寧なセルフケアや食生活の見直しが重要です。また、トラブルの予防や早期発見・早期治療のためにも、定期的に歯科医院を受診しましょう。
虫歯にお悩みの方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・歯周病治療や入れ歯治療、インプラント治療など、さまざまな診療に力を入れています。ホームページはこちら、無料相談も行っておりますので、ぜひご覧ください。