入れ歯コラムCOLUMN

痛くない入れ歯はある?痛みを感じる原因とリスクも解説!

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。

入れ歯を装着している女性

痛くない入れ歯はあるのか気になっている方がいるのではないでしょうか。「噛むと入れ歯が痛い」「入れ歯を使っていたら口内炎ができた」など、入れ歯の痛みでお悩みの方は少なくありません。痛みがある状態で使い続けるとさまざまなリスクがあるため、痛みが出る原因を知り、適切に対処することが大切です。
今回は、入れ歯で痛みを感じる原因や痛みがある状態で入れ歯を使い続けるリスクについて解説します。痛みが少ない入れ歯もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

歯を失った場合の入れ歯の重要性
グラデーションの背景の前に置かれた1本の歯

入れ歯には、虫歯や歯周病などで失われた歯に代わり、噛む機能をサポートする役割があります。
また、失われた歯を補うだけでなく、以下のような重要な役割を担います。

・咀しゃく機能の回復

・発音機能の回復

・口腔内の健康維持

・審美性(見た目の美しさ)の回復


それぞれについて詳しくみていきましょう。

咀しゃく機能の回復

咀しゃくとは、食べ物を噛み砕いて飲み込みやすい食塊(しょっかい)にする動作のことです。しっかり咀しゃくすることで唾液が分泌されやすくなり、嚥下(食べ物を飲み込む動作)や消化、栄養の吸収を助けます。
唾液の分泌が減少すると、食べ物が喉に詰まる・うまく飲み込めず気管に入って誤嚥(ごえん)が起こる危険性があるため注意が必要です。また、歯を失うと食べ物をしっかり噛めなくなるため、消化や栄養の吸収がされにくくなります。
誤嚥は肺炎を引き起こし、高齢者の命をおびやかすことも少なくありません。咀しゃく機能を維持することは健康を守ることにもつながるため、歯を失った場合は放置せず、入れ歯を使用して咀しゃく機能を維持・回復させましょう。

 

発音機能の回復

歯を失うと発音がうまくできません。
発音は歯と舌、唇によって形成されますが、歯を失うと空気が抜けやすくなるため、発音しにくくなります。特に前歯が欠損すると「サ行」などの発音が不明瞭になりやすいです。
聞き取りづらい発音になると会話に支障をきたします。自分の言いたいことが伝わらずにストレスを感じ、人とのコミュニケーションを避けるようになる可能性もあるでしょう。
コミュニケーションは社会とのつながりを維持するために欠かせません。入れ歯を使用して発音機能を回復させましょう。

口腔内の健康維持

入れ歯は口腔内の健康維持のためにも重要です。
歯を失った状態で放っておくと、空いたスペースに残っている歯が傾き、全体の歯並び・噛み合わせが悪くなる可能性があります。歯並び・噛み合わせが悪くなると虫歯や歯周病のリスクが高まり、さらに歯を失うことにもなりかねません。
また、歯列に欠損があると、噛むときに特定の歯に大きな負担がかかります。その結果、残っている歯の寿命が縮まるのです。また、歯茎や顎の骨にも負担がかかり、炎症が起きることもあります。
入れ歯は残っている歯や歯茎、顎の骨の健康を維持するためにも重要なのです。

審美性(見た目の美しさ)の回復

歯の欠損は見た目にも大きな影響を及ぼします。歯を失うことで、見た目を気にして人と会うことを避ける、また笑うことを躊躇することもあるでしょう。
入れ歯を使用することで審美性を回復し、笑顔を取り戻せます。笑顔に自信がもてると、精神的な安定にもつながるでしょう。

入れ歯で痛みを感じる原因

頬を手で押さえている男性

入れ歯で痛みを感じた経験があるという方は少なくありません。
原因によっては適切に対処することで痛みを軽減できるため、入れ歯で痛みを感じる原因を把握しておきましょう。

入れ歯に慣れていない

入れ歯を使いはじめて慣れていない時期には痛みを感じる方が多いでしょう。入れ歯は使いはじめてすぐに歯や歯茎に馴染むわけではなく、調整や経過観察が必要です。痛みがあるときは我慢せず、歯科医師に相談しましょう。

金具がゆるんでいる

部分入れ歯の場合、固定するための金具がゆるむことによって痛みが出ることがあります。ゆるんだ金具で歯茎が傷付いてしまうためです。金具のゆるみが原因で痛む場合は、調整や作り直しで対応できます。

入れ歯が合っていない

「入れ歯の一部が歯茎にあたって痛い」という場合は、何らかの理由で入れ歯が合わなくなっている可能性があります。
入れ歯はプラスチックや樹脂でできているため、噛む力や長期間の使用により変形します。そのため、はじめは合っていた入れ歯でも、使い続けることで合わなくなり、痛みが出るのです。
歯科医院で定期的に入れ歯をチェックしてもらい、お口に合っているか診てもらいましょう。

噛み合わせがズレている

お口の中は常に変化しており、加齢や生活習慣などによって噛み合わせがズレることがあります。噛み合わせのズレによって顎の骨に負担がかかると、顎関節の痛みや頭痛、肩こりの原因になるのです。
また、歯茎に負担がかかり、歯周病を引き起こす可能性もあります。噛み合わせのズレによる痛みを防ぐために、歯科医院で定期的に噛み合わせをチェックしてもらいましょう。

痛みがある状態で入れ歯を使い続けるリスク

RISKと書かれた積み木とドミノ

入れ歯を使用して痛みが出たときは、早めに歯科医師に相談しましょう。
痛みがある状態で入れ歯を使い続けると、以下のようなリスクが生じます。

・口内炎や細菌感染を起こす

・残っている歯の寿命が縮まる

・顎関節症になる

・会話や食事に支障をきたす


それぞれについて詳しくみていきましょう。

口内炎や細菌感染を引き起こす

入れ歯のズレや部分入れ歯の金具が原因で、歯茎が傷付くことがあります。
そのまま使い続けると、食事や会話などでお口を動かすたびに歯茎が傷付き、悪化すると口内炎や細菌感染を引き起こす可能性があるのです。
調整することで改善する場合もあるため、痛みがあるときは早めに歯科医師に相談しましょう。

残っている歯の寿命が縮まる

噛み合わせのズレによって痛みが生じている場合、そのまま使い続けると入れ歯の支えとなる健康な歯に負担がかかります。残っている健康な歯に負担がかかることで、歯の寿命が縮まるのです。

顎関節症になる

顎関節症とは、口を開け閉めしたときに痛みや音がするなどの症状が現れる疾患です。
噛み合わせがズレている入れ歯を使い続けると、顎に過度な負担がかかり、顎の関節に痛みが出るようになります。痛みを避けるために片側の顎ばかりを使って噛むと、さらに関節や筋肉に負担がかかるのです。
顎関節症になるリスクを避けるためにも、痛みがある場合は早めに歯科医師に相談しましょう。


会話や食事に支障をきたす

入れ歯で痛みが出ると、食事や会話をふだんどおり楽しめなくなり、人との食事やコミュニケーションが苦痛になるでしょう。入れ歯は毎日使用するものなので、痛みが社会生活にも影響を及ぼしかねません。

痛くない入れ歯はあるのか?

黒板に白いチョークで描かれたクエスチョンマーク

保険適用の入れ歯で「何度調整しても痛みがある」という場合は、自由診療の入れ歯を検討しましょう。
ここでは、痛みが少ない入れ歯を2つご紹介します。

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーは、従来の部分入れ歯のような金属の留め具(クラスプ)がない入れ歯です。柔らかい特殊な樹脂でできているため痛みが少ないのが特徴です。歯を固定する装置と床部分が歯肉に近いため、自然な見た目で人目を気にせず使用できます。
費用の相場は、100,000~300,000円程度です。
ノンクラスプデンチャーのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

<ノンクラスプデンチャーのメリット・デメリット>

メリット デメリット
・柔軟性があるため装着感がよく、痛みが少ない
・残存歯への負担が少ない
・金属の留め金がないため目立ちにくい
・金属アレルギーの心配がない
・自由治療の入れ歯の中では比較的安価
・柔軟性があるため入れ歯が動きやすい
・残存歯の状態によっては使用できない
・2~3年で作り直しが必要
・壊れたら修理・調整が難しい
・費用が高額


ノンクラスプデンチャーは、残存歯が少ない場合や歯茎の状態が悪い場合などでは適応にならない可能性があります。治療を希望する場合はカウンセリングを受け、歯科医師に相談しましょう。

インプラント義歯

インプラント義歯は、顎の骨に土台となるインプラントを埋め込み、そこに入れ歯を取り付ける方法です。土台がしっかりしているため、浮き上がりや噛み合わせのズレ、動揺を軽減できます。失った歯の本数が多い方や食事のときにガタガタするなどのお悩みがある方に適した入れ歯といえるでしょう。
費用の相場は、500,000~1,000,000円程度です。
インプラント義歯のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

<インプラント義歯のメリット・デメリット>

メリット デメリット
・安定感がありズレにくい
・しっかり噛める
・装着感がよい
・残存歯への負担が少ない
・インプラントにするよりも費用が安い
・外科手術が必要
・骨の量が少ないと治療を受けられない場合がある
・残存歯の虫歯のリスクが高くなる
・費用が高額


インプラント義歯はしっかり噛めるなどメリットが多い入れ歯ですが、糖尿病などの持病の状態によっては外科手術が受けられない場合があります。治療を希望する場合は歯科医師に相談しましょう。

まとめ

女性歯科医師と会話をすす高齢女性

入れ歯は失われた歯を補うだけでなく、咀しゃく機能・発音機能・審美性の回復や、口腔内の健康維持などの重要な役割を担います。
慣れるまでには痛みを感じることが多く、金具のゆるみや噛み合わせのズレなどによっても痛みが出ることがあるでしょう。痛みがある状態で入れ歯を使い続けると、口内炎や細菌感染などのリスクがあるため注意が必要です。
痛みが改善しない場合は、自由診療の入れ歯を検討しましょう。保険が適用されないため費用は高額ですが、痛みが少ない・装着感がよいなど、保険適用の入れ歯にはないさまざまなメリットがあります。現在お使いの入れ歯を調整しても痛みが改善しない場合は、ほかの入れ歯の選択肢についても歯科医師に相談しましょう。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。