入れ歯コラムCOLUMN

入れ歯が合わない!その原因と対処法について詳しく解説!

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
白い背景の前に上の歯の入れ歯が置かれている
入れ歯を入れると「歯茎に痛みを感じる」「喋りにくい」といった違和感がある方はいませんか。入れ歯を使用していると、このような症状に見舞われる方がいらっしゃいます。入れ歯の使用中に違和感をおぼえる場合、合わない入れ歯を使用している可能性が高いです。合わない入れ歯を使用していると、上述した症状以外にもさまざまなトラブルが起きる可能性があります。
今回は、入れ歯のトラブルや原因・対処法・合わない入れ歯を使用し続けるとどのような影響があるのか解説していきます。入れ歯が合わないと感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

入れ歯のトラブルの原因と対処法

歯の模型を左手に持ち、説明をしている歯科医師

入れ歯を使用しているとトラブルに見舞われる可能性があります。
入れ歯のトラブルとして挙げられるのは、以下の5つです。

・歯茎が痛い

・入れ歯が外れやすい

・頬や舌を噛んでしまう

・飲食物の温度や味を感じにくい、吐き気がする

・発音がしにくい

ここでは、入れ歯のトラブルと原因・対処法を解説していきます。

歯茎が痛い

入れ歯を使用すると歯茎に痛みを感じる方がいます。

・入れ歯を入れるだけで痛い

・食事などものを噛んだときに痛い

入れ歯が合わないと感じている方は、このような痛みのトラブルを抱えているケースが多いです。

原因

歯茎に痛みを感じる原因は、入れ歯と歯茎の形状が合っていないことが考えられます。入れ歯は歯茎の形に合わせて製作するため、形状が合っていれば、痛みもなく快適に過ごすことが可能です。
しかし、合わない入れ歯を使用していると一部分の歯茎に入れ歯が強く当たってしまいます。強く当たっている部分の歯茎が擦れて傷ついてしまうと、さらに痛みを感じやすくなるでしょう。
以下のケースは、トラブルが起こりやすいため注意が必要です。

・入れ歯を新製したとき

・長年、同じ入れ歯を使用している

入れ歯は、歯茎の形に合わせて製作しますが、人工物のため多少の誤差がみられます。入れ歯を新製した際は、噛み合わせのバランスや歯茎に当たっている部分を調整して、徐々に誤差をなくしていくのが一般的です。入れ歯が合うまでには、何度か調整する必要があるため、入れ歯を新製したときは、痛みや違和感が出やすいでしょう。
また、長年同じ入れ歯を使用している方も注意が必要です。個人差はありますが、口の中は常に変化しています。加齢とともに顎の骨が減少してしまうと、歯茎も痩せて下がります。歯茎が下がると、入れ歯と歯茎との間に隙間が生じるため、歯茎が痛い・食べカスが隙間に入り込むなどのトラブルの原因になるでしょう。

対処法

入れ歯が合わず歯茎に痛みが出ている場合、歯科医院で入れ歯を調整してもらうと解消されるでしょう。
長年入れ歯を使用している方は、入れ歯の新製が必要な場合もあります。何度か通院が必要になるケースもありますが、入れ歯と歯茎の形状が合えば症状は改善されるため、歯科医院を受診して確認してもらいましょう。

入れ歯が外れやすい

入れ歯が食事や口を動かしたときに頻繁に外れてしまう場合があります。

原因

総入れ歯の場合、入れ歯の床部分の面積が小さすぎたり大きすぎたりすると外れやすくなるでしょう。総入れ歯は、入れ歯と歯茎がしっかりと吸着することで安定性を保っています。小さすぎる入れ歯は歯茎に吸着する面積が小さくなるため、吸着力が弱くなりやすいです。
一方、大きすぎる入れ歯は、頬の粘膜まで入れ歯が当たってしまうと、口を動かすたびに入れ歯が浮いて外れてしまう可能性があります。また、噛み合わせが合っていない入れ歯を使用していると、安定性が失われるため外れやすくなるでしょう。
部分入れ歯の場合は、入れ歯の支えとなる歯にかけるバネが、使用している間に少しずつ緩みます。バネが緩むと、食事などで力がかかったときに外れる原因になります。

対処法

総入れ歯で入れ歯が小さすぎる場合は、材料を足して入れ歯の床を大きくします。
一方、入れ歯が大きすぎる場合は、頬の粘膜に当たっている部分を削って調整します。調整しても入れ歯がすぐに外れるようであれば、新製してご自身に合う入れ歯を製作する方法が一般的です。また、加齢などで歯茎が痩せて入れ歯と歯茎との間に隙間が生じているケースでは、入れ歯の内側部分に材料を足して隙間を埋めていきます。
部分入れ歯のバネが緩んでいるときは、バネを調整したりバネ部分だけ新製したりすると解決する場合が多いです。

頬や舌を噛んでしまう

総入れ歯や奥歯に入れ歯が入っている方のなかには、舌や頬を噛んでしまい痛みが出たり、口内炎ができてしまう場合があります。

原因

頬や舌を噛んでしまうトラブルは、主に3つの原因があります。

・入れ歯を新製したとき

・加齢の影響

・噛み合わせの高さの変化

頬や舌を噛むトラブルは、入れ歯を新製した際に多く起こります。
入れ歯は歯茎を覆うため、口の中の感覚が大きく変化します。入れ歯に慣れていないと、食事をした際にうまく食べ物を回すことが難しくなり、頬や舌を噛むひとつの原因になるでしょう。特に、保険診療で製作する入れ歯は厚みがあるため、頬や舌を噛むトラブルが起きやすいです。
しかし、中には同じ入れ歯を使用している場合でも、舌や頬を噛んでしまう方もいます。入れ歯に使用している歯(人工歯)はプラスチック製である場合がほとんどです。長年入れ歯を使用していると、経年劣化で人工歯がすり減り、噛み合わせが低く変化します。噛み合わせの高さが失われた分、頬にたるみができるため、頻繁に頬を噛むようになってしまう場合もあるでしょう。また、加齢によって頬のハリがなくなったり、舌の筋力が低下したりすると頬や舌を噛みやすくなります。

対処法

入れ歯を新製した場合は、時間の経過とともに舌や頬が入れ歯に慣れてくるため、少しずつ噛む頻度が減ってくるでしょう。
しかし、2週間以上経過しても頻繁に舌や頬を噛む場合は、入れ歯が合っていない可能性があります。このような場合は、歯科医院を受診して調整してもらうようにしましょう。入れ歯の経年劣化が原因の場合は、噛み合わせの調整や新製をすることで改善されるケースがほとんどです。特に、総入れ歯の方は虫歯・歯周病のリスクがないため、歯科医院を受診する機会が少なくなります。
歯茎や口周り、舌の状態は絶えず変化するため、定期的に歯科医院を受診して、入れ歯が合っているか確認してもらうことが必要です。

飲食物の温度や味を感じにくい、吐き気がする

入れ歯を入れると、飲食物の温度を感じにくくなったり、味がわかりにくくなったりします。また、総入れ歯の方や奥歯を複数本失って大きな入れ歯が入っていると、敏感な方は吐き気をもよおす場合があります。「温度や味を感じない」「吐き気がある」などのトラブルがあると食事を楽しめず、苦痛に感じてしまう場合もあるでしょう。

原因

歯を複数本失うと、入れ歯の床も大きくなるのが一般的です。入れ歯の床が大きくなると、歯茎が覆われる面積が増えるため、飲食物の温度や味が伝わりにくくなってしまいます。保険適用のプラスチック製の入れ歯は、熱伝導率が低く温度が伝わりにくいため、食事の際に違和感をおぼえる方が多いです。
また、保険適用の入れ歯は、強度を保つために分厚い作りになります。口の中の感覚が敏感な方は、分厚い入れ歯を異物と感じてしまい、吐き気をもよおす場合があるでしょう。特に、上顎に総入れ歯などの大きな入れ歯が入っている方は、症状が出やすいです。

対処法

温度や味を感じにくく違和感をおぼえる場合、調整だけでは改善が難しいです。自費治療の金属製の入れ歯であれば熱伝導率が高いため、飲食物の温度を感じやすく違和感が軽減します。また、インプラント治療は自身の歯と同じような感覚で使用できるため、噛み心地や温度を今まで通り感じたいと考えている方は検討してみてもよいでしょう。
吐き気は、入れ歯を新製した際に現れやすい症状です。口の中が入れ歯になれると改善することが多いため、1〜2週間ほど様子をみるようにしましょう。それでも症状が改善されない場合は、入れ歯を調整していきます。調整しても日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、ブリッジや自費治療の金属製の入れ歯・インプラントなど別の治療法を考える必要があるでしょう。

発音がしにくい

総入れ歯や前歯に入れ歯が入ると、発音しにくいと感じたり、発音が不明瞭になり周囲の方が聞き取りにくいと感じたりする場合があります。

原因

入れ歯を初めて入れた方や新しく入れ歯を新製した方は、口内が入れ歯に慣れていないことが原因の可能性が高いです。
入れ歯を入れると、舌を動かすスペースが狭くなります。スペース不足から舌をうまく動かせず「発音しにくい」「喋りにくい」と感じてしまうことが考えられます。また、分厚すぎたり入れ歯と自分の歯との間に無駄な隙間があったり、合っていない入れ歯を使用している場合も発音に支障をきたします。

対処法

入れ歯を初めて使う方や新しく新製した方は、時間の経過とともに舌やお口の周りの筋肉が入れ歯に慣れて改善するケースが多いです。
しかし、入れ歯が合っていない場合は、調整する必要があります。調整して入れ歯に慣れれば改善する場合が多いですが、改善がみられない場合は、自費の入れ歯、インプラントやブリッジなど、別の治療法を考える必要があるでしょう。

合わない入れ歯を使い続けるとどうなる?

グレーの背景の前に、左手で口元を押さえている女性が立っている

合わない入れ歯を使い続けると、さまざまな悪影響が生じます。
合わない入れ歯を使い続けると起こる悪影響は以下の3つです。

・歯茎にトラブルが起こりやすい

・顎関節に過剰な負担がかかる

・入れ歯を誤飲してしまう

順に確認していきましょう。

歯茎にトラブルが起こりやすい

歯茎に合ってない入れ歯を使用していると、歯茎が擦れて傷ついてしまいます。慢性的に刺激が加わり続けると、歯茎に炎症が現れ、口内炎の原因になる場合があるため、注意が必要です。
また、合わない入れ歯は、歯茎と入れ歯の間に汚れが入り込みやすくなります。食べカスやプラークが溜まった不衛生な状態が続くと、カンジタと呼ばれる真菌が増殖して、口内炎ができる義歯性口内炎の原因になります。

顎関節に過剰な負担がかかる

合わない入れ歯を我慢して使用していると、噛み合わせが悪化して顎関節に負担がかかります。顎関節に負担がかかると、頭痛や肩こりなど、全身の健康にも悪影響を与えるため注意が必要です。顎関節に負担がかかり続けると「顎関節症」を発症する場合があります。
また、入れ歯が合わず噛むたびに痛みがある場合、硬いものや食べにくいものを自然と避けるようになるでしょう。柔らかい食事を続けていると、顎の筋肉を使わなくなるため、筋力の低下にも繋がります。

入れ歯を誤飲してしまう

合わない入れ歯を使用し続けると、食事の際に誤飲してしまう危険性があります。特に介護が必要な高齢者は、誤飲したこと自体に気が付かないケースが珍しくありません。
部分入れ歯は、使用しているとバネの部分が少しずつ緩くなっていきます。トラブルがなくても定期的に歯科医院を受診して、入れ歯が合っているか確認してもらうようにしましょう。

まとめ

歯科のいすに座り、手鏡を持って口元を確認する高齢男性

歯茎に痛みを感じたり入れ歯が外れたり、使用している入れ歯が合っていないと感じたら、早めに歯科医院を受診して確認してもらうようにしましょう。合わない入れ歯は、時間の経過とともに解消していく場合と入れ歯の調整や新製を行わないと改善されない場合があります。
自己判断で放置したり自分で入れ歯を調整したりするのは、症状の悪化に繋がる可能性があります。入れ歯を快適に使い続けるためには、違和感がなくても定期的に歯科医院を受診して確認してもらうことが大切です。

入れ歯でお悩みがある方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。