ここ数ヶ月新たな試みに取り組んでおりました。
歯科医師にとって最も大切なものは、「目」です。
その「目」をよりクリアに、そしてできるならば大きく拡大して見えれば、より確実で精密な診断や治療をすることが出来ます。
今まで当院における全ての治療は2.5倍に拡大して見える拡大ルーペを使用して治療してきましたが、更に拡大して「顕微鏡下」で治療するという新たな試みです。
おそらく、これからの歯科医師にとってはなくてはならない「武士の刀」と呼べる、大切な診療機器になるのではないかと思います。
医科の分野では、心臓外科や脳外科、眼科、耳鼻科では当たり前のように使われ、今までできなかったより精密な治療をすることができるようになり、飛躍的に治療レベルが進歩したと言われています。
歯科でも、この顕微鏡下で治療することにより、今までは残せなかった歯を残せるようになったり、より歯を削る量を少なくできたり、ごく初期の小さな虫歯を発見できるようになったりと、治療レベルの飛躍的な向上が期待できます。
反面、機器が高額であることや、精密さを追求するがゆえに十分な診療時間が必要であること、一定レベル以上のトレーニングが必要であることなどのハードルがあるため、まだまだ歯科界での普及率は2.5%程度、実質本当に稼動しているのはさらにその半分だそうです。
ただ、毎月東京に出向いて、山崎長老より世界レベルの治療技術の講義を受けていると、自分の日々の診療との圧倒的な差や、まだまだ自分にできることの可能性を感じ、新たな世界へと船出をしたい歯科医師としての憤りを感じていました。
毎回のように山崎先生がおっしゃる言葉は、
「マイクロスコープ(顕微鏡)との出会いは現代歯科医療における『革命』である。これを導入したから患者さんが増える訳でもないし、治療が楽になる訳でもない。むしろ見えるが故の苦悩も多い。ただ、現代歯科医療の最善を尽くすべく、医療人としてのプライドとしてマイクロスコープを使いなさい」
この言葉が大きく私の心を突き動かしたように思います。
そして、色々迷い悩みましたが、とうとうマイクロスコープの導入に踏切ることにしました。
この数ヶ月は機器の選定の為、色々なデモを受け、デンタルショーに出向き、通勤電車の中では専門書を熟読し、自宅ではビデオ講義を繰り返し、夜遅くまでスタッフに残ってもらってトレーニングをさせてもらっていました。
かなりの拡大視野になるため、最初はその距離感や、機器の扱いに戸惑いましたが、少しずつ慣れて来て、気がつけば殆ど全ての治療に使うようになってきました。
そして、何より、その確実性に感動し、まだまだやるべき仕事がたくさんあることに大きな期待を感じました。
顕微鏡下だけに、使う道具もより細く小さなものとなり、治療のアプローチの仕方も全く異なる概念になる為、しばらくはトレーニングと勉強の日々となりますが、「自分が受けたい治療」をモットーに日々精進していきたいと思います。
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