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根管治療後の歯の寿命は短くなる?寿命を延ばすためのポイントも

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
根管治療のイメージ

歯の痛みや炎症が進行すると、通常の虫歯治療では対処しきれず、根管治療(こんかんちりょう)が必要になることがあります。根管治療は、歯の内部にある神経や血管を取り除き、細菌の感染を防ぐ重要な処置です。

しかし「根管治療をすると歯の寿命が短くなるのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。実際に、神経を失った歯はもろくなりやすく、適切なケアを怠れば再び問題を起こすこともあります。

この記事では、根管治療とはどのような治療なのか、神経にはどのような役割があるのか、そして治療後の歯の寿命はどうなるのかについて詳しく解説します。また、少しでも長く健康な状態を保つためのポイントも合わせてご紹介します。

根管治療とはどんな治療?
根管治療で神経を取り薬を詰めるイメージ

根管治療とは、歯の内部にある根管と呼ばれる細い管の中から、感染した神経や血管などの組織を取り除いて行う治療法です。内部をきれいに洗浄・消毒した後、すき間ができないように薬剤を詰めて密封します。

虫歯が深く進行して歯の神経まで達した場合や、過去の治療後に再感染した場合、事故などで神経が損傷した場合などに必要とされます。

根管治療の主な目的は、細菌の温床となる神経や組織を除去し、再感染を防ぐことです。歯を抜かずに残すことも、重要な目的の一つです。かつては抜歯が選ばれていたケースでも、現代では根管治療により歯を残せる可能性を高められるようになりました。

ただし、根管内は非常に複雑な構造をしているため、正確な処置が求められます。治療には数回の通院が必要になることもあり、再発リスクを抑えるためには精密な治療とその後のケアが重要です。

歯の神経にはどんな役割がある?
虫歯ができて痛みを感じる男性

歯の神経は、正確には歯髄(しずい)と呼ばれ、血管やリンパ管、神経繊維などが集まった組織のことをさします。歯髄は、歯の内部を栄養や酸素で満たし、歯の健康を内側から支える重要な役割を担っています。

また、虫歯や外部からの刺激を感知して痛みとして脳に伝えることで、異常を知らせる働きも果たしています。

さらに、歯の成長期には、歯の根を形成する機能も持ちます。成人後は根の成長は止まりますが、神経があることで歯の組織が適切に維持され、外部からのダメージにもある程度耐えられるようになります。

根管治療では神経を取り除くため、歯は痛みを感じにくくなり、外部からの異常に気づきにくくなります。栄養の供給が途絶えることで、歯質がもろくなりやすくなるという影響もあります。こうした変化が、治療後の歯の寿命に大きく関係するのです。

根管治療後の歯の寿命は短くなる?
歯が壊れて寿命を迎える様子

結論から言うと、根管治療を受けた歯は、健康な天然歯と比べると寿命が短くなる傾向があります。神経や血管を取り除いたことで歯の内部に栄養が行き届かなくなり、時間の経過とともに歯質がもろく、割れやすくなるためです。

特に、奥歯のように強い咬合力がかかる歯では、ひび割れや破折のリスクが高まります。

また、治療後もわずかに残った細菌が原因で再感染することがあります。これによって歯の根の先に炎症が起こると、再治療や抜歯が必要になることもあります。

根管治療は非常に繊細な処置であり、治療の精度や使用される材料、術後のケアが歯の寿命に大きな影響を与えるのです。

しかし、近年ではマイクロスコープや高精度な器具の使用により、再発リスクを減らす精密な根管治療も増えてきました。適切な治療と管理を行えば、根管治療後の歯でも長く健康に機能させることは可能なのです。

根管治療後の歯の寿命を延ばすためには
マイクロスコープで根管治療をする様子

根管治療を受けた歯は、健康な歯と比べて寿命が短くなるリスクがあるとはいえ、すぐに使えなくなるわけではありません。治療後に適切なケアを施せば、長く使い続けることは十分に可能です。

歯の破折や再感染などのトラブルを防いで寿命を延ばすためには、治療直後の対応から日常的なメンテナンスまで、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、根管治療後の歯を少しでも長く健康に保つために、心がけるべき対策を具体的に紹介していきます。

精密な根管治療を受ける

歯の寿命を左右する大きな要素のひとつが、最初の治療の精度です。根管の内部は複雑な構造をしており、すべての感染源を取り除けなければ、数年後に再び痛みや炎症が起こる可能性があります。

近年では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用した精密根管治療が普及し、従来よりも正確で再発リスクの少ない処置が可能になってきました。また、歯科用CTによる3D画像診断を取り入れることで、見えにくい根の曲がりや枝分かれも把握できます。

治療技術や設備は歯科医院ごとに差があるため、信頼できる歯科医院・歯科医師を選ぶことが大切です。

適切な被せ物で歯を保護する

根管治療を終えた歯は、神経を失ったことで物理的な衝撃に弱くなります。そのため、治療後には適切な補綴(ほてつ)処置を施し、歯を保護する必要があります。

被せ物には、保険診療の金属冠やレジン冠のほか、自費診療で選べるセラミックがあります。見た目の美しさだけではなく、耐久性や適合性も考慮して、自分の生活スタイルや予算に合ったものを選ぶと良いでしょう。

適切な補綴処置は、治療の仕上げとして非常に重要なステップです。

定期的なメンテナンスと早期発見

問題がないように見えても、内部で細菌が再び繁殖している可能性があります。そのため、治療が終わったからといって安心せず、定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切です。早期に問題を発見できれば、大掛かりな再治療や抜歯を避けることができます。

また、歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある人は、無意識に歯に負担をかけている場合があるため、マウスピースの装着などで歯を守る対策も有効です。口腔内の小さな変化を見逃さず、定期的なプロフェッショナルケアを受けることが、長期的に歯を守るための鍵となります。

自分に合ったセルフケアを習慣化する

再感染を防ぐためには、日々のセルフケアが欠かせません。特に、歯と被せ物の境目は細菌がたまりやすいため、丁寧な歯磨きやフロスの使用が重要です。

ただし、強く磨きすぎると歯茎を傷つけたり被せ物の周辺を劣化させたりする可能性もあるため、自分に合ったケア方法をアドバイスしてもらうことが大切です。歯ブラシの種類や磨き方など、日常のケアを見直すだけでも、歯の寿命に大きな差が出るでしょう。

食生活を見直す

硬いものや粘着性の高い食べ物は、根管治療後の歯にとって大きな負担となることがあります。神経を失った歯は感覚が鈍くなり、過剰な力がかかっても気づかないことがあります。そのため、食事中に歯が割れるケースも少なくありません。

こうしたリスクを避けるには、歯に優しい食事を意識することが重要です。例えば、極端に硬い煎餅やナッツ類、ガムやキャラメルのような粘着性の食品は控え、バランスの取れた柔らかめの食材を中心に取り入れるよう心がけましょう。

また、食生活に気を配ることで、栄養面からも歯と身体の健康を支えられます。

まとめ
根管治療後も適切なケアで良い状態を保ち笑顔の女性

根管治療は、歯を抜かずに残すための大切な治療法ですが、治療後の歯は神経を失っているため、どうしても寿命が短くなりやすいです。

しかし、悲観する必要はありません。治療の質を高めることや、適切な被せ物で歯を保護すること、そして継続的なメンテナンスを行うことで、根管治療後の歯でも健康を維持できます。

大切なのは、治療して終わりではなく、その後のケアをしっかり続ける意識を持つことです。歯は一度失うと二度と元には戻りません。自分の歯を長持ちさせるためにも、専門的な知識とケアを味方につけましょう。

根管治療を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療や入れ歯治療、インプラント治療など、さまざまな診療に力を入れています。ホームページはこちら無料相談も行っておりますので、ぜひご覧ください。