こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
虫歯が歯の神経にまで進行すると、根管治療が必要となることがあります。根管治療を成功させるためには、正確な診断と丁寧な処置、そして術後の適切なケアが重要です。
もし治療が失敗すれば、再治療や抜歯のリスクが増大し、患者さんの日常生活にも大きな影響を及ぼす恐れがあります。
今回は、根管治療が失敗する主な原因と、失敗を防ぐために気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。これから根管治療を受ける方や根管治療中の方は、ぜひ参考にしてください。
根管治療とは

根管治療とは、虫歯が進行し、歯の内部にある神経や血管の組織(歯髄)が感染した場合に行われる治療です。この治療の目的は、虫歯菌に感染した歯髄を完全に除去し、根管内をきれいに洗浄・消毒したうえで、細菌が再び侵入しないように密閉することにあります。
根管は非常に細くて複雑な形状をしており、1本の歯に複数の根管が存在する場合も珍しくありません。そのため、非常に精密な処置が求められます。
また、根管治療は通常1回で終わるものではなく、複数回に分けて行うことが一般的です。処置が中途半端だと再感染を引き起こしやすく、最悪の場合は抜歯が必要となることもあります。このように、根管治療は歯の寿命を左右する重要な治療の一つだと言えるでしょう。
根管治療が失敗する主な原因

根管治療は非常に繊細な処置であり、失敗する可能性もあります。ここでは、根管治療が失敗する主な原因について解説します。
感染源の取り残しがあったため
根管治療では、感染した歯髄を完全に取り除くことが最も重要です。
しかし、根管の形は一人ひとり異なり、曲がっていたり分岐していたりすることがあります。そのため、感染組織をすべて取り除けずに残ってしまうことがあるのです。感染組織を取りきれなければ、痛みや腫れなどの症状が再び現れる可能性があります。
また、洗浄や消毒が不十分で細菌が残っている場合にも、再び痛みなどの症状が現れやすくなります。
根管充填が不完全であったため
感染源を取り除いて根管内をしっかりと密閉する工程は、治療の成否を左右する重要なステップです。根管内にわずかでも隙間ができると、そこから細菌が侵入します。また、根管充填材が根の先端まで届いていないと、細菌が繁殖して、再感染を起こすケースがあるのです。
治療を自己判断で中断したため
根管治療は1回の処置で完了するものではなく、数回に分けて治療を行うことが一般的です。
しかし、患者さんが自己判断で通院をやめたり、治療の間隔を空けすぎたりすると、歯の内部に残っていた細菌が再び繁殖して悪化する恐れがあります。そのため、歯科医師の指示通りに定期的に通院し、治療を完了させることが重要なのです。
根管治療が失敗したときに現れるサイン

根管治療がうまくいっていない場合、いくつかの兆候が現れることがあります。初期段階では気付きにくいこともありますが、進行すると日常生活に影響を及ぼすほどのトラブルに発展する可能性もあるでしょう。
ここでは、根管治療が失敗したときに現れるサインについて解説します。
咀嚼時の違和感や痛み
治療から時間が経過しても、咀嚼の際に「ジーンとする」「ズキッとする」などの痛みや違和感が続く場合は、根管内で炎症が起こっている可能性があります。根管治療では歯の内部にある神経を除去するため、痛みなどの感覚がなくなります。
しかし、治療が不完全で、再感染が起こると、歯の根の周囲に炎症が広がります。そうすると、咀嚼時に違和感や痛みが生じることがあるのです。ズキズキする痛みが持続する、夜間にうずくような痛みを感じるというケースもあるでしょう。
こうした違和感や痛みは一時的な反応ではないケースが多いです。再治療が必要になる可能性もあるため、早めに歯科医師に相談しましょう。
歯茎の腫れ・膿の排出
根管治療後に歯茎が腫れたり、膿が出てきたりする場合、治療が失敗している可能性があります。
根管治療では歯の内部の感染組織を取り除きますが、これが不十分だと再び炎症が起こって、歯茎が腫れたり、膿が溜まったりする可能性があるのです。はじめは歯茎に軽い違和感を覚える程度であっても、次第に押すと痛みが出たり、膨らんだりすることがあります。
さらに進行すると、膿が排出され、不快なにおいを発することもあります。こうした症状は自然治癒することはありません。放置すると周囲の骨や歯に悪影響を与える可能性もあります。
歯のぐらつき
根管治療が失敗すると、歯がぐらつくようになるケースもあります。歯がぐらぐら動くようになった場合は、歯を支える骨や歯根膜が炎症によって破壊されている恐れがあります。大切な歯を守るためには、異常を感じた段階で早急に歯科医院を受診することが大切です。
根管治療の失敗を防ぐために大切なこと

根管治療を成功させるためには、歯科医師の技術だけでなく、患者さん自身の理解と協力も不可欠です。根管治療の失敗を防ぐためには、次のようなことを意識すると良いでしょう。
設備の整った歯科医院で治療を受ける
根管治療では、肉眼で確認できない細かな構造まで正確に把握し、丁寧に処置することが重要です。歯の内部は非常に複雑ですが、感染組織をすべて除去し、しっかりと洗浄・消毒をしないと再発するリスクが高まります。
これらを防ぐためには、設備の整った歯科医院で治療を受けることが大切です。
たとえば、マイクロスコープを使用すれば、視野を拡大して精密に治療を行えます。また、歯科用CTを使用することで、肉眼やレントゲンでは確認できない部分の異常を発見でき、正確に診断することができます。
こうした最新機器などの設備が整った歯科医院を選ぶことで、治療の成功率を高められるでしょう。
無菌環境を徹底している歯科医院で治療を受ける
根管治療において最大の敵は、細菌です。いくら丁寧に感染部を除去しても、治療中に唾液が入り込めば、細菌による再感染が引き起こされる可能性があります。治療を成功させるためには、無菌環境を徹底している歯科医院で治療を受けることが大切なのです。
なかには、ラバーダムと呼ばれるゴム製のシートを使用する歯科医院もあります。ラバーダムを使用することで、根管内に唾液が入り込むのを防ぐことができるのです。また、治療中に使用する器具の滅菌を徹底することで、さらなる感染のリスクを抑制できます。
衛生管理を徹底し、感染予防に配慮された環境が整っている歯科医院で治療を受けることで、失敗のリスクを軽減できるでしょう。
歯科医師の指示どおりに通院する
どれだけ高度な治療を受けても、患者さん自身の協力がなければ成功にはつながりません。根管治療は複数回に分けて歯の内部を洗浄・消毒し、最終的に根の中を密封するという流れで進みます。
通院を途中でやめてしまったり、次回の予約を先延ばしにしたりすると、根管内で細菌が繁殖するリスクが高まります。
また、治療中・治療後の違和感や痛みを我慢して放置することも危険です。自己判断せず、異常を感じたときにはすぐに受診し、歯科医師の指示に従うことが治療の成功率を高めます。
歯科医師と患者さんが二人三脚で治療を進めることが、根管治療の良好な結果を導くためには大切なのです。
まとめ

根管治療は、精密さと継続性が求められる高度な治療です。治療が失敗すれば、痛みや腫れの再発、歯の寿命の短縮といった深刻な問題が起こる可能性があります。
根管治療の失敗を防ぐためには、最新の設備が整っており、衛生管理が徹底された歯科医院で治療を受けることが大切です。
また、自己判断で治療を中断せず、歯科医師の指示どおりに最後まで治療を受けましょう。最後まで治療を受けることが、根管治療を成功させるための鍵です。
根管治療を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・歯周病治療や入れ歯治療、インプラント治療など、さまざまな診療に力を入れています。ホームページはこちら、無料相談も行っておりますので、ぜひご覧ください。