入れ歯コラムCOLUMN

インプラントは何歳までできる?高齢者が治療をするメリット・デメリット

こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
インプラントのイメージ

インプラントは、人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を装着することで失った歯の機能を回復する治療法です。

自然な見た目を再現できるというメリットがある一方で、外科手術が必要となる点はデメリットといえます。そのため「インプラント治療は何歳までできるのだろう?」「高齢だからインプラントは無理かな」と年齢的な制限について気になる方もいるでしょう。

この記事では、インプラント治療は何歳から何歳まで受けられるのか解説します。高齢者の方がインプラント治療を受ける場合のメリット・デメリットについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

インプラントの年齢制限
インプラントの年齢制限はあるのか考える老夫婦

インプラント治療には、何歳から何歳までといった厳密な年齢制限は設けられていません。むしろ、個々の患者さんの口腔内の状態や全身の健康状態が、治療の可否を判断する重要な要素となります。

ただし、治療は成長期を過ぎ、顎の骨の成長が完了した方が対象です。成長途中の子どもはインプラント治療を受けることはできません。顎の骨の成長が完了する前にインプラントを埋入すると、顎の成長に伴って人工歯根の位置がずれる可能性があるためです。

顎の成長が完了する年齢は、女性の場合は概ね16〜18歳以降、男性の場合は18〜20歳以降が目安となります。

また、インプラント治療が受けられる年齢の上限もありません。治療を受けるには、どの年代でも共通して以下のような一定の条件を満たす必要があります。

・全身の健康状態が良好であること
・骨の密度が十分にあること
・手術に耐えられる体力があること
・歯周病などの疾患がコントロールされていること

つまり、この条件を満たしていれば80代や90代の方でも、インプラント治療を受けられる場合があるのです。

インプラント治療する人が多い年代
インプラント治療について説明する歯科医師

インプラント治療を受ける人が多い年代は、一般的に40代から70代です。この年代になると、歯周病などによって歯を失ったり、抜歯が必要となったりするリスクが高まり、インプラント治療を選択する方が増える傾向にあります。

また、最近では若い世代でもインプラント治療を受けるケースが増えてきています。事故や外傷によって失った歯を補う治療法として、20代や30代の方でもインプラント治療を選ぶ方が増えているのです。

このように、インプラント治療を受ける人の年代は幅広いですが、各年代で治療を決意する動機は異なります。以下に、各年代の患者さんがインプラント治療を希望することの多い理由や特徴を見ていきましょう。

40代の患者さん

40代では、事故や虫歯により歯を失い治療を受けるケースが多く見られます。この年代は、仕事や家庭生活において歯の審美性と機能性を重視するため、インプラント治療を選択される方が増えています。

50代の患者さん

50代は、歯周病によって歯を失う方が増える時期です。社会活動が最も活発な世代であり、仕事上のコミュニケーションや社会生活の質を維持するためにインプラント治療を選択される方が多くなる傾向があります。

60代の患者さん

60代は、インプラント治療を受ける方が最も多い年代です。退職後の生活を見据えて、自身の健康に対する意識が高まり、また経済的にも治療を検討しやすい立場にある方が多いことが特徴です。

また、入れ歯の不便さの解消や自然な咀嚼力の回復を望む声が多く、健康意識の高まりとともに、食事の質を向上させるためにインプラントを選択する方が増えています。

70代の患者さん

70代以降の患者さんは、健康意識が特に高く、活動的な生活を維持するためにインプラント治療を選択する方が多いです。食事の質の向上や生活の質の改善を目指し、従来の入れ歯に代わる選択肢として、インプラントが選ばれています。

高齢者がインプラント治療を選択するメリット・デメリット
高齢者がインプラント治療を選択するメリット・デメリットのイメージ

高齢者がインプラント治療を選択することで得られるメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

高齢者がインプラント治療を選択するメリット

高齢者がインプラント治療を選択するメリットは、以下のとおりです。

自然な咀嚼力を取り戻せる

インプラントは顎の骨にしっかり固定されるため、天然歯に近い感覚で食べ物を噛むことができます。これにより、入れ歯では噛みにくい硬い食べ物も食べられるようになります。しっかりと咀嚼できるようになることで消化吸収が改善され、全身の健康維持が期待できます。

自然な見た目を再現できる

インプラントには入れ歯のバネのような目立ちやすい部品がありません。見た目も非常に自然なため、笑顔に自信を持てるようになります。特に高齢者にとって、見た目の改善は精神的な健康にもつながり、良い影響を与えます。

取り外してお手入れをする必要がない

インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付けて歯の機能を回復させる治療です。入れ歯のように取り外してお手入れする必要がありません。インプラントは天然の歯と同じように歯磨きでケアを行うことが可能です。

顎の骨を維持できる

歯を失うと、その部分の顎の骨に噛む刺激が伝わらなくなるため、骨が痩せていきます。

インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込むため、天然歯と同様に噛む刺激を顎の骨に伝えることができます。これにより、骨の萎縮を防ぎ、顔の輪郭を保つことができ、老けた印象も軽減できます。

高齢者がインプラント治療を選択するデメリット

高齢者がインプラント治療を選択するデメリットは、以下のとおりです。

治療期間が長い

インプラント治療では、埋入手術から最終的な人工歯の装着まで数ヶ月程度かかります。治療期間が長くなるのは、人工歯根と顎の骨が結合するまでの治癒期間が必要になるためです。

人工歯の装着までに複数回の通院が必要となり、治療後も定期的にメンテナンスに通わなければならないため、移動が困難な高齢者にとって通院が負担になることがあります。

費用が高額になる

インプラントはほとんどのケースで保険が適用されません。自由診療となるため、全額自己負担となり、費用は高額になるのが一般的です。また、初期費用に加えて、治療後にはメンテナンス費用もかかります。

手術のリスクがある

インプラント治療では外科手術が必要となるため、全身の健康状態によっては、手術が困難な場合があります。局所麻酔で行われる短時間の手術ですが、高齢者の場合、傷の治りが若年層と比べて遅くなる可能性があることを考慮する必要があります。

高齢者がインプラント治療を受ける場合のリスク
高齢者がインプラント治療を受ける場合のリスクのイメージ

高齢者がインプラント治療を受ける際に伴うリスクについて解説します。

骨の状態のリスク

高齢になると、骨密度が低下し、骨が薄くなっていたり、質が低下していたりすることがあります。これによって、インプラントをしっかりと固定するのが難しくなるケースがあるでしょう。

そのため、詳細なCT検査で顎の骨の厚さや密度、形状などを立体的に把握し、インプラントを埋め込む最適な位置や、必要な処置などを事前に計画します。

そのうえで、骨の状態が悪い場合には、顎の骨を増やす骨造成という治療が検討されます。この治療を行うことで、インプラントがしっかり固定され、自分の歯と同じように噛めるようになります。

骨造成などの追加の処置が必要になった場合には、治療期間が予定より長くなる可能性があります。

しかし、適切な準備と治療を行っておくことで、インプラントを長期的に使用できる可能性が高まります。

持病の影響

高齢になると、糖尿病や心疾患などの持病をお持ちの方が増加します。糖尿病の方の場合、血糖値のコントロールが治療の成否に影響することがあります。適切にコントロールされていない場合には、治癒の遅延や感染リスクの増加につながる可能性があります。

また、心疾患を持つ患者さんの場合、抗血栓薬の使用状況の確認や、治療中の血圧管理が重要となります。治療の際は、主治医との緊密な連携のもと、手術のタイミングや投薬調整を慎重に検討し、安全にインプラントを埋入できるよう対策します。

感染リスク

高齢者は加齢に伴う免疫力の低下により、感染症に対する抵抗力が弱まることがあります。

手術後の傷口には細菌が侵入しやすく、免疫力が低下していると、感染症が発生しやすくなります。感染リスクを最小限に抑えるためにも、手術前の適切な準備や手術中の衛生管理の徹底、術後のケアが重要になります。

また、最終的な人工歯を装着したあとも定期的にメンテナンスを受けることで、長く快適にインプラントを使用できる可能性が高まります。

まとめ
食事を楽しむシニア男性

インプラント治療は年齢に関係なく検討できる治療法です。咀嚼機能や審美性の改善が期待できますが、リスクやデメリットについても十分に理解しておく必要があります。

治療後は、定期的にメンテナンスを受け、適切な口腔ケアを行うことで、インプラントを長く快適に使用することが可能です。年齢を理由に治療を諦めるのではなく、信頼できる歯科医院で相談して、ご自身に合った治療法を選択しましょう。

インプラント治療を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。

当院では、虫歯・歯周病治療や入れ歯治療、インプラント治療など、さまざまな診療に力を入れています。ホームページはこちら無料相談も行っておりますので、ぜひご覧ください。