こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
時間と費用をかけて作製した入れ歯を、長く使い続けたいと考える方は多いです。
しかし、入れ歯が作り直しになるケースがあることをご存じでしょうか。
今回は、入れ歯が作り直しになるケースや費用について解説します。入れ歯の作り直しの際に注意しておきたい6か月ルールについても解説するため、ご自身の入れ歯は作り直しになるのか、費用はどのくらいかかるのかなどが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
入れ歯が作り直しになるケース
入れ歯が作り直しになるケースは、以下のとおりです。
口腔内の状況が変わった
口腔内の状況が変わると、入れ歯の作り直しが必要になる場合があります。
特に、残っている歯が抜けた場合や、歯に問題があって治療が必要になった場合は、入れ歯を作り直さなければいけません。入れ歯の金具をかけていた歯に問題が起こると、金具をかけられなくなるでしょう。
また、歯周病などを発症すると、口腔内の状況が大きく変わります。入れ歯の作り直しが必要になる可能性が非常に高いでしょう。
口腔内に異変が生じた場合には、早急に歯科医院へ相談してください。
入れ歯が破損した
入れ歯が破損した場合は、入れ歯を作り直さなければなりません。入れ歯が破損する理由としては、設計や素材による問題と、噛み合わせの不具合が挙げられます。
噛み合わせの不具合による入れ歯の破損は非常に多いです。入れ歯が口腔内の形に合っていないなど、噛み合わせの不具合が起こって不安定な状態で使い続けたことで、破損するケースは少なくありません。
40また、洗面所などの硬い場所に落とした場合や、飼育しているペットに噛まれた場合も、破損する可能性があります。
入れ歯が破損した場合は、使用を控えて歯科医師に相談しましょう。
入れ歯が摩耗した
日常のお手入れによって入れ歯が摩耗した結果、破損して作り直しが必要になるケースがあります。入れ歯のお手入れをする際に、健康な歯を磨くための歯磨き粉や歯ブラシを使用する方もいるでしょう。
健康な歯には、エナメル質という硬い層があります。研磨剤入りの歯磨き粉で磨いても傷つくことはなく、汚れを取り除くのに有効といえます。
しかし、入れ歯のお手入れには適していません。研磨剤入りの歯磨き粉や硬い毛の歯ブラシなどを使用して入れ歯を磨くと、入れ歯に細かい傷がついて壊れやすくなるうえ、雑菌が繁殖しやすくなります。
入れ歯の破損につながるだけでなく、口腔内の環境を悪化させる要因にもなるでしょう。日常のお手入れでは、入れ歯用ブラシや入れ歯用洗浄剤を使用してください。
作り直しが必要な入れ歯を使い続けるリスク
作り直しが必要な入れ歯を使い続けると、さまざまなリスクが高まります。作り直しが必要な入れ歯を使い続けることによって高まるリスクは、以下のとおりです。
口腔内が傷つく
作り直しが必要な入れ歯を使い続けると、食事や会話のときに歯茎や歯が傷つく可能性があります。
歯や歯茎が傷ついて痛みや口内炎が発生すると、新しい入れ歯を装着した際に苦痛を感じ、使用を断念せざるを得ない状況になります。傷や口内炎の場所によっては、入れ歯の装着だけではなく、毎日の食事にも苦痛を感じることがあるでしょう。
また、入れ歯が装着できないことで外出を控える方も多いです。口腔内の痛みを我慢することは非常に難しく、自由に食事や外出できないことは大きなストレスにもつながります。
口腔内が傷ついて入れ歯が装着できなくなると、日常生活に多大な影響を及ぼすでしょう。
入れ歯の破損が進行する
作り直しが必要な入れ歯を使い続けると、入れ歯の破損などがさらに進行するリスクがあります。本来、修理すれば使えるようになった入れ歯でも、破損した状態で使い続けたことによって、作り直しが必要になることもあるのです。
破損した入れ歯を使い続けて食事中にさらなる破損が起こった場合、破損した破片を飲み込むリスクもあるでしょう。入れ歯が破損した際は、早急に歯科医院を受診してください。
身体的な影響を及ぼす
作り直しが必要な入れ歯を使い続けることで、噛みにくくなるなどの機能面以外にも、身体に影響を及ぼすことがあります。破損した入れ歯や合わない入れ歯を使い続けると、噛み合わせが乱れて左右の歯にかかる力に差が生じます。
左右の歯にかかる力に差が生じると、やがて顎が歪んで肩こり・頭痛が生じるケースがあるのです。合わない入れ歯の土台部分が喉にあたると吐き気を催す可能性もあるなど、身体にも多大な影響を及ぼすでしょう。
入れ歯の作り直しの際に注意すべき「6か月ルール」
入れ歯の作り直しを検討している方に注意いただきたいのが、6か月ルールです。
6か月ルールとは、保険適用で入れ歯を作製した場合、歯型を採った日から6か月以上経過しなければ保険適用で入れ歯の作り直しができないというルールのことを指します。
全国の歯科医院で共通したルールなので、6か月が経過する前に入れ歯を作り直ししたいからと別の歯科医院を受診しても、保険適用で入れ歯は作製できません。歯科医院が国に診療報酬を請求するレセプトという資料を通して、いつ、どこで、どのような治療をしたのかを認知できるためです。
特に近年は、レセプトがオンライン化したため、入れ歯を6か月以内に作っているという事実がすぐにわかるようになりました。6か月以内に入れ歯を作り直したい場合や、歯科医院の変更をする場合は、入れ歯の作製時期と作り直す理由を担当の歯科医師にしっかりと説明しましょう。
歯科医師が作り直しの理由に同意しなければ、保険適用での作り直しは認められません。歯科医師が認める理由がなく、6か月以内に新しく入れ歯を作り直しする場合、基本的にすべて自費診療となります。
しかし、以下の理由がある場合においては、歯型の採取から6か月以内であっても、特例として保険適用で入れ歯を作り直せる可能性があるでしょう。
遠隔地への転居のため通院が不能になった場合
現在お住まいの地域から遠隔地に転居することになり、入れ歯を作製した歯科医院に通院できない場合は、特例として6か月以内でも保険適用で入れ歯の作製ができる可能性があります。
ただし、都道府県によって規定が異なるので、詳しくは歯科医院へご相談ください。
急性の歯科疾患のため喪失した歯の本数が変わった場合
入れ歯作製後に歯周病や虫歯が発生し、抜歯に至った場合や口腔内の状態に大きな変化があった場合、残存歯の数や口腔内の状態が入れ歯を作製した際と変わるため、特例として入れ歯を作製できます。口腔内の状態に大きな変化があった場合、入れ歯を作り直さないと機能を維持できないためです。
入れ歯が壊れて使えない場合
入れ歯が壊れて使えない場合は、特例として6か月ルールの対象外となります。入れ歯が6か月以内に壊れた場合は、修理して使うことを試みるのが一般的ですが、修理が困難な破損が起こった場合には作り直せます。
また、壊れた入れ歯の持ち主が認知症を有している場合や、要介護状態であり入れ歯の管理が困難である場合などは、特例として6か月ルールの対象外となる可能性が高いでしょう。
上記以外の特別な場合
上記に該当しない特別な事情がある場合にも、特例として6か月ルールの対象外となる可能性があります。特に多いのは、震災や風水害、火災などによって入れ歯を紛失したケースです。
ただし、災害によって入れ歯を作り直す場合は、歯科医院を受診する際に罹災証明書の写しを持参しなければいけません。罹災証明書を提示したうえで、事情を歯科医師に伝えなければ作り直しできないことがあるので注意しましょう。
入れ歯の作り直しにかかる費用
入れ歯の作り直しにかかる費用を、保険適用のケースと保険適用外のケースにわけて解説します。
なお、入れ歯の作り直しにかかる費用は、部分入れ歯と総入れ歯どちらなのか、どのような素材で作製したのかなどで異なるため、詳しい費用については歯科医院で確認してください。
保険適用のケース
入れ歯の作り直しに保険が適用される場合の費用は、5,000〜10,000円程度です。基本的には、最初に作製したときと費用はほとんど変わりません。
保険適用外のケース
もともと保険適用外で入れ歯を作製していた場合や、6か月以内に入れ歯を作り直す場合は、150,000~1,000,000円程度かかるといわれています。
特殊な素材で作製する場合や、残存歯の位置が特殊でフルオーダーメイドで作製する場合などは、1,000,000円以上かかる可能性もあるでしょう。
まとめ
さまざまな事情によって、入れ歯の作り直しが必要になることがあります。入れ歯の作り直しのために受診するのは面倒だと、そのまま使い続ける方もいるかもしれません。
しかし、作り直しが必要な入れ歯を使用し続けると、口腔内だけでなく身体にも影響を及ぼす可能性があるため、早めに歯科医師に相談しましょう。
歯型を採った日から6か月以内の場合は保険適用による作り直しができず、高額な費用がかかります。6か月以内であっても、特例として6か月ルールの対象外と認められれば、保険適用で入れ歯が作り直せる可能性があるでしょう。
入れ歯でお悩みのある方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。