こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
入れ歯安定剤は、入れ歯のズレや痛みを軽減するメリットがあります。
しかし、安定剤が残留すると汚れが付着しやすく、噛み合わせが悪くなる危険性があるでしょう。
今回は、入れ歯安定剤のメリットや危険性について解説します。
入れ歯安定剤とは?
入れ歯安定剤とは、入れ歯と歯茎の密着性を向上させ、動きやずれを抑制する製品です。市販されている安定剤には、クリーム状、粉末状、またはクッション性を持ったタイプなど、さまざまな種類が存在します。
入れ歯を長期的に使用するとフィット感が失われることが多く、ずれや痛みが生じる場合があります。入れ歯が外れ、うまく話せない・食べられないなどの問題が生じることもあるでしょう。
入れ歯安定剤を適切に使用することで、快適な装着感を維持することが可能です。入れ歯の使用感を改善するためにも、ご自身に合う安定剤を適切に使用することが重要です。
入れ歯安定剤を使用するメリット
入れ歯安定剤を使用する主なメリットは、入れ歯がずれにくくなることや、痛みや違和感が減ることでしょう。
入れ歯が外れにくくなる
適合していない入れ歯は、予期せぬタイミングで外れることがあります。不便さだけでなく、恥ずかしさを感じる原因となるでしょう。
入れ歯安定剤を使用すると入れ歯の固定が強化され、外れる可能性が低下します。安定剤は入れ歯と歯茎をしっかりと密着させる効果があり、予期せぬ落下を避けられるのです。食事の際に歯茎と入れ歯の間に食べかすが挟まることも防止します。
しっかりと噛める
ぐらつきがある入れ歯は、食事中に動き、食べることを困難にする場合があります。入れ歯安定剤を適切に用いることで、ぐらつきを減少させ、食事の際も力強く噛めるようになるでしょう。
入れ歯使用者は、粘着性のある食材や食べ物を避けることが多いですが、入れ歯安定剤を活用すれば、以前は避けていた食材も安心して食べられます。
噛むときの痛みや違和感を軽減する
入れ歯使用時に生じる痛みや違和感は、多くの方が懸念する問題です。特に、入れ歯の「床」部分が粘膜や歯茎に接触することで、痛みを引き起こすことがあります。そのため、食事や会話の際に不快感を伴い、日常生活に支障をきたす可能性もあるでしょう。
入れ歯安定剤は、柔らかいクッションのような役割を果たし、不快な痛みや違和感を和らげます。
発音しやすくなる
入れ歯の使用者にとって、歯茎と入れ歯の床部分のすき間が発音を妨げる原因となることがあります。すき間から空気が漏れることで正確な発音がしにくくなり、会話がスムーズにできなくなることもあるでしょう。
入れ歯安定剤を使用することで、歯茎と入れ歯の床部分をしっかりと密着させることが可能になります。入れ歯安定剤はすき間からの空気の漏れを防ぐので、発声がはっきりとするでしょう。
入れ歯安定剤の危険性
入れ歯安定剤の使用がもたらすのは、メリットだけではありません。リスクも多く、長期的な使用は推奨されていません。
汚れが付着しやすい
入れ歯安定剤は粘着性が高いため、入れ歯や口内に残留し、汚れの付着を促すことがあります。汚れは細菌の繁殖を助長し、虫歯や歯周病のリスクを増加させる可能性があるでしょう。
入れ歯安定剤は通常のブラッシングでは落とせないため、ガーゼを指先に巻き付けて優しくこすって除去することが推奨されます。
ただし、力を入れてゴシゴシとこすると、口の中の粘膜を傷つける恐れがあるため注意が必要です。
噛み合わせが悪くなる可能性がある
入れ歯安定剤を適切に使用していない場合や、残留した安定剤が原因で厚みが不均一になり、噛み合わせが悪くなることがあります。噛み合わせが不適切な場合、顎の骨への刺激が不足することで骨量が減少する可能性があるでしょう。特定の歯に過度な負荷がかかることで、破損の危険性も上がります。
噛み合わせの悪さは筋肉のバランスを崩し、頭痛や肩こりなどの症状を引き起こすこともあるでしょう。
貧血や手足のしびれを引き起こす可能性がある
入れ歯安定剤のなかには、接着力を強化するために亜鉛が含まれているものが存在します。入れ歯安定剤に含まれる亜鉛を過剰に摂取すると、貧血やしびれといった神経障害を引き起こす可能性があります。
長期間にわたる使用は亜鉛の蓄積を招く恐れがあるため、注意が必要です。
アレルギーを発症するリスクがある
入れ歯安定剤には化学物質が含まれていることが多く、長期間の使用によりアレルギー反応を引き起こすリスクが考えられます。口の中でかゆみや腫れ、痛みなどの異常を感じた場合、アレルギーの兆候である可能性が高いです。
かゆみや腫れ、痛みなどの症状が現れたら、すぐに入れ歯安定剤の使用を中止し、歯科医師に相談しましょう。
入れ歯安定剤は使用しないほうがいい?
入れ歯安定剤を使用することが絶対的に禁止されているわけではありませんが、使用方法や量を守ることが重要です。不適切な使用は、口腔内のトラブルだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす恐れがあります。そのため、できるだけ入れ歯安定剤を避けるのが理想的です。
使用を考える際は、使用方法や量に十分気を付けましょう。入れ歯安定剤のパッケージや添付説明書にも「歯科医師への相談」を推奨する文言が記載されています。
製造メーカー自身が、入れ歯安定剤の頻繁な使用を推奨していないと考えられるでしょう。
入れ歯が合わないと感じたときの対処法
入れ歯が合わないと感じたときの、入れ歯安定剤の使用以外の対処法をご紹介します。
入れ歯を調整する
入れ歯の装着自体に違和感がなくても、噛む際に痛みを感じる場合は、噛み合わせに問題があることが多いです。まずは歯科医院を受診して、医師に相談してください。
噛み合わせのバランスをチェックし、必要に応じて微調整を行うことで、痛みを軽減または解消することができるでしょう。
しかし、何度調整しても痛みが変わらない、または悪化するようであれば、入れ歯の形状そのものに問題がある可能性が考えられます。適切な噛み合わせを得るために、新しい入れ歯の製作が必要となることもあるでしょう。
入れ歯を作り直す
入れ歯がしっかりと歯肉にフィットしなくなった場合、入れ歯の変形や歯肉の変化が原因であることが多いです。新たに型取りを行い、口内の形状に正確に合う入れ歯の製作が必要になるでしょう。
話すときに入れ歯が外れる場合は、入れ歯と歯肉の間に空気が入ることが原因です。問題を解決するために、入れ歯にダムのような構造を設けて、空気の侵入を防ぐことが効果的です。
食べかすが入れ歯の下に挟まる場合は、入れ歯の床部分を変更することで解消できる場合があります。追加の費用がかかることがあるものの、粘膜調整剤を用いた細かな調整により、装着感を向上できます。
発音が難しい場合は、入れ歯の厚みの調整が必要になるでしょう。適切な厚みの調整により、発音の問題が解消し、日常生活を快適に過ごせようになります。
ほかの治療法を検討する
入れ歯以外で歯を補う治療法としては、ブリッジとインプラントが挙げられます。
ブリッジは、隣接する歯を支えとして義歯を固定する治療です。取り外す必要がなく、安定して使用できます。保険が適用される場合もあるため、治療費の面で利点があります。
インプラントは、外科手術で顎の骨に人工歯根を埋め込み、人工歯を装着する方法です。自然な見た目と機能を持ち、入れ歯などの不安定さがありません。
安定性や使いやすさから選ばれることが多いですが、高額な治療費、身体への負担、長い治療期間、顎の骨の状態による制限などのデメリットもあります。
まとめ
入れ歯安定剤は、入れ歯のずれや痛みを軽減するためによく用いられますが、種類や形態は多岐にわたります。
過剰な使用や誤った方法での使用は、口腔内のみならず全身の健康へ悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。入れ歯安定剤を使用する際は、慎重に検討しなくてはなりません。安定剤の説明書にも使用に際しての警告が記載されており、歯科医師への相談が推奨されています。
入れ歯のズレや痛みでお悩みの方は、まずは歯科医師に相談しましょう。不適合な入れ歯を長期間使用すると、さまざまな問題を引き起こすリスクが高まります。
調整や新しい入れ歯の製作が必要な場合もあるでしょう。快適な使用感を追求し、質のよい日常生活を過ごしてください。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。