こんにちは。神戸市東灘区にある木下歯科医院です。
若くても総入れ歯・部分入れ歯の人はいます。日本人が歯を失う最大の原因は歯周病ですが、若い方の場合は虫歯や事故が原因の場合が多いです。歯を失ったときの治療としては、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つが挙げられます。
今回は、それぞれの治療法を比較しながら、入れ歯を選ぶメリットを解説します。
若いのに総入れ歯・部分入れ歯の人はいるのか?
「総入れ歯は高齢者のもの」という認識が一般的ですが、30代や40代の若い世代でも部分入れ歯や総入れ歯を使用している人は少なくありません。
若い方が歯を失う主な原因は、虫歯や事故が多いです。年齢に関係なく入れ歯が必要になるケースは存在し、珍しいことではありません。
若い方が歯を失う原因
若い方が歯を失う主な原因は、虫歯や外傷、歯周病です。特に虫歯や外傷によるものが多いとされています。
若い方が歯を失う主な原因を、それぞれ詳しく解説します。
虫歯
虫歯は、若い方が歯を失う大きな原因です。虫歯が進行し歯の神経にまで達した場合、治療を受けても歯を保存することが難しいため、抜歯が必要になることがあります。
虫歯は歯の神経に達するまでは痛みを感じにくい特徴があります。虫歯の存在に気付いたときには神経にまで炎症が起きているため、歯を保存することが困難な場合が多いです。
転倒や事故
交通事故や転倒などの外傷による歯の破損も、若い方が歯を失う原因として挙げられます。
交通事故に巻き込まれる、顔から転倒するなどで、歯が大きく破損することがあります。事故による破損の場合は頬や唇など周囲の組織も損傷することが多く、歯根や神経までダメージを与えることがあるのです。
治療で修復が困難なほど歯が破損した場合や、感染のリスクが高い場合は、残念ながら抜歯が必要になります。
歯周病
歯周病は、若い方が歯を失う主要な原因です。歯周病は自覚症状が少ないため、進行しても気付かず、発見したときには抜歯が必要な状況になっていることが少なくありません。
歯周病とは、プラークが歯茎に溜まって炎症を引き起こす病気で、自覚症状が出にくいことが特徴です。自身で歯周病が進行していることに気付くのは難しく、早期治療が難しい病気とされています。
また、侵襲性歯周炎という特殊な歯周病があります。若年性歯周炎ともよばれ、比較的若いうちに発症し、急速に症状が進行する歯周病です。侵襲性歯周炎を発症すると、すべての歯を失うリスクが高まります。侵襲性歯周炎は、早期診断と治療が行われないと歯を失う可能性が大幅に上昇するのです。
歯を失ったときの治療法
歯を失ったときの治療法は、主に入れ歯・ブリッジ・インプラントの3種類です。それぞれの特徴を詳しく解説します。
入れ歯
入れ歯とは、欠損した歯を補うための人工的な装置です。機能と見た目の両方を改善するために使用され、さまざまな形状・材質・構造から個々の口腔内の状態や要望に応じて製作されます。
入れ歯は、主に総入れ歯と部分入れ歯の2つのタイプがあります。総入れ歯は、全ての歯が欠損している場合に使用され、上顎と下顎の両方を補うことが可能です。部分入れ歯は、一部の歯だけが欠損している場合に使用され、残った自分の歯に固定します。
入れ歯は、アクリル樹脂や金属、ナイロンなどの素材を用いて製作されます。人工歯と、人工歯を支える床から構成され、患者さまの口腔内にフィットするように調整されるのです。
入れ歯を用いることで、食べ物を噛むことが容易になります。歯並びや噛み合わせのバランスが改善されるため、発音や表情の自然さが保たれることもメリットです。歯が欠損すると顔の形状が変わることがありますが、入れ歯を用いることで防げます。
しかし、入れ歯は慣れるまでに期間が必要で、初めて装着した際は違和感があります。適切なフィット感を保つには定期的な調整が必要です。年齢とともに口腔内の状態は変わるので、定期的に通院して調整してもらいましょう。また、入れ歯は取り外しができるため、食べかすや汚れが詰まりやすいことがデメリットです。
ブリッジ
ブリッジは、通常、健康な歯またはインプラントを支えにして固定されます。支えとなる支台歯の間(欠損部)をポンティックとよばれる人工歯で補い、ポンティックに連結した支台装置を支台歯の上に被せて固定するのがブリッジです。
一般的な固定式ブリッジは、欠損部分の両側にある健康な歯を削って支台歯とし、その上にセラミックや金属などで作られたブリッジを固定します。
インプラント
インプラントは、チタン製の小さなねじ状の装置で、歯根の役割を果たします。顎の骨に直接埋め込み、その上に人工歯を取り付ける構造です。
インプラントは高い耐久性と安定性から、欠損歯を補う治療法として最も理想的な選択肢とされています。天然の歯のような自然な見た目と、自然な噛み心地を実現します。また、インプラントは顎の骨を刺激して骨吸収を防ぐため、顔の形状と構造を保つ役割も果たすでしょう。
インプラント手術は数段階にわけて行われ、治療期間は一般的に6か月ほどです。まず、骨にインプラントを埋め込む手術が行われ、3〜6か月かけて骨とインプラントが結合するのを待ちます。次に、インプラントの上にアバットメント(人工歯を接続する部分)を取り付けます。最後に、アバットメントの上に人工歯を装着して治療は完了です。
インプラント治療は高度な技術と材料を必要としますが、ほかの治療法に比べて寿命が長く、長期的にみるとメリットの大きい治療法です。
ただし、インプラント治療には感染や神経損傷を引き起こすリスクがあり、結合がうまくいかない場合もあります。手術を受ける前にデメリットや注意点を十分に理解することが重要です。
入れ歯を選択するメリット・デメリット
入れ歯は保険適用内なので費用が安く、治療期間が短いことが特徴です。
しかし、価格と質は比例するので、寿命が比較的短いことや噛み心地が劣るなどのデメリットがあります。
入れ歯を選択するメリット
入れ歯を選択するメリットは、以下のとおりです。
外科手術が必要ない
入れ歯は外科手術の必要がないので体への負担が少ない治療法です。
インプラント治療は、歯茎を切開して顎の骨に穴を開ける外科手術を必要とします。手術は体への負担が大きいため、糖尿病などの全身疾患がある方や妊娠している方などはインプラント治療を受けることが難しいです。
対して、入れ歯治療は外科手術を必要とせず、歯や歯茎の形状を型取るだけで治療が完了します。持病や薬の影響、妊娠などでインプラント治療が受けられない方でも、入れ歯治療なら可能なのです。
費用が安い
入れ歯は、インプラントやブリッジに比べて費用が安いです。例えば、インプラント治療は1本の歯を補うだけでも、約300,000〜400,000円の費用がかかります。専門的な技術や高価な材料が必要で、手術を伴うため、非常に高額になるのです。
ブリッジ治療では、欠損歯の両隣の歯を削る必要があるため、入れ歯治療よりも手間がかかります。インプラントほどではありませんが、費用が高い治療法です。
入れ歯は材料費も手間も少なく、外科手術も不要であるため、コストが大幅に下がります。材質によっては保険適用なので、さらに費用が安くなるでしょう。
治療期間が短い
入れ歯治療は、ほかの治療法と比較して治療期間が短いことがメリットです。
インプラント治療の場合、インプラント体を埋入し骨と結合するのを待つ期間が必要で、結合を待つだけで3〜6か月ほどかかります。ブリッジ治療でも、歯を削る処置とブリッジを製作するための時間が必要で、全体の治療期間は1〜2か月ほどです。
入れ歯の適応と微調整に必要な時間は、2週間〜1か月程度とされており、ほかの治療と比較すると治療期間が短いことがわかります。
修理・調整をしやすい
入れ歯のメリットの一つに、修理や調整が比較的容易であることがあります。入れ歯の修理や調整は手軽で、高額な費用がかからないことが大きなメリットです。
インプラントは一度埋め込むと調整が困難であり、何らかの問題が生じた場合は手術を伴う対応が必要になることもあります。ブリッジについても修理や調整には専門的な技術を必要とし、再度の研磨やセメントでの固定などが必要です。
入れ歯は、形状の微調整や歯の追加、割れた場合の修理などが比較的容易に行えます。そのため、入れ歯は長期間にわたるメンテナンスが可能で、日常のトラブルにも柔軟に対応できるというメリットがあります。
入れ歯を選択するデメリット
入れ歯を選択するデメリットは、以下のとおりです。
見た目に影響が出る
特に部分入れ歯の場合、金属のバネやクラスプが見えることがあり、入れ歯を装着していることがわかりやすいです。また、完全に歯がない状態から総入れ歯を使用する場合、天然の歯と同じような自然な見た目を再現するのは困難でしょう。
インプラントやブリッジは、自然な見た目を維持する点では入れ歯よりも優れています。インプラントは天然の歯に近い見た目と機能性を実現でき、ブリッジも天然の歯を支えにすることで見た目の自然さを保つことができるのです。
昨今、見た目に配慮した入れ歯の開発も進んでいます。クラスプが見えにくい、または全く見えないデザインの部分入れ歯や、天然の歯に近い色調や形状を再現した入れ歯も存在します。見た目にこだわりたい方でも、満足のいく入れ歯を選ぶことが可能になってきました。
噛み心地が劣る
入れ歯のデメリットの一つとして、ほかの治療法に比べて噛み心地が劣ることがあります。特に総入れ歯の場合は、口の中での安定性が低く、思い切り噛むことが難しくなります。食べ物の感触が変わることで、食事の楽しみが減ることもあるでしょう。
また、入れ歯の動きによって口内に痛みを感じる場合や、発音に影響が出る場合もあります。
一方、インプラント治療は、天然の歯に近い噛み心地が得られます。骨に直接インプラントを埋め込むため、噛む力が直接骨に伝わり自然な食感を実現するのです。ブリッジ治療も、隣接する健康な歯を支えにするため、噛む力が適切に伝わり、天然歯に近い噛み心地を提供します。
お手入れに手間がかかる
入れ歯を装着している場合、通常の歯磨きと入れ歯のお手入れが欠かせません。食べかすや口腔内の細菌が入れ歯の汚れやにおいの原因になるからです。
入れ歯のお手入れとして、ブラシや洗浄剤を使用して毎日洗浄することが推奨されています。睡眠時には入れ歯を外し、適切に保管しなければなりません。
インプラントやブリッジの場合は歯が固定されているため、今までどおり歯磨きを行うだけで日々のお手入れが完了します。
食べかすが詰まる
入れ歯には食べかすが詰まりやすいという問題があります。部分入れ歯では自分の歯と入れ歯の間に食べかすが詰まりやすく、総入れ歯の場合でも、入れ歯と歯茎の間に食べ物が入り込む可能性があるのです。口腔内の衛生状態を悪化させ、口臭の原因にもなるでしょう。
インプラントやブリッジは固定式で、自然な歯と同じように機能します。そのため、食べかすが詰まる問題はほとんどありません。
若くても入れ歯は恥ずかしいことではない
入れ歯を必要とすることは、年齢に関係なく、まったく恥ずかしいことではありません。歯の問題は、健康と生活の質に直結するため適切な対応が必要です。
歯の喪失は、発音や食事、見た目に影響を与えます。改善するために入れ歯を利用することは、自分の健康や生活の質を向上させるポジティブな方法です。
また、現代の歯科医療は非常に進化しており、フィット感が向上した自然な見た目の入れ歯を製作することが可能です。歯の健康は全身の健康につながるので、必要な治療を受けることは恥ずかしいことではありません。
まとめ
若い方でも入れ歯治療を受けている人は珍しくありません。入れ歯といえば高齢者の方が装着しているイメージですが、虫歯や事故などが原因で若くして装着している方もいます。
入れ歯は、外科手術を必要としないため体への負担が少なく、治療期間が短いことがメリットです。一般的な入れ歯は保険適用内で製作できますが、自費診療の場合、さらに目立ちにくく噛み心地のよい入れ歯を製作できます。
「入れ歯治療を考えているけど、入れ歯だと気づかれたくない」と思っている方は、自費診療の入れ歯を視野に入れてみてはいかがでしょうか。自費診療の入れ歯でも、費用はインプラントより安いことが多いです。歯科医院によって取り扱う入れ歯の種類が異なるので、事前にホームページなどで確認するとよいでしょう。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。