口内炎の原因は、ストレスや口腔内を誤って噛んでしまったときなど、さまざまです。
今回はその中でも、入れ歯によって引き起こされる義歯性口内炎(ぎしせいこうないえん)についてご説明します。
入れ歯による口内炎!義歯性口内炎とは
義歯性口内炎とは、お口に合っていない入れ歯の使用や、入れ歯のお手入れを怠ることで引き起こされる口内炎のことをいいます。通常の口内炎と同様に、赤みや腫れ、痛みなどの症状があり、出血する場合もあるため注意が必要です。
義歯性口内炎の原因
義歯性口内炎の原因は、主に以下の2つが挙げられます。
・入れ歯が合っていない場合
・入れ歯が汚れている場合
以下、それぞれ詳しくご説明します。
入れ歯が合っていない場合
買ったばかりの靴を履いていると、かかとの部分が擦れて靴ずれが起きることがあります。靴ずれは、通常は力が加わらないところが擦れてしまい、傷ができる現象です。
実は、入れ歯に関しても同様に、歯茎に合っていない入れ歯を使用すると、お口の中の粘膜が擦れて口内炎ができます。
入れ歯が汚れている場合
入れ歯は、レジンと呼ばれる素材から作られており、細菌などの汚れが付着しやすいことが特徴です。
口腔内には多くの細菌が存在するため、入れ歯を使用していると細菌が付着します。入れ歯の清掃を怠ると、菌の一種であるカンジダ菌が増殖し、口内炎を引き起こします。
入れ歯だけではない!口内炎の原因
口内炎の原因は、入れ歯だけではありません。
以下、入れ歯以外の口内炎の原因についてご説明します。
栄養不足
栄養バランスが崩れることも口内炎になる原因です。特に、お口の粘膜の代謝などに関わるビタミンB群が不足すると、口内炎ができやすくなります。
レバーやサバなど、ビタミンBを多く含んだ食べ物を摂取し、口内炎を予防しましょう。
睡眠不足、ストレス
口腔内の粘膜では、日頃から新陳代謝が行われています。睡眠不足やストレスが続くと、新陳代謝が低下して粘膜が弱くなり、口内炎ができやすくなるでしょう。
口腔粘膜の傷
頬の内側を誤って噛んだり、矯正器具などが口腔内の粘膜に当たることで、傷ができて口内炎になることがあります。
ウイルス
ウイルス感染も口内炎が起きる原因のひとつです。
ウイルスによる口内炎の代表としては、ヘルペスウイルスによるヘルペス性口内炎が挙げられます。主な症状は、口内炎に加えて38℃前後の高熱、リンパの腫れなどがあります。高熱と口内炎がある場合は、病院を受診しましょう。
病気の影響によるもの
口内炎は、なんらかの病気により引き起こされる可能性もあります。
口内炎を伴う代表的な疾患は、口腔がんや糖尿病です。自己免疫力が低下することで、口腔内に雑菌が繁殖しやすくなり、口内炎ができる場合があります。一般的に口内炎は、1〜2週間程度で治ります。2週間以上経っても口内炎が治らない場合は、口腔がんなどの悪性腫瘍の場合があるため、口腔外科や耳鼻科などを受診しましょう。
義歯性口内炎ができたときの対処法・予防法
義歯性口内炎ができたときはどうすればよいのでしょうか。
ここからは、義歯性口内炎の対処法と予防法について解説します。
義歯性口内炎の対処法
代表的な義歯性口内炎の対処法についてご説明します。
入れ歯の装着を控える
義歯性口内炎は、合わない入れ歯の使用や義歯の清掃状態が悪いことが原因で引き起こされます。
義歯性口内炎を治すためには、原因となる入れ歯の使用を控え、歯茎を休めることが大切です。
口腔内を清掃に保つ
義歯性口内炎は、口腔内の粘膜に傷ができている状態です。傷の周りが汚れていると、口内炎が治るまでに時間がかかることがあります。
口内炎をはやく治すためにも、食事をしたあとはうがい薬を使用して、口腔内を清潔に保ちましょう。また、スポンジブラシなどの専用の器具を用いて、お口の粘膜も清掃することが重要です。
歯科医院で入れ歯を調節する
入れ歯が今の歯茎に合っていない場合は、歯科医院で入れ歯の調節をしてもらいましょう。
入れ歯の調節は、口腔内の傷ができている場所を調べ、その部分を削って行います。歯茎全体が痩せている場合は、入れ歯の裏側にピンク色の材料を追加し、今の歯茎に合った形に修正します。今の歯茎の形に合わせて新しく入れ歯を作ることもありますので、担当の歯科医師に相談するとよいでしょう。
ビタミンを摂取する
口腔内の粘膜は、常に新陳代謝が起こっています。ビタミンB群は新陳代謝に不可欠な成分です。
口内炎をはやく治すために、ビタミンB群が含まれる食べ物やサプリメントを摂取しましょう。
義歯性口内炎の予防法
次に、義歯性口内炎の予防法についてご説明します。
定期的に入れ歯を調節する
歯茎は年齢とともに痩せるため、入れ歯を作製してから年数が経つと入れ歯が合わなくなることがあります。定期的に歯科医院を受診し、入れ歯の調節を行ってもらいましょう。
入れ歯を使用した際に以下の症状がある場合は、入れ歯が合っていないサインです。
・入れ歯を装着している部分の歯茎が赤い、痛みがある
・入れ歯の金属のバネが壊れている
・金属のバネがかかる歯が虫歯になっている
・入れ歯が安定しない
・入れ歯が割れている
これらの症状がある場合は入れ歯の使用を控え、担当の医師に入れ歯が合っているか確認してもらいましょう。
入れ歯を清潔に保つ
入れ歯はプラスチックでできているため、食べ物などが付着しやすい特徴があります。入れ歯を清潔に保つためにも、食後に必ず入れ歯を洗浄しましょう。
また、入れ歯が以下の状態の場合、上手に磨けていないサインなので注意が必要です。
・ぬめり気がある
・歯石が付着している
・入れ歯からにおいがする
・黒いカビが発生している
入れ歯に付着した汚れをそのままにすると、入れ歯にカビが発生することがあります。上記のようなサインがある場合は、専用のブラシや洗浄剤を使用して入れ歯の手入れをしましょう。
入れ歯の正しいお手入れ方法
入れ歯は、毎食後に洗浄することが重要です。ここからは、入れ歯のお手入れ方法についてご説明します。
義歯ブラシや洗浄剤を使用する
まず、入れ歯に付着した汚れを水で洗い流します。そのあと、入れ歯を磨くための専用のブラシを使用して磨きましょう。
入れ歯の裏側や金属のバネ周辺は磨き残しが多いので、入念に磨きましょう。また、専用の洗浄剤を併用すると、より綺麗に磨くことができます。
歯磨き粉には研磨剤とよばれる成分が含まれており、入れ歯に使用すると傷がつく場合があるので、歯磨き粉の使用は控えてください。
水中に保管する
歯茎を休めるために、就寝の際は入れ歯を外しましょう。
入れ歯はプラスチックでできているので、長時間乾燥した状態が続くと変形することがあります。そのため、入れ歯を使用しない時は、入れ歯のケースに水を入れて保管しましょう。
まとめ
今回は、入れ歯によって引き起こされる義歯性口内炎についてご説明しました。
義歯性口内炎を防ぐためには、定期的な歯科医院での入れ歯の調節や毎食後の清掃が重要です。また、口内炎がなかなか治らない場合は、口腔がんなどの病気の可能性があります。長期間、口内炎が治らない場合は口腔外科を受診し、精密検査を受けましょう。
入れ歯を検討している方は、神戸市東灘区にある木下歯科医院にお気軽にご相談ください。