歯が抜けたまま放置するとかかる病気
歯が抜けても「1本くらいならほとんど不都合を感じることはない」とそのままにしている方もいらっしゃいます。しかし、歯がない状態をそのままにしておくことで、他の病気になるリスクが高まるのです。
歯がない状態は細菌が繁殖しやすい状態とも言えるため、口内で繁殖した細菌が全身に回ることで様々な病気を引き起こしやすくなっています。特に以下のような病気にかかりやすくなると言われていますが、歯がない状態とどのような関連性があるのか、それぞれご紹介していきます。
糖尿病
歯がない状態をそのままにしておくと、歯周病になる可能性が高まります。また、歯周病は糖尿病と深く関係しています。
歯周病は「糖尿病の合併症のひとつ」と言われますが、近年では歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼすということが分かってきました。「歯周病にかかっていると血糖値のコントロールが難しくなり、糖尿病の方は歯周病が悪化しやすくなる」といった相関関係に加え「歯周病を治療したことで血糖値が安定した」という研究結果も発表されています。
※参照:日本歯周病学会「糖尿病患者に対する歯周病治療ガイドライン改訂第2版」(2014年)
(https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_diabetes.pdf)
認知症
歯が少なくなることで、認知症を発症する可能性も高くなります。歯と脳は神経で繋がっていて、たくさん噛むことで脳が刺激を受けます。歯が少なくなり噛む回数が減ると脳が刺激を受ける回数も減るため、認知症になる可能性を高めてしまうのです。
8020 推進財団による「永久歯の抜歯原因調査報告書」(2018年11月)によると、歯周病は歯が抜ける原因の第1位となっています。歯がない状態をそのままにして歯周病にかかれば、残っていた歯まで抜ける原因になりかねません。
歯の本数と認知機能の関係を調べた調査によると、歯の本数が少ないほど認知症にかかるリスクが高い、という結果も出ています。
※参照 8020 推進財団による「永久歯の抜歯原因調査報告書」(2018年11月)
(https://www.8020zaidan.or.jp/pdf/Tooth-extraction_investigation-report-2nd.pdf)
※参照 日本歯科医師会プレスリリース「「歯数とアルツハイマー型認知症との関連」で日本歯科総合研究機構が論文を発表」
(https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_148.html)
心臓疾患
歯がない状態が続くと、臓器にも影響を及ぼすことがあります。細菌が心臓に到達すると心臓の血管が炎症を起こし、その結果、血管に血栓ができて動脈硬化を引き起こすことも。
その他、狭心症や心筋梗塞の原因にもなってしまいます。心臓の弁や内膜に細菌が付着すれば感染性心内膜症にかかるリスクがあり、元々心臓に疾患がある方は特に注意が必要です。
心臓は全身に血液を送るポンプの役割を果たしているため、心臓で細菌が繁殖すると全身に広がりやすくなるというリスクもあります。
誤嚥性肺炎
誤嚥とは、食べ物が食道ではなく気管や肺に入ってしまうこと。高齢者は嚥下機能の低下から誤嚥性肺炎を起こす可能性が高まりますが、歯がない方は若くても誤嚥性肺炎にかかるリスクが高いと言われています。
誤嚥性肺炎の原因は口内で繁殖した細菌が気管を通じて肺に入ってしまうことですが、歯がない状態だと口内で歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなり、その細菌が肺に入って炎症を起こす可能性が高まります。
また、歯が少ないと噛む力が弱くなり、偏食になることで栄養バランスに偏りが出ることも。その結果、免疫力が下がって肺炎を発症しやすくなるというリスクもあるのです。
消化器系疾患
歯がない状態の口内で繁殖しやすい歯周病菌は、胃潰瘍や胃がんの原因であるピロリ菌と共通する抗原を持つことが分かっています。そのため、口内から消化器系に細菌が移動して炎症を起こせば、腹痛・下痢・嘔吐といった症状が出ることも。
更に、歯が少ない状態では噛む力が弱くなり食べ物を細かく噛み砕いてから飲み込むのが難しくなりますが、しっかりと噛まないまま飲み込むと消化器官に余計な負担がかかり、消化不良にも繋がってしまうのです。
早産
一見すると関係がないように見える歯周病と早産ですが、様々な研究結果から、喫煙や飲酒より歯周病が胎児にとって悪影響を及ぼす可能性が高いことが分かっています。
口腔内に基準以上の歯周病がある妊婦は、早産や低体重出産になってしまうリスクが7.5倍高まるという研究結果も。歯周病菌が炎症を引き起こし、胎盤や胎児にも影響するためと考えられています。
歯がないと聞くと高齢者を連想するかもしれませんが、若い方であっても歯が抜けることはあります。女性ホルモンのエストロゲンには歯周病菌の増殖を促す働きもあり、出産を控えている女性はホルモンが活発化することで歯周病のリスクが高まるのです。
早産や低体重児出産の可能性を下げるためにも、歯が抜けてしまった場合は早めの治療をおすすめします。
※参照:日本臨床歯周病学会「歯周病と妊娠」
(http://www.jacp.net/pdf/leaflet/leaflet_04.pdf)
歯が抜ける原因になる病気と予防方法
歯が抜けてしまう原因のほとんどが歯周病と虫歯
歯が抜けるおもな原因として挙げられるのは、歯周病・虫歯・事故などで歯が欠けたり割れたりした場合の3つ。この中で原因の大半を占めているのが歯周病と虫歯であり、日本人が歯を失う理由として最も多いのが歯周病です。
歯周病とは?原因や症状を解説
どうして歯周病にかかると歯が抜けてしまうのでしょうか?それは、歯周病が歯を溶かしてしまう病気だからです。
歯周病は痛みのような分かりやすい自覚症状が少なく、病気が進行していることに気がつかないため「静かなる病気」と言われるほど。とはいえ、初期段階で何も症状がないというわけではなく、歯茎の腫れや変色、歯磨きの際の出血などがあります。
徐々に症状が進行していくと、歯茎と歯の間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができ、そこで歯周病の原因となる細菌が繁殖。症状が進行するうちに歯周ポケットが深くなり、歯を支えている歯槽骨と呼ばれる骨を溶かし始めます。冷たいものを食べたり飲んだりすると、歯が痛むようになるのはこの頃です。
更に症状が進行すると、細菌が炎症を起こすことで歯肉から膿が出るようになり、口臭がひどくなる、歯がぐらぐらするといった症状が見られます。重度の歯周病になると、歯槽骨がほとんど溶けて歯を支えられなくなり、歯が抜けてしまうのです。
歯周病の原因は歯周病菌への感染ですが、その歯周病菌の温床となるのが歯垢(プラーク)。歯垢はブラッシングで簡単に落とすことができますが、口内のケアを怠っているとすぐに増殖し、歯肉が炎症を起こしてしまいます。また、口の中が乾燥している人は唾液による殺菌が不十分なため、歯周病菌が繁殖しやすくなると言われています。
歯周病は、そのままにしておくと他の歯にも感染していきます。下記のような症状がある場合、歯周病の可能性があると考えて歯科医で診てもらうようにしましょう。
- 歯磨きをすると出血する
- 冷たいものがしみる
- 歯がぐらぐらしている
- 口臭がきつい
- 歯茎が下がり、歯が長くなったように見える
歯周病予防の効果的なケア方法とは
歯周病予防の基本は、こまめに歯垢を落とすこと。毎日の歯磨きで丁寧にブラッシングをして歯垢を落とすだけでも、歯周病になる可能性は軽減されます。歯周病の原因になりやすいのは歯と歯茎の間に残る歯垢ですので、特に意識してブラッシングするようにしましょう。
ブラッシングだけでは歯と歯の隙間に残った歯垢を十分に落とすことが難しいという場合は、デンタルフロスや歯間ブラシがおすすめ。歯の間に挟まったものを爪楊枝で取る方もいますが、爪楊枝では歯の間の歯垢まで落とすことは難しいため、クリーニングの手段としては不十分です。歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシは様々なタイプがありますが、ご自身が使いやすいものを選んで構いません。
毎日のケアに加えて、定期的に歯科医院で検診を受けることも予防効果を高めます。自覚症状が少ない歯周病も、定期的に検診を受けることで早期に発見してもらうことが可能です。
毎日歯磨きをしていても効果的な磨き方ができていない場合もあるため、歯科医院で正しい歯ブラシの持ち方や磨き方を教えてもらえば歯磨きによる予防効果を高めることができます。自分では磨き残しを確認するのが難しいので、どんなところを磨き残しているか教えてもらうのもよいでしょう。歯並びや口内の状態を見て、相性の良い歯ブラシやデンタルフロスのアドバイスをしてくれるクリニックもあります。
また、歯垢は歯磨きで取れますが、歯垢が固くなって歯石になってしまうと歯磨きで落とすことはできません。歯石には歯垢がつきやすく、歯周病菌を増殖させる原因となりますので、歯科医院などでのクリーニングが必要です。
生活習慣を整えることも免疫力を高めて歯周病の予防の効果があると言われていますので、栄養バランスを意識したり、飲酒や喫煙を控えるのも効果的。
加えて、ストレスを溜めると唾液の分泌が減る、歯ぎしりをして歯に負担をかける、免疫が低下する…と良いことがありません。歯のためにもできるだけストレスの少ない生活を心がけたいものです。
お口の状態に合わせて歯が抜けてしまった状態を治療できる精密入れ歯とは
歯が抜けてしまった際の治療法として、入れ歯という選択肢があります。
神戸の入れ歯専門クリニック・木下歯科医院でお作りする入れ歯は、オーダーメイドの精密入れ歯。入れ歯というと「見た目が気になる」「違和感があるのでは…」と心配される方もいらっしゃいますが、ご安心ください。お一人お一人の骨格や噛み合わせや歯肉の高さなどを細かく検査して作りますので、違和感が少なく快適にお使いいただけます。入れ歯の違和感が気になる方には柔らかい樹脂を用いる、見た目の美しさにこだわりたい方には実際の歯のような透明感のある人工歯を使うなど、専門技工士とともにご要望に合わせた入れ歯をご提案しています。
プライバシーにも配慮し、一日5組に限定してじっくりとお話を伺える環境を整えていますので、歯の状態やお口の健康状態についてのお悩みをぜひお聞かせください。ご相談は無料で受け付けています。