先週末はまた東京に勉強会に行っておりました。
今回は咬合、つまり噛み合わせについての総論の講義を受講してきました。
歯科の噛み合わせに関する歴史だけではなく、人間の祖先のアウストラロピテクスにさかのぼって、どのように噛み合わせや骨格が進化してきたのか、とても興味深い内容でした。
今回は当院の入れ歯専門技工士の森永さんも参加して下さり、また愛知県の勉強会仲間の山田先生と、入れ歯専門技工士の佐藤さんも一緒に参加してくださいました。
同じ志をもって日々頑張っている仲間で集まって、一緒に刺激し合いながら、共に勉強する事はとても楽しいです。
セミナーの終了後は、講師の稲葉先生がつい先日ご開設された、歯科技工所の見学もさせて頂きました。
日本初導入の本場ドイツの最先端の機器をそろえた、素晴しい環境のラボで、座り心地の良い最高の作業スペースに仕上がっていました。
閑静な住宅街で、日の光がたくさん入る、清潔感溢れた素晴しい空間でした。
私のブログでも何度か書きましたが、現在の日本の歯科医院は増え続け今やコンビニエンスストアの約2倍、それに対してその歯科医師の右腕となる歯科技工士は、毎年入学者が減り続け、技工学校も閉校するところも後を絶たず、しかもやっと卒業して晴れて歯科技工士となっても、そのまま歯科技工士として仕事を続けていく若者が2割程度だそうです。
つまり、それだけ日本の歯科技工士の仕事環境は厳しく、夢がない職業という固定観念が染み付いてしまっているようです。
日本の保険制度の中では、歯科技工士は下請けのような存在で、ハードなラボになると毎日夜中の3時4時まで暗い粉塵だらけの狭い空間で、朝から晩まで休みなく働き続け、そのほとんどが身体を壊して辞めていくパターンが非常に多いそうです。
そのような背景の中で、歯科技工士に夢を与えることができるようなラボを作りたい、歯科医師の右腕としてチームとして活躍できるような歯科技工士を育てていきたいという想いの詰まったラボです。
講師の稲葉先生の奥様がおっしゃって下さった言葉ですが、
「一見時代に逆行するように見える事の中に、実は本質があることがある」
まさに今回のラボは今の日本の歯科界に何かを与える物になるのではと思いました。
思えば私も、この10年の日本の歯科界は悪い歯は積極的に抜歯して、インプラントにしましょうという時代背景の中で、少しでも残せるようにマイクロスコープを駆使した精密治療をしましょう、そして歯を失ってしまったらインプラントだけが答えではなく、入れ歯でも精密に作れば良いものができる、そのような時代に逆行するような診療方針で突き進んできました。
それが正しかったのかどうかは分かりませんが、少なくとも当院の門をくぐって下さる患者様がいる以上は、日々勉強し続け、より精度の高い入れ歯を、より精度の高いマイクロスコープ治療を目指し、精進し続けていきたいと思います。