先日お越しになっていた患者様がとても印象的なことをおっしゃって下さいました。
遠方からのお越しの患者様で、総合的な治療計画で長期的なプランで頑張って下さっているのですが、
先日左下の奥歯の被せ物をお口の中にセットする治療の後、しばらくこちらの診療機器の道具が置いてあるテーブルの上をじーっと見て、小さな声で何かをつぶやいておられるようでした。
医療従事者の方なので、私はてっきり診療機器のことで何かご興味をもたれて観察されているのかと思い、
「いかがされましたか?何か気になる器具がありますか?」
とお伺いすると、
「いえいえ、器具の事ではなくて、その隣に置いてある今日まで私のお口に入っていた仮歯を見ていたんです。
私の口の中でよく頑張ってくれたので、仮歯さんありがとうってお礼を言ってたんです」
このようなことをおっしゃって下さいました。
その時の仮歯と、その後新たにセットしたセラミックとゴールドの被せ物です。
この方は全体的な治療をされている方なので、この仮歯もかれこれ一年近くはお口の中で機能してくれていた歯です。
もともと入っていた仮歯も、最終的に入った被せ物も、私も歯科技工士も、少しでもよくなるように、すこしでも長くお口の中でより良く機能してくれるようにと、想いを込めて作った被せ物です。
それに対して、患者様がこのようなことを感じ、そして言って下さった事がとても印象的で、すぐに担当技工士にも連絡して、共に喜んでおりました。
我々の想いが少しでも届いたのかどうかは分かりませんが、少なくともこの患者様にとっては、この仮歯が一年間快適にお食事ができるお手伝いができたのではないかと思います。
お口の中というのはとても繊細で、ほんの少しの差が大きな差を生み、快適に食事ができる状態に戻すということは本当に難しいことではありますが、これからも一人でも多くこのような患者様が増えて頂けますよう、日々それぞれの担当技工士達と共に、精進していきたいと思います。
全ては患者様の本当の笑顔の為に。。。